※時系列完全無視/時代考証不徹底/捏造のオンパレード/性描写あり
 要約すると、何でも許せる御仁向けです、ご注意を。

 




午後四時を過ぎた頃、まだまだ陽の高い、夕方。

「げ、とは随分な挨拶ですね神永」

貴様に礼儀はないのかと、暗に揶揄する三好に、神永は軽く肩を竦めてみせるに留めた。
まさかこのタイミングでかち合おうとは想定外だ。
此処に門限など存在しないし、待ち合わせた訳でもないというのに
ちょうど出掛けようとした神永達と、外から帰って来た三好達が遭遇する確率は、果たしていかほどだろう。
何にせよ、運が悪かったと云ってしまえばそれまでで
穏便に事を済ませようとしていた神永の目論見は、最も悪い形で破綻してしまった。
さてどう切り抜けるかなと、表情こそ変えずに思案する神永を
しかし三好はあっさり捨て置いて、早くも佐久間の方へ興味を移し

「ところで佐久間さん。貴方までお出掛けですか?」
「ま、まあな…」
「神永と一緒に?」
「……あ、ああ、」
「この僕とは出掛けてくれないのにどういう事です?」
「う…っ」

一気に畳み掛ける。
いつも声をかけたって素気なく蹴るくせに神永の誘いは断らないのか、面白くない。
という不満は勿論あるが、どういう風に詰め寄れば佐久間が困るか判った上で
わざと幼稚な追求をし反応をみるという、少々屈折した嗜好もとい、三好なりの愛情表現でもある。
ところが、期待していたような反応は返って来ず
あからさまに動揺した佐久間の目が頼りなげに泳ぎ
傍に居る神永の背に辿り着いたのを三好は見逃さなかった。
何か隠している。
それも、うんと疚しい事を。
あの佐久間が視線を逸らすなど、普通ではなかった。
おまけに顔色が仄かに朱いし、よくよく見れば髪がしんなりと柔らかく湿って
シャツがいつも着ている物ではない。
それだけの情報で、すぐにピンと来た三好は、二人から目を離さず己の背後を少しだけ向き

「波多野、今すぐ神永の部屋を見て来て下さい」
「合点!」

指示した途端、何を調べろと云わずとも、同じ当たりをつけているのだろう
待ってましたと云わんばかりに応じた波多野が、いやに軽やかな足取りで駆け出した。
神永達の横をすれ違った際の表情たるや、悪餓鬼そのもので
この状況を完全におもしろがっていた。
神永はげんなりと煙草を取り出し咥えて火をつけ、双眸を細める。
佐久間の破れたシャツと弾け飛んだ釦なら
当然すぐに拾って処分したが、まだ部屋に入られては困る。
というのも、窓を開けたとはいえ、換気は不十分であり、嗅げばそうと判る残り香と
その性的な匂いと汗がたっぷり染み付いたままのカウチが鎮座しているからだ。
明らかに事後と推察できる。
それに佐久間自体を調べられるのもマズイ。
時間が惜しいからと、濡らした手拭でおおまかに拭いてやっただけだから、色々と痕跡が残っている。
つまり結論からいうと、早々に鉢合わせした時点で詰んでいたのだ。
ちらりと肩越しに佐久間の様子を振り返ってみると
粗相した事が飼い主にバレやしないかと緊張する柴犬さながら落ち着きのない視線が
背中のあたりに必死に縋り付いているのが見え

(…うーわ、スゲェ熱視線。そんなんじゃ「何かありました!」
 って云ってるよーなモンじゃん佐久間さん)

思わず苦笑いが漏れた。
すると顔を上げた佐久間が神永に気付き、まるで開き直ったか、あるいは自棄糞のように
「もし露呈したら貴様がどうにかしろ!」と小声で唸ってギッと睨みつけてくる。
“もし”も何も、とっくにバレており、今まさに波多野が確証を得に行った訳だが…
ゆえに佐久間は慌てず騒がずいつもの軍人然とした顔をして
全部神永の所為にしておけばいいものを、どれだけ不器用なのか真面目なのか
自身の動揺すら巧く隠せもしないし卑怯にもなりきれず神永の傍に居るのだ。
まことに融通がきかぬというか、唐変木な男である。
まぁ、「どうにかしろ」というのはつまり、「任せる」という事と同義であるからして
佐久間に頼られるのも存外悪い気はしないなと、神永は僅かに口角を上げた。

「………」

そんなただならぬ仲を醸し出す二人を見て、三好の機嫌が急降下しない訳がない。
浮かべていた品の良い微笑はたちどころに質を変え
温度の無くなった笑顔の下から押し殺す気もない般若がぬらりと角を覗かせる。
男にしては紅い唇を今ほど恐ろしいと思った事はない。
さすがに顔を引き攣らせた神永が、三十六計逃げるに如かずと佐久間の腕を掴んで走り出すより早く

「動かないで下さい」

絶対零度の冷声を発したのは、三好ではなく実井であり、片手に銃を構えていた。
いつの間に。
というより、どこから取り出したのだ、そんな物騒なもの。
手弱女のような可愛らしい顔をしておきながら、それを裏切る言動に容赦はなく
一番敵に廻したくない奴に睨まれてしまったなと
神永が内心で冷や汗を流す後ろでは、佐久間が蛇を前にした蛙のように硬直している。
普段の物腰柔らかな態度と優しい気遣いをしてくれる実井しか知らなかったので
この様変わりようが余程に怖かったらしい。
そうこうする内、俊足の波多野が駆け戻って来て

「容疑者はクロであります三好閣下!」

と高らかに死刑宣告した。
少し離れた所でのんびりと傍観していた甘利と田崎が「あーあ、ご愁傷さま」と両手を合わせ
小田切と福本がやれやれという風に無言で溜息をつくと同時
三好はあらゆる表情を消してツカツカと歩き
神永ではなく佐久間のネクタイを掴んでグイと引っ張り寄せると
形の良い鼻先を近付けスンと吸い込み

「……神永クサイ」

忌々しげに吐き捨てた。
佐久間の顔がブワりと紅潮する。
その茹蛸みたいな佐久間が身に着けているのは神永のシャツで
其れからは勿論のこと、濡れ羽色の髪からも、健康的な肌からも
神永の煙草と体臭、好んでつける整髪料の婦女子うけする甘い匂いが微かに漂い
三好は綺麗な柳眉を険悪にひそめ、あからさまに不快感をあらわにした。
お気に入りの玩具に他人の手垢をつけられた気分だ。

「…やってくれましたね」

言葉もない佐久間を今すぐこの場で裸にひん剥いてやろうかとさえ思ったが
ただ衣服をはいだだけでは髪や肌に染み付いた匂いは取れない。
ならば風呂場に引きずって行って隅から隅まで洗ってやろうか
いやそれよりもすぐそこの井戸の手押しポンプで
頭から冷水をぶっかけてやる方が早いか…と視線を巡らせた先で神永と目が合い
ニヤと不愉快な笑みを向けられた三好はビキリと青筋を浮かべた。

「なんです、その顔は。まさか僕が見逃すとでも思っているんですか?」
「いや〜、テンパった三好見ンの最高だなと思ってさ」
「は、誰が」
「無理すんなって。佐久間さん取られたのがそんなに口惜しかったか?
 ま、悪ィけど、もうオレのもんだから」

わざと煽っている。
周囲で静観する者達はよく判ったが、佐久間の事となると見境がなくなる三好は
完璧に頭へ血が上っており、見え透いた挑発にも見事に引っかかって
瞬きもせず神永をねめつけながら垂れ流す殺気は本物だ。
『死ぬな殺すな』の結城中佐の教えはどうしたのか。
(ちなみに、「ばっ、滅多な事を云うな!あれは貴様が…!!」と
 耳まで真っ赤になって佐久間が喚いた事で神永の台詞に信憑性を与え、トドメになった)

完全に目の据わった三好が、おもむろに玄関口に据えてある傘立てから
スラリとあたかも日本刀を抜刀するが如く、黒い蝙蝠傘を引き抜き
大道芸人も真っ青な手捌きで軽快にクルクルと操ってみせ
初太刀一閃の如く一振りすれば、ヴオン!と傘にあるまじき唸りを上げてしなる。
便利な雨具が一瞬で凶器と化した瞬間だった。
対する神永は、咥えていた煙草を地面に落とし靴の裏で躙り消し
「へぇ、やるじゃん」と笑み実に飄々としたもので、相手の武器にも怯まない。
だが正式な決闘などではない無法の仕合において、お上品に開始を告げるゴングなどある筈もなく
予告なしに問答無用で傘を翻した三好の無慈悲な一撃が脳天に襲いかかる。
しかし神永はベルトに挟げてあった扇子をまるで銃を早抜くように取り出すと
鋭い傘の先端を往なすように払い退け、見事に防いだ。
あんな小さな物でよくも凌いだなと思わず驚嘆する佐久間の目の前で
斯くて熾烈な戦いは幕を開けた。

「おーおーホントに始めやがった。神永の本気が見れるかもな。ちょっと楽しみ」
「アイツはいっつも手抜きだからねぇ。なのにそつなくこなすのがまた憎たらしいというか」
「でもまぁ、やる時はやると思うよ」
「どうでもいいです。佐久間さん、危ないから下がった方がいいですよ」

頭の後ろで腕を組んだ波多野があたかもショーを観戦する客のように云い
甘利がしみじみと同意した後に田崎が推察するのへ実井が被せ気味に尤もな注意を促す。
誰も止めようとしない。
呆けていた佐久間は我に返って
互いに躍り掛かる二人へ「貴様らやめんか!」と一喝するも、聞く耳持たず
三好が急に傘をバツンと開いたかと思えば
相手の視界を封じると共に己の手元を隠しながら、鋭いペン先が露わな萬年筆を投げ放つ。

「ッ!」

神永は人並み外れた動体視力と反射神経をもってして身を捻り避けたものの、
カッと音を立てて建物の壁面に突き刺さった筆記用具は
さながら忍者の放つ手裏剣かというような威力であり、当たれば一溜りもないだろう。
貴様は暗器を使いこなす暗殺者かと瞠目する佐久間をよそに
体勢を崩した神永の、こめかみ、顎、咽喉仏、人中、金的など
凡そ目ぼしい人体の急所を狙い澄まし、素早く畳んだ傘の突きで
白刃の如き鋭さの攻撃を繰り出す三好のえげつなさは激化の一途を辿る。
だが神永はそれら全てを弾き、躱し、防ぎ、ことごとく決定打を与えない。
もはや人間の争いとはとても思えなかった。バケモノだ。

「どうせ、貴様が、佐久間さんを卑怯な手で、っ、嵌めたんでしょう!」
「ハァ?誘いに乗ったのは佐久間さんだし。ね?佐久間さん」

どこか引っ掛かりのある云い方だけれど、間違いではないので、佐久間が渋々頷くと
猛禽類のように瞳孔を絞った三好がギロリと一瞥をくれ
竦み上がった佐久間は次いで、絶句した。
神永の黒橡色の右目に向かって矢のように飛んだ傘の鋭い先が、開いた扇子の扇面をズブリと突き破り
果たして神永の眼球までもを貫通したかに見えのだ。
ギョッとした佐久間は慌てて駆け寄ろうとしたが
三好の後方で静観していた甘利に片手で制されたので、立ち止まり
恐る恐る神永の顔を違う角度から見遣ると、紙一重で逸れた傘の先端は
右耳の端を掠めていたようで、少しだけ血が滲んでいるものの、大事ない。
ホッと胸を撫で下ろせば、ニッと特有の悪戯っぽい笑みを返した神永が
直後に扇子を閉じ固定した上で勢いよく躰を側転させる。
扇子の骨に挟まれた傘はその動きに引き摺られ、三好の手から離れた。
敢えて扇面を利用し傘を受ける事によって軌道を逸らすと同時にしっかりと捉まえ
こうやって三好から奪う為とはいえ、一歩間違えれば重傷を負う危険もあったのに
よくもまあ当たり前のようにやってのけたものだ。
感服すら覚える佐久間と、「いつもそれぐらい本気出せよ」と囃す同期達の前で
神永は無造作に傘もろとも扇子を放り捨てると
僅かに息が乱れている三好に「まだやるか?」と余裕すら滲ませて問う。
体力と格闘技術においては神永の方が少しばかり上手らしい。

「…っく、僕はまだ、負けていない…!」
「えー?ったく、しょーがねェ奴だな……
 ンじゃー佐久間さんがどんだけエロかったか教えてやるから潔く諦めr「ッ莫迦者!!」

慌てて大声で遮った佐久間は、脈絡もなくとんでもない事を云い出した神永を捕まえ
お喋りな口をしっかりと手で塞ぎ「〜このっ、大莫迦者が…!!」と再度怒鳴ると

「三好!理由は後で説明する!
 暫く出掛けて来るから、俺が帰るまでに頭を冷やしておけ!いいな!!」

えらい剣幕でそう云い含め、ポカンとする面々には目もくれず
「貴様なんかに丸投げしようとした俺が情けない」とか何とかぶつくさ云いながら
神永をズルズルと引き摺って行き、往来へと姿を消した。

こうして、他所では決してお目にかかる事などなかろう壮絶な修羅場
もとい、痴話喧嘩は、案外あっけない幕切れとなった。

 

 

表の大通りではなく一本裏に入った商店街に、その仕立て屋はこぢんまりと構えていた。
三越でみるような立派なショー・ウヰンドではないにしろ
曇り一つなく磨き抜かれた硝子張りの陳列窓には
綺麗に仕立て上げられた黒や茶の背広と、それに見合う鞄や靴が飾られている。
中でも佐久間の目を惹いたのは、中央に飾られた白い上着で
こんな目立つものを着こなせる男は我が国に居ないんじゃないかと思ったが
いやD機関の奴らなら似合いそうだなと緩く目を細めた。口には出さなかったけれど。

「いらっしゃいませ、神永様」

無駄な高級感を抑え、洗練された上品さに統一された西洋風の店内に入ると
従業員ではなく店主と思しき初老の男が慇懃に腰を折って神永を出迎える。
よほど贔屓にしているのか、馴染の客、それも上得意に対する対応だ。

「今回はいかがなさいますかな?」
「あー、今日はオレのじゃなくて、この人の。bespokeじゃなくていいから」

神永が聞き慣れない単語を発しつつ親指で指した途端、店主の職人的な視線が
礼を欠かない程度にざっと佐久間の全身を上から下まで行き来し

「とても体格がよろしゅうございますな。羨ましい限りにございます。では此方へどうぞ」

二コリと破顔し、店の奥へと先んずる。
着衣の上から見ただけで判るのかと、度肝を抜かれた佐久間は目を瞠り、思わず隣の神永を見遣れば
この道一筋でやってきたからこその芸当で、採寸の際には職業まで推定できるらしく
ゆえにこれから佐久間が軍人だというのも恐らく把握される事になるが
そういうのを軽率に口外しない人だから安心するようにと
茶目っ気たっぷりに片目を瞑って見せるではないか。
職人も極めればそこまでの境地に至るのか、感服するしかない佐久間はふと
神永がスパイという事も把捉されてしまっているのかと心配になり、それとなく尋ねた所

「んー?あぁ、オレの採寸の時ね。判らなかったみたいよ。
 『どのような職にお就きか差し支えなければ教えて頂けますかな?』
 ってバケモノかよみたいな顔するからさ、ヒ・ミ・ツ♡って答えといた」

と綺麗な歯を見せて笑う。
それはまた随分と胡散臭いはぐらかし方だなと顔を引き攣らせた佐久間は
しかし一体どういう鍛え方をすれば正体不測の躰を作り上げる事ができるのか
今度教えては貰えないだろうかと、割と本気で考えたのだった。

「…ところで話は変わるが、さっきはどうしてあんな事を云ってまで三好を怒らせたんだ」
「あんな事って?」
「とぼけるな」

誰かに取られただとか誰かのものだとか
そもそも佐久間は物ではないし、冗談であるにしても薄ら寒いが
何故そんな意味不明な煽りが三好に対する発破になったのか理解できないのは勿論
あれだけ怒らせてまで私闘に持ち込んだその理由を知りたかった。

「どうしても何も、怒りで我を忘れた相手にオレが負ける訳ないし
 一対一に持ち込めば他の連中は基本的に手ェ出さないし
 最後は、ああ云えば佐久間さんが絶対乱入して来てお開きになるの判ってたし」
「な…!全て計算づくだったとでも云うのか!」
「あったりまえじゃん。オレを誰だと思ってんの。
 ンでも完璧主義の三好があれだけ調子狂わすなんて、佐久間さんも罪な男だよなー」
「ッ茶化すな!後で三好に説明する俺の身にもなれ!」
「ハイハイ、全部オレの所為にしていいから、とりあえず採寸行こうよ。おじさん待ってる」
「?!もっと早く云え!!」

これは申し訳なかった!と平謝りしながらすっ飛んで行く佐久間の後ろ姿を見送りながら
神永は堪えきれずクスクスと笑った。
茶化すなとは云うが、自分がどれだけ三好に想われているか、ちっとも判らないのだろうか。
理不尽というか、救いようのない朴念仁というか、三好が若干可哀想になってきた神永は
けれど佐久間に諭してやるつもりは微塵もなかった。
それは三好本人がやるべき事であるし、万が一、佐久間の気が三好に傾きでもしたら
恐らく変な操を尽くして貞淑ぶるだろうから、二度と抱けなくなる。勿体ない。
あの、まだ何も覚え込んでいない、未成熟なクセに妙な魅力を放つ佐久間の躰を
今後たっぷりと仕込んでやるのは自分だと、神永は既に決定事項として頭に描いていた。
きっとその過程はさぞかし楽しかろうし、気分がいいだろうし、気持ちいいだろう。
ゆえに、三好に云った事はあながち挑発ばかりでなく、本心でもあった。
別に囚われているつもりはないが、いつ真っ黒な孤独に放り出される人生か判らないのだ
それまでは精々、悔いのないよう、自分がやりたいと思った事は楽しんでやると決めている。
退屈というものが大嫌いだ。
漫然と生きるのはつまらない。
その意味では、与えられた『神永』という役柄は非常に都合が良かった。
とにもかくにも、マネキンの如くガチガチに固まって採寸されている佐久間を揶揄う為
完璧に足音を殺しつつそっと背後から近づき

「緊張し過ぎじゃね?」
「っふおあ?!」

ピンと張った背筋をつぅと人差し指で撫で下ろせば、素っ頓狂な声が上がった。
背中が弱いのか、そうかそうか、覚えておこう。神永は笑った。
ちなみに、佐久間に対する敬語は面倒なのでやめている。
佐久間の方が上官、という立場が必要な時だけで十分だろう。
本人も敢えて目くじらを立てるつもりはないのか勢い神永を振り返り

「何をするか貴様ァ!!」

作業の邪魔になるだろうが!と叱責する。
神永は肩を竦めた。

「え、だってもう測り終わったっしょ?」
「はい。たった今」

ちょうど巻尺をしまった店主がそう頷いて微笑んだので、佐久間はやっと肩の力を抜き
神永の子供っぽい悪戯はさて置いて、少々改まって確認するように口を開いた。

「此処まで来てなんだが…その…本当にいいのか?」
「いーのいーの。オレが破ったンだし」
「そうか…なんなら既製品でも良かったんだぞ?」

しおらしく、遠慮がちに云う様はなかなかにいじらしいが
逞しく鍛え上げられた佐久間の体躯に安物の標準的なサイズの既製品はキツイ筈である。
特に肩幅と胸囲が。

「値段気にしてンの?型があるやつ注文するから、そこまで高くないよ」
「そ、そうなのか?すまんな…ではお言葉に甘えよう」
「そーそー、神永お兄さんにドーンと甘えちゃって」
「神永様。その件ですが、シャツはいつものように仕立てしまして、背広の方はどう致しますかな?」
「そーだな…デザインはアンタの見立てに任せる。男前に似合うのを見繕ったげて。
 生地と色は佐久間さん、好きなの選んでいいから」
「…ちょっと待て。俺に背広を新調する余裕なんかないぞ?!」

トントン拍子に話しを進める二人に、佐久間は飛び上がって慌てた。
神永が弁償すると云ったのはシャツであって、背広など含まれていない。
つまり自腹を切れという事か、無理だ、と佐久間はブンブン横に首を振る。
某事情により懐は隙間風がよく通るほど寒い。
確かに新しく夏用の背広が欲しいと思っていた所ではあるが
そんな贅沢ができるような潤いのある生活状況ではないので勘弁してもらいたい。

「は?何云ってンの?オレが全部払うし。いや、云い方が悪いな。
 愛を込めて贈るから、遠慮なく受け取って」
「断る。シャツだけでいい」
「いーから。佐久間さんにそれだけの事したんだし」
「!」

後に引けなくなった勝負の流れとはいえ、佐久間は尻を掘られた。
しかし全て相手が悪い訳ではない、佐久間とて本気で抗おうと思えば出来たのだから
その事については、最初から神永の事を責め立てるつもりはない。
思い出すのは羞恥を伴うが、もう過ぎた事だ。
よもやそれを汲んで、神永は言葉での謝罪をしない代わりに
代償という方法で誠意を示し背広を贈るというのだろうか。
意外にも隅に置けない男だなと佐久間は微笑し、観念した。

「……はぁ…、仕方ない。それで貴様の気が済むなら、勝手にしろ。俺も水に流す」
「ン。交渉成立ね」

無事に丸く収まったところで、さあ生地選びである。
この中からお好きな物をと店主が示したのは、床から天井まであるような巨大な棚であり
色も違えば素材も違う様々な布が、整然と隙間なく並べられている。
正直、圧倒されるしこういった事に疎い佐久間は迷ってしまって選べない。
それに、全て布地は英国から買い付けているらしく
世の一般的な相場でも英国製布地を使った背広は一領45円という高価なものだ。
(余談だが、今日日の日雇い労働者の一日の賃金は1円43銭といった所で
 機関生ら下級将校少尉の月収はと云えば銀行員の初任給と同程度の70円である)
ゆえに、基本的なデザインが決まっている分安くなるとはいえ
神永の一月分の給料が吹っ飛ぶ可能性だって十二分にある訳で…
店のどこにも値札が見当たらないのが尚のこと恐ろしかった。
どんな物が出来上がるにしろ、まさしく最高の一張羅になるだろう。
佐久間は段々そわそわ落ち着かなくなって来て、「これ!」と決める事も出来ず
結局、夏物に適する素材なら何でもいいから選んでくれと、店主に任せる事にした。

「色はどうする?」
「そうだな…派手でない色なら何でも構わんが…」

灰や紺の地味な色合いを中心に吟味しながら顎に指を添え

「まぁ…臙脂(えんじ)以外だな」
「それなww」

佐久間にしては珍しい軽口を叩くので、すぐさま同意した神永はカラカラと笑った。
あれは三好の色だ、三好以外着こなせない、被ったら厭味を云われる事間違いなし。
といった具合に二人で相談というよりも談笑しながら選んだのは
ほんの少しだけ緑みを含んだ、黒っぽく見えるほどに濃い青、藍鉄色だった。
落ち着いた良い色だ。

「ンじゃー悪いけど超特急ね」
「お任せを」

店主に一言注文をつければ、頼もしい了承が返ってくる。
神永がこの店を重用している所以はこれに尽きた。
とにかく仕事が速い。
僅か数週間、物によってはたった数日の納期で高品質な仕事を確実に納める。
今回も恐らく一週間とかからないだろう。

「それまでは佐久間さん、オレのシャツそのまま貸したげるよ。頑張って乗り切って」

三好がうるさいだろうけど、と付け加え
他人事のように笑う神永を一睨みした佐久間は、途端に気が重くなり溜息をついた。

「出来上がったら配達じゃなく連絡もらうようになってるから、引き取りは宜しく」
「わかった…」

途中の仮縫いも必要ないので、次にこの店に来るのは、出来上がった物を受け取りに来る時である。
而して、「支払いはいつも通りで」「かしこまりました」という遣り取りで全ての話は纏り
来店時と全く同じように深く腰を折る店主へ
「お騒がせした」と頭を下げた佐久間と、後ろ姿で片手をヒラヒラと振った神永は
すっかり長居してしまった店を出た。


「あそーだ、佐久間さん!」

その帰りしな、思い出したように立ち止まった神永が
赤い『氷』の文字と青い波が涼し気なホーロー看板をつけた氷屋の前で手招きする。

「どうした?」
「半貫目だけ買って帰る。ついでに、かき氷食べよーよ」
「それも貴様の奢りか?」
「もっちろん」

ニカッと憎めない笑顔でそう云うので、佐久間は苦笑して厚意を受け取る事にした。
神永の懐事情など、今更心配する必要もない。
D機関の人間の素行を深く考えるだけ無駄だ。
天高くそびえ立つ入道雲が居座り、ひぐらしの鳴き声が遠く聞こえる夕方の茜に
シャッシャッと削られ飛び散る氷の欠片がキラキラと輝いて、佐久間は目を細める。
たっぷり砂糖蜜をかけた「みぞれ」は、頬が落ちるかと思うほど美味かった。


「たっだいま〜」

そろそろ夕飯時という頃に、漸く二人は帰って来た。
気さくな神永の横に並び玄関を上がった佐久間も、そこまでは大変にご機嫌であった。
ところが、「さあ僕が納得できるような説明とやらをしてもらいましょうか」
と待ち構えていた三好に即拉致され、まるで審問、否、尋問の如き苛烈さで迫る男に
延々と半泣きになりながら必死に事の経緯の説明と、矛を収めるよう説得を試みるという
まさに『天国から地獄』を味わう破目になった佐久間である。
途中で盛大に腹の虫が鳴かなければ、朝まで解放されなかったに違いない。
「全部オレの所為にしていいから」と云われていたものの
神永が一方的に悪い訳ではないという考えである佐久間が神永を庇う発言をした為
三好の機嫌は過去最高に拗れてしまったが。
まぁ、暫くもすれば、上手く折り合いをつけるだろう。
常人よりも遥かに優秀なD機関の一員である三好なのだから。
そう結論づけた佐久間は、すっかり遅くなってしまった夕餉にありつき
明日改めて、神永にはかき氷と背広の礼を云っておくべきかなと
取り留めのない事を考えながら、就寝した。

けれど次の日、神永は早朝から任務で出て行ったらしく、顔すら会わせられなかった。
そんな話しは聞いていないが…と首を捻った佐久間は、すぐにハッとする。
暫く前に、「英国ロンドンに潜入しろ。時期はおって指示する」
と執務室で神永に資料を渡していた結城中佐を思い出したのだ。
具体的な任務内容、時期等は、所詮連絡係でしかない佐久間は知らない
否、知らされていなかった。
だからと云って余計な探りを入れるつもりはなかったし
神永も全く普段通りの様子で生活していたので
いつしかそんな命令があった事すら忘れていたのだから、お粗末な話しである。
とはいえ、まさか今日この日、いきなり出立とは……
神永自身そんな事は一言も云ってなかったし、昨日だってその素振りすら見せなかったのに。

(…いや、スパイとしては当たり前の行動か…)

任務については一切極秘でなければならない。
つまり『疎外感』なんて物を感じるのは、甚だお門違いだ。判っている。
佐久間はフゥと深呼吸し、変にざわついてしまった気持ちを落ち着けた。
らしくない。神永の行方一つでここまで動揺するなど。
とはいえ、気にならないと云えば嘘になる。
遠い異国の地に身を潜める期間は果たして短期的なものになるのか
あるいは中長期になるのか…佐久間には全く先を見通す事はできないし
たった一人で周囲を欺きつつ潜入し続けるのは決して容易な事ではないだろう。
しかし佐久間が此処でいくら気を揉んだ所で、どうにかなる訳もなく
ただ、あの強かな神永ならばきっと上手くやるに違いない、という絶対の確信はあった。

だから、佐久間は静かに待った。

いつ帰還するのか判らない男を、何日も。

もしかしたら、今日帰って来るかもしれない。
あるいは、明日か。
それとも、明後日か。

そうやって毎日毎日飽きもせず待っている内に
食堂のドアをくぐる者が居る都度「もしや神永かも知れない」と
パッと顔を確認する変な癖がついてしまった。
残っていた他の機関生達はその様を
「恋人を待つ乙女」やら「忠犬サク公」だとか云って散々揶揄いまくったし
三好なぞハッキリ「あなたがそこまでバカだとは思いませんでした」と
侮蔑…とは違う、何やら口惜しそうな顔をして
ついでにシャツの件も案の定しつこく噛み付き廻って来る日々が続いた。

そんな折、例の仕立て屋から連絡が入った。神永が云うだけあって流石に早い。
佐久間はすぐに支度をして店に向かい
恭しく差し出された見事な仕上がりの背広とシャツを受け取ったのだが
神永は一緒ではないのか如何かしたのかというような質問は一切無く
もしや訊かれるかもと思い身構えていたので、拍子抜けした。
職業不詳の神永については要らぬ詮索をしないという店主の姿勢だろうか。
偽名とはいえ折角『神永』を知る人間に機関生以外で初めて出会ったというのに
それは何だか寂しいというか、遣る瀬無い気がして
無性に、今すぐ、神永のあのやんちゃそうな顔が見たくなった。
なった所で、叶う筈もないのに。

(…何を詮無い事を考えているんだ俺は……帰ろう)

これではまるで、本当に恋をしているようだと薄く自嘲しつつ
店を出ようとした佐久間はふと、ある物に目が留まって、立ち止まった。

 

 

「神永が帰って来るみたいですよ」

良かったですね佐久間さん、明日には此処に到着する予定ですと田崎が微笑む。
神永が任務に出発してから、約一ヶ月が経っていた。
食堂で夕餉を摂っていた最中に藪から棒にそう告げられた佐久間は

「……そうか」

とだけ答えると、黙々と平らげ、食器を片し、自室へと下がった。
「もっと喜ぶかと思ってたけど、どうしたのかな?」と首を傾げる田崎に
「余計な事を…」と三好が毒づいていた事など知るよしもない当の佐久間はと云えば
洋服箪笥にしまい込んだままにしてあった背広とシャツを取り出し
いつも着ていた物と取り替え、定位置に吊っておく。
明日着るためだ。
それと、引き出しの奥に片手を突っ込んで、何かを探すようにひっかき回し
目当ての物を見つけると、安堵の息をついた。

翌晩。
厳しい暑さがほんの少し和らいできた処暑の時分
気が早い秋の虫の鳴き声があちこちから聞こえ出す夜に、神永は帰って来た。
何はともあれ先ずは中佐への報告であると、寄り道せず執務室へと直行した為
他の面子と会う事はなかった。
好都合だ。
今、神永の顔は死んでいる。
道中で仮眠を取ったとはいえ、疲れていた。
任地のロンドンでとんでもない目に遭ったのだ。
意識の多層化という無茶な訓練のおかげで切り抜けたものの
出来れば二度と自白剤などという代物には関わりたくないものである。
それと、潜入国の諜報機関に捕らえられた挙句に尋問されたなどという
そんな恰好の悪い話しは出来れば、
部屋に同席しているだろう佐久間には聞かれたくない。
英国駐在の外交官の失態を暴くという本来の任務が裏にあり
その事に神永が後から気付き結果的に成功を納めたにしても、だ。
ちょっとした矜持と見栄。
ここの者達ならきっと誰もがそう思う筈だ。
さて、それよりそろそろ対結城中佐用の鉄面皮でも装うかなと顔を上げた神永は

「……え。何で居ンの?」

何故か執務室の中ではなく扉の前の廊下で立ち尽くす男、佐久間に気付き声を上げた。

「それが、俺にも良く判らんのだ。結城中佐が今日はもう下がっていいと。
 そして貴様に会ったら、報告は明日で構わんと伝えておけ、と云われた」

それは一体どういう意味なのか。
餞別で託された書物と同様、何かあるのかと中佐の意図を考えようとして
「俺も貴様に少し用があったんだが、疲れているようだから明日にする。またな」
と断りながら立ち去ろうとする佐久間の姿を、否、正確には
しょんぼり残念そうな横顔と、着ている物を間近で見るなり
神永は眠たげだった瞼をクワと開いて無言で佐久間の腕をひっ掴むと
有無を云わせず外へと連れ出した。

「おい!どこに行くつもりだ!」

焦る佐久間を黙殺し、通い慣れた路を闊歩する淀みない足取りそのもので
一軒の古民家風の宿屋に辿り着くと、店の者に「もみじ」とだけ告げ
出された鍵を受け取るなり勝手知ったる様子で階段を上って廊下を歩き
一番奥の『紅葉之間』という札のかかった部屋の
風情ある鍵付網代格子戸を開いて佐久間を乱暴に押し込んだ。

「…!」

明り取りの為の小洒落た障子から僅かに差し込む月光と
淡く抑えられた照明に薄ぼんやりと照らされるのは、六畳ほどの座敷であり
中央には、ふかふかに柔らかそうな蒲団が一揃い敷いてある。
角には黒塗りの衣桁、壁は鮮やかかつ妙に官能的な紅殻(ベンガラ)色で塗りたくられ
近頃急に増えて来た円宿、いわゆる『連れ込み宿』といった、いかにもな雰囲気だった。
佐久間は気圧され、すぐに踵を返すも、背後の神永と視線がぶつかった途端、硬直する。

「逃がさねェけど?」

と雄弁に物語る垂れがちな目は、疎い佐久間でもそうと判るほど欲を滾らせていた。
何故か背がゾクと震える。
そんな佐久間の一挙一動、そして真新しい背広とシャツを眺めながら
神永は殊更ゆっくりと口を開いた。

「わざわざ今日、着てくれたんだ。しかも下ろしたてを」
「う…」
「オレが帰って来るから?」

神永が日本へ帰って来るよりだいぶ前に、背広もシャツも仕上がっていた筈だ。
しかし、仄かに箪笥の匂いが移っているのが感じられ
つまり普段着ておらず、今日初めて袖を通したという証拠であり、その事を指摘すれば

「べ、別に貴様を喜ばせようとか、そんなんじゃなくてだな、、
 その、シャツは貴様から借りていたのがあったし、
 夏用の背広だって、まだ古いのが着られたし……
 だからと云って、折角貴様に買って貰った物をずっと着ないというのもな…
 従って、今日、たまたま、下ろした所に、貴様が帰って来たんだ」

とか何とか、佐久間にしては実に長ったらしく歯切れの悪い云い訳をするではないか。
今日たまたまとは、よく云う。
予め、敢えて、帰る日を知らせてあったのだから、偶然な訳がない。
よって、佐久間のまことに不器用な照れ隠しは残念ながら見え見えである。
可愛すぎかよと神永が内心で呟いた所で
佐久間は少しだけ躊躇う仕草を見せた後、意を決したようにスッと息を吸い

「…それと、俺ばかり貰っていたのでは悪いからな。心ばかりのお返しだ、受け取れ」

貴様の好みに合うか判らんが、とモゴモゴ口篭りながら
上着の内ポケットから取り出したのは、品の良い包装紙に包まれた小振りな物体で
神永は手に押し付けられた物と佐久間の気恥ずかしそうな顔を交互に見詰めてから
中身を確認し、片方の口角をグイと吊り上げた。
濃い緑色のネクタイが、神永の手の中でハラリと解ける。
佐久間の云っていた「少しの用」というのはコレだろう。
背広を配達させずにわざわざ店まで取りに行かせた意図に気付く事もなく
しかし神永の思惑通りに行動してくれた訳である。上々だ。
律儀に「お返し」を購入する佐久間の様子や心情すら手に取るように想像でき
神永は程好く色めき立つ己の情火を心地よく感じながら

「……なァ佐久間さん。あんたにイイ事教えてやろうか」
「な、なんだ」

纏わる空気を察知して緊張を見せる佐久間の上着を、ごく自然な所作で脱がせ

「男が服を贈るのって、それを脱がせたいっていうサインでさ」
「な…?!初耳だぞそんな話し…!!」

衣桁にぶら下がっていたハンガーに型崩れしないよう掛けてから
己の上着と、新品のネクタイも落ちないよう同様に吊り

「あと、お返しにネクタイを贈るのは、そのサインに『了承しました』って事」
「なん、だと…? いやっ、そもそも俺はそんなつもりで買ったんじゃ…!」
「だろうね。でもまぁ、こういう展開になるって判ってたから、背広も贈ったンだよな。
 だからオレは、最初から佐久間さんをまた抱くつもりだったワケ」

信じられないとでもいうように固まった佐久間のサスペンダーの留め具を外し
スラックスの前閉じを弾き開けば、ストン!と重力に従って下に落ちた。
あまりの早業にギョッとした佐久間が思わず後退ると
足元に溜まっていたスラックスに足を取られ、体勢を崩して蒲団の上に尻もちをつく。
神永はそうなる事を予測していたように無駄のない動きで
佐久間の脚からスラックスと靴下を回収すると、衣桁へ掛けて己のも同じようにした。
手慣れ過ぎていて恐ろしい。
身の危険しか感じられない佐久間は、さっと室内を見渡したが
生憎と出口は神永の背後にある引戸だけである。
さすがに二階の窓から飛び降りる気はしない。
完全に逃げ場がない事実に焦ってジリジリと後退するも、真っ赤な壁に行き詰まり
「あ、」と思った時には身を屈めた神永の手がシャツの釦に掛かって
咄嗟に身を捻ろうとしたが、「また破けちまうぜ」という言葉に
ハッとして動きを止めると同時、シュルとネクタイを解き抜かれ
丁寧にシャツも取り去られて衣桁へ投げられた。
残るは心もとない肌着だけである。
これは死守せねばと身を固くするも、「抵抗するならまた縛るけど?」
などと意地の悪い声で神永が云うので、佐久間は凍り付き、しかしすぐに我に返って

「お、おかしいだろう神永!このあいだ水に流したばかりだぞ!!」
「あー、そう云えばそうだっけ?」
「また勝負だとでも云うつもりか?!」
「いーや?だからさっきも云ったけど、佐久間さんのこと本気で抱きたいってだけ」
「!!」

掘った掘られたの話しには終止符を打った筈だと訴えるも
返事は予想外過ぎて開いた口が塞がらない。
おまけに、混乱する佐久間の目の前でネクタイを解きシャツを脱いだ神永は
悠然とした笑みを浮かべ

「佐久間さんさ、オレが居ない間、ずっとオレのこと考えてただろ」
「そ、、ッン…!?」

往生際の悪い佐久間の心裡を容易く云い当て
これ以上の押し問答は不要とばかりに佐久間の開いた口を唇で塞いだ。
目を白黒させる佐久間の歯列を舌先でこじ開けるとすぐ近くにあった舌に掠り
慌てふためいて引っ込んだ其れを追うように角度を変え深く覆い被されば
批難か文句を叫びたかったらしい佐久間の蠢いた舌と良い具合に絡まって
もろな粘膜同士の触れ合いに、今回は「接吻」という自覚を伴った佐久間の反応は
「んっ、…んっ…!」と鼻に抜ける甘ったるい困り声である。
拘束をしていないのに跳ね除けないのを見る限り
どうすればいいのか迷っている、という所か。十分だ。
神永は静かに笑んで佐久間の肌着を取っ払い全裸に剥くと
既にしっとりと汗ばんでいる素肌に手を這わせ
存在感のある胸板を不埒な手付きで揉みしだき、やわい乳暈を探り当てて捏ね廻す。
佐久間はビクリと跳ねた。

「うっ、あ…!よせ…莫迦!」
「ホント減らず口だな」
「っく、、ッ、う」

ふくりと膨らんだ先端を神永の指に強めに押し潰され
すぐに慰めるように親指の腹で撫で上げられると、触られてもいない局部が疼き
佐久間は太腿を抱き込んですり合わせ隠そうと思ったが
壁に半分背を預け座り込んだ両脚の間にはしっかりと神永が陣取っており
ゆるく曲がった両膝の下を潜るように男の長い脚が通り、菱形に佐久間の尻を囲う。
もし引き寄せられたら、まかり間違って神永に乗り上げてしまいそうだ。
佐久間は居心地悪そうに目の前の両肩に手を掛け腕を突っ張ってみたけれど
意に介さない男はより密着して首筋を舌で舐め上げつつ
とっくに気付いていたとばかりに佐久間の牡に手を伸ばし握り込む。

「っ、!…ぅっ、…ッ、ッ…!」

同じ男だ、扱く強さも速度も心得たもので
手慣れた愛撫を施されてたちどころに芯の通った中心は
頭をもたげてそそり立ち、滲み出た先走りを絡めて神永が手を往復させる度
にちにちと粘り気のある音を立てる。
ゾゾゾと這い廻る快楽と羞恥で、顔と云わず耳と云わず
下腹部まで熱くなってきた佐久間は小さく首を振った。
生理現象とか本能とか、本当に単純なもので、一度火がつけば
極める事しか考えられなくなるし、最後は吐き出さずには居られない。
その感覚を妄想して無意識に腰さえ揺れた所で
不意に神永が片手を佐久間の背に廻し引き寄せながら尻を脹脛で押し込んだ為
やはり必然的に神永の太腿の上に乗り上げる形になる。
その破廉恥な体勢を嫌い逃れようと腰を浮かせるも
がっちりと捕まえられ、菊座にぬらぬらとヌルつく液体を纏った異物が侵入した。
神永の指である。
枕元に据え置かれていた「連れ込み宿ならでは」の物が揃った盆を
いつの間に手元へ引き寄せていたのか、何にせよ相変わらずの手際の良さといい
先の受付からこの部屋に至るまでといい、神永がどんな男かというのは良く判った。
不特定か特定の相手か知った事ではないが
同じ所に連れ込まれたのは何となく気に入らず、「離せ」と短く拒絶の言葉を吐けば
おかしくて堪らないという風にクツクツ哂う神永が前戯の手を止める事もなく

「ヤキモチ?」
「…ッ!!」

余裕綽々で、容易く佐久間の爛れた気持ちに名前を付ける。
何もかもお見通しなのだ。
佐久間は辟易した。
隠せるものなら隠しておきたかった形知れずの物を、
直視せざるをえない目の前にドン!と置かれた気さえした。

「ってかさ、さっきオレ、盛大な愛の告白をしたつもりなんだけども?」
「………は?」
「また抱きたいって粋狂なこと思うぐらいには佐久間さんを気に入ってるって云ってンの。
 あと、何か勘違いしてるみたいだから補足しとくけどさ
 オレは別に節操なしって訳じゃなく、単に情報収集してただけだから。
 でも、佐久間さんは全然別。色狂い上等だ。この意味判る?」
「…な、ん、、」

触れた箇所が火傷しそうなほど、佐久間の全身が熱くなる。
今が白昼であれば、さぞかし紅い肌を見られた事だろう。

「判ったら意地ばっか張らずにちゃんと認めろ。アンタが持て余してる感情もだ」

佐久間が頑固で強情なのは、我慢くらべの時から身をもって知っている。
故に神永は搦手から攻める事にしたのだ。
本来ならば色恋沙汰など面倒なだけと白けるところだが
元より、佐久間の躰を独占するという目的は今もって変わらないので
其処へついでに心も付随してくるなら、余計な事を憂慮する必要がなくなり
まさに願ったり叶ったりである。万事合理的だ。
佐久間の出方次第では落とし方を再考するつもりでいたものの
これまでの言動、そして手応えからして、佐久間がどう答えるのかは、既に予測していた。

「……俺の負けだ」

貴様の云う通り、認める…と、消え入りそうな声ではあるものの、確かにそう囁く。
神永は、かつてどんな人間を遣り込めようとも感じる事のなかった高揚感を覚えつつ
今にも慙死しそうだとばかりに俯く佐久間の上気して熱い頬に軽く口付け
「ヨロシイ。素直な子にはご褒美」、と
自分に云ったのか佐久間に云ったのか判ったものじゃない不穏な言葉を垂らしてから
煽るだけ煽って放置していた佐久間の張り詰めた牡への愛撫と共に
菊座を解す作業を器用に再開した。

「っ、、ツ…!」
「ごめん、三本いけそうだったから入れた。苦しい?」
「…問題、ない…っ、」
「そ?ンじゃ遠慮なく」
「ッ!っ、、ふ…ぅ…、ぅ…!」

負けを認めたクセに、やせ我慢するのは相変わらずのようで
問題ないと云いながら苦し気な吐息を溢す佐久間の
涙ぐむ鈴口をあやすように指先の腹で撫でつけた後
菊座に突っ込んだ指が根元まで入った時点ですぐに引き抜き

「ひ?!、あ、あ゛!!」

体重を預け切ることなく中途半端な中腰で耐えていた佐久間の肩を掴んで
上から力任せに押さえつけた。
踏ん張り切れず落ちた佐久間の尻に
十分な硬度をもった神永の一物がズグズグと埋まっていく。
意外と菊座の薄皮はよく伸びるものだ、それに濡らし解した甲斐もあって
はち切れる様子なく神永を迎え入れるだけでなく、その熱さに驚いてか
まるで固唾を呑むように細やかに蠕動した。

「ふーッ…、ふーッ…、ふーッ、、」

前回味わった息苦しさの経験に学んでか促さずとも自ら大きく呼吸する佐久間に
神永は一つ笑みを溢すと、引き締まった尻たぶをしっかりと抱え込み、数度揺すり上げた。

「っ!っ…!う、…ぐ…ッ」

歯を食い縛った佐久間が呻き声を上げる。
それがどういう風に艶を帯びていき変貌するか知っている神永は
気の赴くままにしこたま突き上げてやりたい衝動を何とか抑え
肉食獣のようにペロリと口端を舐めつつ佐久間を小刻みに揺すりながら
片手を萎えかけている牡へと廻し、緩やかに扱いてやる。
すると佐久間は大仰にビクつき、神永の肩に五指を食い込ませ、口を開いた。

「…いい、、から、…うっ、早く、済ませろ…!」
「ん?いいって、気持ちイイってこと?あっそー、じゃあ神永くん頑張っちゃう」
「?!ち、ちがッ!そうじゃな、っあ!…あ!」

焦る佐久間の敏感な背筋を撫で下ろしつつ深く抉れば、咽喉も背も弓なりに反って
呼応するように中が強く収縮した途端、泣き処でも掠めたか、身悶えて声を上げる。
久方ぶりに聞く、あの悩ましい声だ。
神永は頗る興が乗り、続けざまに同じ工程を繰り返す。
すると堪らないといった風に固く目を閉じた佐久間が必死にしがみつき
乱れ切った吐息に気持ちよさそうな声を混じらせ、小気味良く内壁を締める。

「ふ、あ…、…ン、く…!」

感じているのは紛れもない快楽で、それを与えているのは目の前の男だと
受け入れ認めた為か余計に躰が熱くなった佐久間は辛く喘ぎ
ともすれば弾けそうになる子種を何とか耐えた。
まさか御釜を掘られて達するなど、なけなしの自尊心が許さない。
けれどそんな佐久間の都合を軽くあしらうばかりか逆手に取るのが神永だ。

「前にも云ったけどさ、別に我慢しなくてもいいって」
「、がま、ん、など…俺は…!う、あっ、あっ、あっ、やめ…!かみ、なが…ッ」

互いの腹筋の間に挟まれ苦し気にしている一物に手を掛けつつ
顕著な反応を示す泣き処ばかりを狙いすましてガツガツと腰を揺すれば
追い込まれた佐久間が切れ切れに跳ねる嬌声の端に哀願すら滲ませ名を呼ぶ。
頑なな尊厳が陥落するのが先か、それとも絶頂を迎えるのが先か…
何にせよ、どちらも確実に目の前であるというのに
懸命に悪あがきする様は滑稽を通り越して寧ろ愛おしさすら感じさせ
いいかげん対面座位が焦れったくなっていた神永は
折良いとばかりに自身を収めたまま佐久間を抱き込んで押し倒し
正面からしっかり覆い被さってから本格的に、容赦なく、少々手荒に貫き犯す。

「はっ、う、…あァ、ア!急にそ、ッンな…!くる、し…っ、んっンッ、あ!」
「ハッ、佐久間さん、中、スゲェ痙攣してる。最ッ高…!」
「っ、は、ァッ、…あ……!!」
「…ッ、」

興奮気味に語気を荒げた神永にこれでもかと突き上げられては
熱と摩擦と快楽が一緒くたに押し寄せ、到頭崖から追い落とされるように佐久間が吐精すると
やや遅れて腹の奥にびしゃりと微温い体液を引っ掛けられる。
折角用意されている避妊具を使わなかった神永が達した所為だ。

「…きさ、ま、、中に……っ」
「うん、そーいう気分だったから」

佐久間の体内の一番深い所にまで唾をつけておきたい
そんな無意味で身勝手で後始末が増えるだけの下らない行為だけれど
得も云われぬ征服欲と所有欲が満たされたのは事実であり
悪びれも無く哂った神永は数度腰を前後させ残滓を擦り付けるようにしてから
ズルリと己の牡を引き抜く。

「、、、うっ、」

中を占領していた物が無くなると共に佐久間は力尽きたように突っ伏し
まるで全力疾走した後のようにゼェハァと肩で息をついていると、神永が徐に掌でグニと尻肉を押し分け
腫れぼったく熱を持ち白濁で潤む菊座を親指の腹で思わせ振りに撫で摩る。
まさかまだ続けるつもりなのだろうか。
付き合いきれないし身が持たないと危険を感じた佐久間は身を捻り
まさにほうほうの体で、這いずってでも神永と距離を取ろうとしたものの
「バカだなァ佐久間さん、どこ行こうっての?」と足首を掴まれ
「ヒッ…!」と情けない悲鳴を上げると同時にズルズルと引き戻される。
虚しく空を掻く手の先。
しかしその奥の壁の下部に、小さな襖があるのを見つけ、ハッとする。
ほふく全身すれば何とか通れるだろうかという
茶室の躙り口ほどのそれは、今の佐久間には脱出口にしか見えなかった。
藁にも縋る思いで其処を目指そうとするも
悠々と立ち上がった神永に腰を捕らわれ持ち上げられた為に
尻だけ突き出した間抜けな恰好になる。
それでも負けじと必死に伸ばした指先が小さな襖の雅な引手に触れ
殆ど掻きむしるように横へ引けば、現れたのは出口ではなく、鏡だった。

「な…!」
「さっすが佐久間さん。『襖鏡』を早速活用したがるとは、通だねェ」
「?!」

状況に順応できず固まる佐久間へ、いかにも愉し気に神永が囁き
鏡の中で視線を合わせながら、菊座にヒタリと宛がった牡を
勿体ぶった緩慢さでゆっくりと挿入する。

「は…、う……ッ、、」

すんなり抵抗なく押し入ってきた神永のものには全く衰えが感じられない。
脂汗を浮かべ顔を引き攣らせた佐久間によぎった恐怖はさても此処からが本番だった。

「あ、…あ、…あっ…!よ、せ…、、神永…っ!」
「使い始めたのは佐久間さんっしょ?だったらちゃあんと見なきゃ」
「ひっ、う゛…う!」

本来、狭い部屋を広く見せるための仕掛けである鏡には
仄明るい室内の様子、つまりは最中の様相がきっちりと映り込んで見え
佐久間に云わせれば「悪趣味」の一言に尽きたが
こうやって応用するのが面白いのだと、男は云う。
これでもかと密着しあい獣のように尻を背後から穿たれる痴態どころか
戸惑いながらも快楽に蕩けかけた表情を浮かべている自身をも明け透けに曝され、佐久間は堪らず戦慄いた。

…こんな顔、知らない…!

否定しようにも、後ろからパン!と乾いた音がするほど強く腰を打ち付けられれば
「あっ」と恥じらいなく口を開いた己が唾すら垂らしながら悩まし気に悦がる。
猛烈な羞恥が沸き起こるものの、腰骨をがっちりと掴んで離さない神永に
幾度も幾度も揺さ振られると逃れようのない官能が襲い来て
腰砕けになってなすがままになるしかない。
恥悦にまみれながら早々に二度目の精を放つも、解放して貰える様子はまるでなく
挙句に途中でまたしても体位を変えた神永に
鏡を介して、男の一物をぬぷぬぷと呑吐する生々しい結合部分を見せつけられ
臨界点間近だった思考と理性はついに焼き切れて、何も考えられなくなった。

「いっ、ひぃっ、あ!あぁッ、はあァッ!んぐっ、あ、あ゛!!」
「すっげぇやらしい声…!下まで筒抜けなんじゃねー、の!」
「?!ふぐぅ、ッうう、あ…!!」

下品な揶揄もろくに聞こえぬ佐久間はただただ奔騰に喘ぎ散らし
それを待ち望んでいた神永は満足げにほくそ笑んで
淫靡に絡みついて来る熱く熟れた肉を突いては抉り
それこそ宣言通り色狂いの如く、たっぷりと堪能した。
そして、

「っく、」
「……あ、!……あ、、」

どれほど突いたか忘れた頃、非常に心地良い佐久間の中で達すると
佐久間の方も弱々しい、けれど感極まった声を点々と漏らして、随分と薄く量の少ない射精をする。
それを撫でつ眺めつ、神永は頭の片隅でふと結城中佐の伝言を思い出していた。
報告が明日でいいと許したのはつまり
神永にたちまち何を与えれば満足するか判った上での事だろう。
今回の任務を滞りなく遂行した事への報酬なのか
それとも、次またどんな暗闇に放り込まれるか判らない神永への、少しばかり早い餞別か。
何にせよ、佐久間との『次』とて確約などできないのだ
それまでは、魔王の黙認も得た事だし、好きにやらせてもらうさと不遜に笑んだ神永は
心此処にあらずといった具合に放心してヒクヒク痙攣する佐久間の
しどけなく半開きになっていた下肢を改めて大きく押し拡げ
まだまだ萎える気配のない自身の牡をゆっくりと捻じ込んでいった。

 


翌朝、否、とうに陽の昇りきった昼である。
夜すがら乱交染みた情事に耽った結果
佐久間がほとんど気を失うように眠ったのは明け方だった。躰は果てしなく怠重い。
一方の神永はといえば、いつからそうしていたのか、目を覚ました佐久間をジッと眺め
ちゃんと眠ったのか定かではないけれど、その顔からは既に疲労の色は消えており
人間離れした体力を見せつけてくれるだけでなく
宿に完備されていた風呂へ佐久間を伴いあれこれと世話を焼いてくれるという
赤面ものの気遣いまでしてくれた。
佐久間は一人恥ずかしいやら面映ゆいやら
今後どういう対応をしていけばいいのやらと云々頭を悩ませていたが
「報告しに帰る前に、腹拵えしてから行こうよ。うまい洋食屋知ってるからさ」
と願ってもない神永からの申し出に、ころっと気分を切り替え、二つ返事で了解した。
頭の中は既にオムライスにしようかそれともトンカツにしようかそれとも…である。

「…ちょろ過ぎだろ佐久間さん。まぁそこも可愛いけどさ」
「何か云ったか?」
「いーや別に。それよりほら、ちゃっちゃと支度しなよ」

佐久間自身よりも佐久間の扱い方を心得ている神永は、うまく佐久間を御し
身支度を整えつつ、よくもまぁこの短期間で親密になったもんだなと感慨深く目を細める。
正直ここまで思い通りに事が運ぶとは思っていなかった。
嬉しい誤算というべきか、而してこれから愉しくなるだろう。
望んでいた物が望み通りの形で手に入ったのだから。
故に、もう以前のように佐久間との事を隠そうとしたり
他の機関生の追及から逃げるような真似や



『誤魔化すのはやめだ』



せいぜい三好達に見せつけてやろう。
神永は不敵な笑みを浮かべ、新しい濃緑のネクタイを締めた。

 



【終】


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あとがき

ぐっだぐだですみませんでした; 
佐久間さんに「私の為に争わないで!」的な台詞を言わせたかったんですけど無理でした(笑)
それとツンデレの可能性を模索してみましたがとんだ大火傷です(私が) 
でもこれで心置きなくイチャイチャ(?)させられるので
もし続きを書くとしたら、惚気は勿論、エロ三昧(青姦とか)アホなこと考えてます^^
そして神永は、佐久間さんの事を落とした気になってますが
実際神永の方が、佐久間さんにドンドンのめり込んで行けばいいなと(笑)
あと、はしょった遣り取りを折角なのでブッ込んどきます↓


―――――――――――


「てか聞いてよ佐久間さん!今回の任務に出発する前に
福本がお弁当持たせてくれたンだけどさぁ」
「それは良かったな。勝手に厨房の物を漁った事、怒ってなかったんだな」
「と思うじゃない?」
「違うのか?」
「蓋を開けたらビックリ、反転日の丸弁当だった」
「…うん?」

たっぷりの白米の中心に一粒の梅干し、ではなく
ぎっちぎちに敷き詰められた梅干しの真ん中に一抓みの米が乗っていたらしい。

佐久間は声を上げて笑った。


――――――――――


はい、という訳で、反動でそろそろシリアスというか鬼畜猟奇愛系書きたくて堪らないです。

・ゆうさくで洗脳佐久間さん
・8人共謀x佐久間さん
・紳士系ゲス田崎&やんちゃ系鬼畜神永にとことん追っかけられる佐久間さん

あたりを書きたい…な!(言うのはタダw)


2016/09/07  いた。