※時系列完全無視、n番煎じ、キャラ崩壊、捏造諸々してますご注意を!


 

 

『酔っぱらい佐久間さんの受難』

 


「実井〜!俺はもっと飲むぞォ!」

早く酒を持って来〜い!だははは!!
と豪快に笑い、真っ赤な顔をして実井の首に腕を廻しはしゃいでいるのが
よもや帝国陸軍中尉佐久間であると、誰が信じるだろうか。いや信じまい。
いつもはキリリと鋭い眼光は消え失せ、据わった双眸の焦点は定まらず
普段の真面目くさった顔はニコニコと相好を崩して、終始下がりきった眦は威厳も何もあったものじゃない。
日中一分の隙もないほど凛々しい男は今や茹でたタコのようにぐにゃんぐにゃんに酔っぱらっている。
どうしてこうなってしまったのか。
まず云い出しっぺは実井である。

「一緒に飲みたいです」

風呂上りでほかほかと熱気冷めやらぬ、石鹸の良い匂いのする佐久間を、否やを云わせず捕まえた。
理由は単純明快、あの三好の誘いをことごとく跳ね除ける
難攻不落の鉄壁な堅物を落としてみたい、これに尽きた。
ただ一筋縄でうまく丸め込めるとは思っていなかったので
波多野という強力な助っ人との共謀により、
なんとか食堂に引っ張り込む事に成功して(力技による物理的なゴリ押しとも云う)
ほぼ強制的に酒盛りを始めたのが、約一時間前の事である。
とっておきの上等な日本酒を引っ張り出し、居心地悪そうに身を固くする佐久間に「どうぞどうぞ」と勧め
固辞しようとするのを遮る形で手ずから酌をしてやると、最初は遠慮がちだった一口が、次第にぐいぐいと進みだし
「案外いけるじゃないか」と実井と波多野が驚くのも束の間、あっと云う間に徳利を一つ空にした。
予想外の飲みっぷりである。
てっきり下戸だと思っていたので、さんざ揶揄ってやるべく意気揚々としていたのだが
これはこれで、酔わせたらどうなるのか、確かめついでに佐久間の弱みを握るのも一興。
と二人が性質の悪い笑みを浮かべていると、福本がのっそりと現れ
黙って台所に立つと、明日の朝食の仕込みがてら、酒のつまみと熱燗を用意してくれる。
最高だった。
そこから一気に酒を呷るペースが上がり
実井と波多野も各々手酌をする傍らで、佐久間の猪口が止まらない。
テーブルの上の灰皿が三人分の煙草の吸殻でいっぱいになって
つまみの皿が綺麗になる頃には、佐久間の顔はそれと判るほど仄赤くなり
そうこうする内、「なんだどうした」と次々に食堂へ顔を覗かせる訓練生達に
面白がるように代わる代わる酌をされ、だんだん気持ち良くなってきた佐久間は
「もうこれで終いだ」と打ち切る機会を完全に逸してしまって

(そもそも、福本の作る酒のつまみがやたら美味いのが悪いんだ)

という責任転嫁を成し遂げるぐらいには程好く酔っていた。
とにかく気分が良い。
己を取り囲むように皆が居座って何かと話しかけてくれるのも正直嬉しいので
最後に食堂へやって来た三好が 「僕としたことが、遅れを取るとは…不覚」
とか何とかいいながら、きっちり佐久間の横を陣取って
ちょっかいを出して来ても全く全然気にならなかった。寧ろ楽しい。
そんなゴキゲンな佐久間をじっと観察する実井と波多野といえば
「もう一押しかな」「任せろ」
阿吽の呼吸で頷き合うと、実井が隠し持っていた強い酒瓶を傾け
波多野が素早く猪口で受け佐久間のものと入れ替える。その間わずか2秒。
そんな早業に気付きもせず、これまでと同じペースで飲み続けた佐久間は
見事にすっかり酔っぱらった。

「みおしー、のンでぇかー?ついでやるぞ〜」

締まりの無い顔に回らぬ呂律で上機嫌に話しかけながら三好の杯に酌をするのだが
ドバドバと溢れテーブルの上や三好の手がびしゃびしゃになるのにも気付かず
しかしニッコニコとやたら愛想よく笑う佐久間は妙な愛嬌さえある。
三好の手が佐久間の頬にうっかり伸びたのを実井が掴み微笑で制した(目は笑っていない)
そんな攻防が繰り広げられていることなどお構いなしに
佐久間は手近な者をひっつかまえては笑顔を振り撒き
かと思えば「きさまはもっと笑ったほうがいいぞ」とか「やさしくしろ」とか
クドクドと説教をし始めたりと忙しない。酔っ払いの気分など猫の如くだ。

そんな有様であるからして、いつも三好の誘いを頑なに断っていたのは
連絡係としての明確な線引きという建前の裏に
この酒癖の悪さを隠しておきたかったという本音があったからなのかも知れない。
佐久間とて軍人である前に男である、体裁は保っておきたいものだろう。
けれども今の佐久間はといえば、

「…何をやってるんですか佐久間さん」
「ンあー?」

一生懸命、箸でテーブルの古い焦げ跡を摘み上げんと奮闘しては口に入れようとしている。
それは福本の作ったおつまみではありません。
田崎が苦笑と同情と呆れと、少しの慈愛をすら込めて窘め箸を取り上げると、佐久間は不服そうに唇を尖らせ
それをまた引き寄せようとする三好を実井が止める。
一方その背後では、神永と甘利が顔を寄せ合いヒソヒソと愉しそうに何事かを密談しており
やっと話しが纏まったのか、甘利が不意に立ち上がって佐久間の肩をポンと叩き
次いで立ち上がった神永が大きく息を吸ったかと思うと

「佐久間中尉!!」
「〜っは!」

響いた軍人然とした硬質な声に、殆ど条件反射で反応した佐久間は
この建物内で軍人である事を示す言動は一切ご法度であるにもかかわらず
椅子を蹴飛ばす勢いで直立すると、背筋をビッと正してビシッと敬礼した。
悲しいかな、身に沁みついた習慣はこんな時にでも
否、こんな時だからこそ発揮されるらしい。
目の前にいるのは己の上官達とでも酔うた頭ながら認識しているのか
佐久間は神永や甘利を上目でひた見据え、

「なんでありましょーか…!神永どの!!甘利どの!!」
「結城中佐からの招集命令である!ただちに執務室へ直行されたし!!以上!!」
「!!、了解でありますぁああッ!!」

殆ど咆哮に近い大音声で御意を示すと
グダグダに酔っていたのが嘘のような俊敏な動きで急に走り出したかと思えば
ガン!という鈍い音の後に一拍遅れて

「ッ…コラァ!ぼーッと立ってたら危ないだろーが小田切ィ!」
「いやそれドアですから佐久間さん」

したたかにぶつけた顔面を押さえながら、物云わぬドアに向かって文句をいう佐久間へ
すかさず読みかけの本を閉じた小田切が的確につっこんだ。
あと、招集命令なんて嘘っぱちで、あなたハメられてますよと、助け舟まで出してやった。
しかし当人はまるで聞こえていないのか、
足元覚束ぬ千鳥足でフラフラと小田切の横を通りすぎドアを開け暗い廊下に出ると
あちこちにぶつかりながら結城中佐の執務室を目指し歩いて行く。
そして、

『お呼びでしょうか中佐殿ォ!!陸軍中尉佐久間、参りましたァアッ!!!!』

長い廊下と薄いドアを介していてもなお聞こえてきた雄叫びに
食堂に居た全員がもれなく腹を抱えて爆笑する。
抱腹絶倒とはまさにこれだ。
神永なぞ目に涙さえ浮かべてヒィヒィ笑っている。鬼か。
さてもこの後の佐久間の運命やいかに…
「首根っこ掴まれて此処にポイ捨てされるに煙草1箱」
「いいや、執務室叩き出されて即罰金に明日の飲み代全部」
などと容赦のない賭けが始まる中


『アッー!』


聞こえて来たのは、悲鳴とも嬌声ともいえる佐久間の切羽詰まった悩ましい声。
思わず笑いを引っ込めた8人は顔を見合わせ
暫く黙って聞き耳を立ててみたが、以降、うんともすんとも音はせず
「これは詰んだな」という波多野の声に、誰もが納得してしまったのは仕方ない。
だって相手はあの魔王だ。神永と甘利に至っては合掌すらしている。
結局、いつまで経っても佐久間が戻って来る事はなく
翌日の朝、泣き腫らした顔をしかめ腰をさすりながらヨロヨロと歩く姿が目撃され
三好の元々色白の顔が更に蒼白になったとかならなかったとか。

 


【終】


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あとがき

唐突に、佐久間さんに「アッー!」って言わせたくなったのと、皆に愛されてる佐久間さんというか、
訓練生達と仲良くワイワイ騒いで欲しいなと思ったら、軽率に酔わせるしかなかry

あと、「アッー!」の後の中佐と佐久間の会話を一部抜粋するとしたら、


「莫迦か貴様は。だから飲むなと云っただろうが」
「…ひっ、あ…!も、許して、下さ…!あっ、あっ、!」


…という感じですかね!
佐久間の酒癖を知っていた中佐が前もって釘をさしてたから
佐久間は三好の誘いを断ってたんじゃないかと妄想したら凄く俺得だったのと
云いつけ破った佐久間に対するお仕置きが性的なものだったら美味しいですよねっていう^^
それと、さんざ飲んだ佐久間さんはいい感じのタイミングで退っ引きならない尿意を催す筈ですから
おもらしプレイとか素敵だと思います^^←
(勿論中佐は故意に失禁させてますので、佐久間の羞恥心を利用して更に虐めるスタイルで)笑

ところで普段あまり書かないギャグ(と云えるのか甚だ疑問ですが)
を私なりに頑張ってみましたけれども、やはり上手く書けないですorz


2016/07/03  いた。