※暴力的表現、流血・性描写有り。ご注意を

 

 

『悪癖』

 

熾烈を極めた闘いであった。
突き出した槍を幾度も叩き落され、また己とて絶間なく襲い来る六爪を何度も弾き返す。
力も、技も、覇気も、まるで互角。
雌雄決せぬかとも思える長い長い一騎打ちは、いつしか互いの陣営から離れ孤立し
平原でわぁわぁと怒号入り乱れての混戦を繰り広げる兵達の声と気配遠く
人気ない竹林へと場所を移し、誰知らずともいまだ続いていた。


「っく、、貴殿…ッ、相変わらず、強い…!」
「Ha!そりゃどーも。アンタの諦めの悪さも、いつも通りだぜ。いい加減倒れな…!」
「、ぅぐあッ」


言葉尻を強く跳ね上げると同時、同じく跳ね上がった三爪を、寸での処で二槍で防いだ直後
もう三爪が容赦なく別方向から振り下ろされ、其れを無我夢中で身を捩って躱す。
ただ、上手く避けきれず、掠めた切っ先が髪を散らし耳の端を削ぎ肩先の肉を抉り
しかし痛みを感ずる暇もなく、勢い余って転倒した躯へ
今度は六ツの爪が纏めて突き刺すが如く繰り出されたのを死に物狂いで横転し回避した結果
両手にあった二槍はやむなく手放さなくてはならず、おまけに周囲を視認する余裕など皆無だった為
猛々しく自生する堅い竹に横っ腹を強打し、泣きっ面に蜂だった。


「ッ…あ゛、が、、!!」
「オイオイ、自滅してりゃ世話ねェな。何にしろ、」


ゲームオーバーだと、鴃舌を口にしながら歩み寄った男、伊達は
とどめとばかりに土を巻き上げながらの強烈な蹴りを、幸村の鳩尾へと寄越す。


「う゛ッッ!!、げぇ、っは…!」
「Hmm、きたねェ悲鳴だ」
「、、お…ぇ…っ、はぁっ、はァ…!」


内蔵を的確に狙う其のえげつない攻撃に、せり上がった吐瀉物を地面へとぶちまけながら
腹を庇うように背を丸めビクビクと痙攣する幸村の無様な呻き声と荒い呼気を耳に絡めつつ
伊達はニィと性質の悪い笑みを浮かべると
傍に転がっていた真紅の二槍を無造作に手の届かぬ処まで蹴り飛ばし
悔しげに歯を食い縛って此方を睨み上げる往生際の悪い敗者を睥睨し


「テメェの負けだ、真田幸村」


決定打を浴びせかけた。
伊達と幸村、これまで戦ある度に死闘を繰り返して来たが
こうして勝敗が分かれたのは、初めての事である。
なれば、決着とはこんなにも呆気ないものかと、幸村は伊達の言葉を噛み締め
幾ばくかの寂寥すら感じながら、ぜぇぜぇと聞き苦しい呼吸で胸を喘がせ視線を落とした先
ボタリと滴った大粒の汗が地に落ちあっと云う間に染みて見えなくなったさまに
己の暫し後の結末を重ね見た気がした。
されど遺恨などなく、勝てず散るもこの男の手によるものならば好しとしよう、と
実に淀みない眼で顔を上げれば、何とも云えぬ陰た色を帯びた隻眼と視線がかち合った。


「…伊達、殿…?如何なさ、」
「Ah―…ヤッベぇ……悪い癖だ…」


決着がついたにも関わらず、首を取ろうとしない宿敵を怪訝に思い口を開いた幸村を遮るように
低い声を重ねた伊達の呟きの意味を察しかね、幸村は真意を探るべく再び声を発しかけたが
此方の疑問など気にした風もなく、まるで頭痛を堪えるかのように片手を額にあて
俯いてしまった男の表情は見えず、ふと幸村の背に、何故か不穏な悪寒が走る。
其れは、例えばそう、決して避けられぬ凶刃が己の肉を断たんとする直前に似た、危機感。
果たして、もしも幸村がこの時、隠れ見えぬ伊達の歪みきった笑みを目にしていたなら
迷わず最大限の警戒と共に武器を構え距離を取っただろう。


「…オレだって自重はしてたンだがなァ…… まぁ、しょうがねェよな」


オレを本気にさせたアンタが悪い
とか何とか、非常に聞き取り辛く、かつ、理解できない言の葉をまた伊達が漏らし、益々幸村は困惑する。
一体何だと云うのか。
いまいち状況が呑み込めぬ、そんな幸村に対し
伊達は一人、いよいよ沸きあがって抑え切れない己のトチ狂った猟奇的な欲望を
さて如何にして発散させようかという思案に耽っていた。
一国の主らしからぬ、と十二分に自覚している其の欲は、きっと誰も知り得ない…
狙った獲物が手強いほど、追い詰めて散々甚振って、喰い散らかしたいという
中々に下種で外道な悪癖を。
まして、この足元に横たわる幸村は、幾度となく伊達の歯牙を退けて来ただけでなく
今まさに自らに迫る死に対し、恐怖に引き攣るでもなく無闇に絶望するでもなく
ただただ真っ直ぐに向き合い、生殺与奪の権を握った伊達を、全く臆する事なく見上げて来るのだ。
斯様な男、この戦国の乱世の何処を探したとて、そうそうお目に掛かれるものではない。
上等過ぎる。
そうでなくとも、獲物と定めた幸村の首筋に爪を立てて引き裂く悦びを
再三にわたり抵抗され、逃げ延びられ、限界まで煽りに煽られて来たのだ
単に戦で負かして息の根を止めた処で、飢餓感、否、情欲にも似たこの感情はきっと治まりはしないだろう。
つまり、これより先は正常な言動など無意味。
此奴をもっと惨たらしく責め嬲り、折れそうにない稀有な士節をぶち折ってやって
思うさま蹂躙してやろう、そんな下劣極まりない熱望は、既に我慢や遠慮などという枷を熔かし切っていた。
もうどうにも、腹の底から疼いて疼いて、仕方ない。


「Hey、這いつくばって大人しくケツを向けろ、とは云わねェ。精々抵抗してオレを愉しませてくれよ?」
「、、なにを申され、…?!」


黙考する男に戸惑っていたのも束の間、額に当てていた指をスルリと下ろしざま
人差し指と中指の間に垣間見えた隻眼に爛々と燈る不吉な眼光を見た途端
金縛りに遭ったかのように息を呑んで硬直し、同時、ゾクと身震いした幸村は驚愕に目を見開いた。
ガシと片足首を捕らえられ引き摺り寄せられた先、赤備えに掛かった武骨な手にではなく
今目の前に居る男が、己の知っている伊達政宗ではなく、全くの別人にしか見えなかったからだ。
思わず「おぬしは何者だ」と叫びそうになった動揺を、辛うじて呑み込んだ幸村は
突如豹変した伊達の手からまずは逃れるべきだと、横這いになっていた躯を転じ
地面に両手膝をついて立ち上がろうとしたものの、いつの間にか腰周りの具足の留め具を解かれていた所為で
ズルと外れた重い其れが、ドサリと鈍い音を立てて地に落ち
おまけに伊達が袴の帯紐まで握っていたのか、焔模様の其れもズルリと太腿の半ばまで落ちる。


「!!ッ、あ!?」
「Ha!ノ−フンたァ気合入ってるじゃねェか」
「…っぐ!」


四つん這いで立ち上がりかけた格好の侭、外気と伊達の眸に晒されたのは隠しようもない幸村の丸出しの臀。
羞恥を覚えるも糞もなく、下帯を付けようが付けまいが人の勝手だ
とやかく云われる筋合いも、そんな小莫迦にしたような物云いをされる謂れもない。
カッと頭に血を上らせ振り返れば、ニヤニヤと不埒な笑みを浮かべた伊達が
不意に剥き出しの臀に片足を掛けたかと思うと、したたかに突き押す。
咄嗟の対応もできず、幸村は膝元に袴を絡めたまま無様に顔から地面へと倒れ込んだ。
敵将の前で臀丸出しに這いつくばるなどと、なんというざまかと歯軋りし
また斯様な現状を齎して、心底愉しんでいるかのようにクツクツと咽喉で嗤う男が癪に障り
いくら敗将とはいえこんな不道理を受ける覚えはないと
反撃に転じようと素早く身を起こそうとした直前、見越した伊達にバシンと太腿の裏を刀の鞘で強打され
敢え無く未遂に終わり、剰え、あまりの痛みに突っ伏し唸っていた処
臀肉を上から踏み躙るが如く、或いは感触を確かめるが如く、グリグリと足裏で圧迫される。


「…う…っ、く、、!さっきから、一体何の真似だ…っ…伊達殿…!」
「ん?判らねェか?オレの気が済むまで、アンタを陵辱させてもらう」
「な…?!」


問い詰る声に対し、軽々と云い放たれた答えは
到底理解など出来る筈もない、突飛で、恐ろしいものだった。
よもや夢か聞き違いかと、幸村は己が耳と男の正気を疑ったが、残念な事にどれも本物で現実だ。
伊達は無遠慮に踏みしだいていた踏み応えのある形のいい臀から脚を引くと
混乱する幸村の腰を掴み引き上げ、思わせ振りに自身の腰を何度かぶつけるように押し付ける。
瞬間、幸村の顔からザァと血の気が引いたのは云うまでもない。
勝負に負けて首を取られるのはいざ知らず、好敵手に手篭めにされるなど、どうして甘んじえようか。


「…よ、よせ…、、ッ離せ…!!」
「クク…その面、いいねェ」


アンタのそういう顔が見たかったんだとほくそ笑む男に
幸村は心胆まで凍りつき青褪めた顔を引き攣らせ、何とか距離を取ろうとするも
またしても太腿の同じ処を打ち据えられ、奔った痛烈な痛みに
もんどり打って呻き声を上げた(下手をしたら、骨にヒビでも入っている)
しかしそれがどうした、えい何クソと力を振り絞り、掻いた土を爪に減り込ませながら地を這いずれば


「Very Good!その調子だ…まったくアンタは、オレの期待以上だから困るぜ…?」


伊達は嬉々としてそう云うなり、必至に足掻く幸村が
目前の野太い竹に縋りついて懸命に立ち上がりかけたのを見計らって、長い髪房を捕らえ邪魔し
己の方へ加減無く引っ張り動きを封じつつ、反対の手でさっさと股座を寛げて昂りきった牡を掴み出すと
中腰で両膝を戦慄かせる幸村の膝頭を無理矢理に地面へつかせ腰を引き寄せたのち
有無を云わせず、まこと強引に菊座を暴いた。


「っい゛…!!あ゛ぐ…ぅ!」


両腕でしがみ付く竹から僅かにずり落ちて、苦悶の声を吐き出し大きく喘ぐ幸村の口から
ボタボタと唾液が滴り、ツルリとした竹の表面を音も無く伝い下りて行く。
生身を貫く伊達の一物を拒絶するかのように、意識せずとも臀穴は懸命に閉じようと根限り締まるのだが
みっちりと食い込む凶器を喰い千切る事も追い出す事も出来ない。
まして伊達が力任せに腰を押し進めると、メリと呆気なく縁は裂け
肉をせり分ける其の形で厭でも亀頭と判るものが、奥まで我が物顔で侵入して来ては
吐気やら痛みやらがごちゃまぜになって脳を揺らし、何も考えられなくなる。


「…あ…、ぁ……、、」
「呆けてンなよ幸村ァ、しっかり啼きやがれ」
「あぐっ!、ア…ッ!」


放心する暇すら与えないつもりか、伊達は酷い科白を幸村の左耳
端の削げた方の耳にわざわざ舌を這わせ囁くと、腰を前後に揺すり始めた。
擦られ拡がる裂傷がズキンと鋭く、故意に舐められた傷口がヒリリと切実に痛み
されど幸村は顔を歪めて彼方此方の激痛を必至に耐え忍ぶ。
「屈してなるものか」と、力み震える背や二の腕が言外に語り
果たして其の不屈こそが、伊達を煽り挑発してやまないのだと、本人は露ほども気付かない。


「Haha!マジで上等だぜアンタ」
「ッ!、ふっ…、は…!うぐぅ…、、」


俄か、伊達は好戦的な声音で嘯き口角を吊り上げると
幸村を壊さんばかりに、荒々しく乱雑に幾度も突き上げる。
そんな横暴を上手く遣り過ごせるような余裕も経験も幸村にはなく


「ヒッ…あっ!…ぅ、ッぁあ!」
「…Well,well well、こっちの悲鳴は随分と可愛いじゃねェか」


決して小さくはない悲痛な声は、明確に竹林へ、そして伊達の耳へと届いた。
そこで哀れと思うような男であれば、最初から幸村に斯様な無体など強要しないだろう
然もあらん、嘲り揶揄する言葉を見えぬ刃とし、幸村へ突き刺して
身体的にも精神的にも激しく追い詰める。


「っツ、…ぐ!ぅう…っあ、!」


手酷い言動に翻弄される幸村が無我夢中でさばりついた竹が
伊達の乱暴な律動の度に、ゆさゆさと撓り揺れる。
決して風の所為ではないその不自然な揺れ方は、何と申すか、酷く淫靡で
しかし此の支え無しでは、間違いなくくずおれてなす術がなくなる為、幸村は其れを手放す事が出来ない。
とその時、
「幸村様」…と、微かに、己を捜す兵共の声を耳に拾い、ハッと顔を上げた。
瞬間、キュウと臀の穴が無意識に締まる。
それは幸村自身の極度の緊張を如実に知らしめると共に、伊達の牡をこれでもかと刺激した。


「ッ…、おい。あんま煽るンじゃねェ、よ!」
「、あぐ?!っっあ、…はッ!!」


語尾荒く吼えた伊達に、奥の方を抉るように突かれ
断続的な声に息切れにも似た掠れた悲鳴が混じる。
堪らず抱え込んだ竹を掴む手にも力が入り、群生する竹の中、やはりそれだけが淫らにゆらゆらと踊る。
近い内、気付いた者達が不審に思ってきっと寄って来るだろう。

(それは駄目だ、断じて…!)

決心し、唯一の支えを握る両手の力を抜けば、案の定、上体はずるずると何処までも落ち
不細工な事に、腰だけを高く突き出した状態で土の上に頬を擦り付けるという
四つん這いよりもずっと情けない恰好になった。


「イイ恰好じゃねェか、幸村」
「はっ、…あ!、うッ、ぐ…、ッはぁ…ぁ!」


中々どうして、戦で敵の陣地を攻略し落とした時と同じぐらい征服欲を満たされる光景に
伊達は続けて暴力的に腰を打ちつける。
そんな事をされては、幸村の切羽詰った荒い息遣いと断続する啼声はいよいよ止まらず
竹を手放した意味が甚だ無いのだが、本人は判って居らぬのであろう
複数の気配が此方に段々と近づいている事にも感付かず、声を乱している。
其れを嗤った伊達は、一度意図的に動きを止めると、わざとらしいほどの小声で、こう囁いた。


「…shh―……近くに居るの、判るか…? 見つかって不味いのはアンタだろう…?」
「ッ〜!!」


まァ別にオレは構わねェけどな
と軽い口調で云い足され、幸村は瞬時に身を強張らせた。
まさか構わない筈がない、こんな姿をもしも見られてしまったら
敵将に負けた挙句に首も落とされず手篭めに遭ったという生き恥に
更にそれが末代までの語りぐさになるという、多大なる恥の上塗りである。
そんな事はあってはならない、絶対にだ。


「…ん…、、」


左右に僅かながら頭を振る素振りを見せた幸村は
力無く左の掌を持ち上げて、己の口元をしっかりと覆い隠す。
其の、あからさまに、声を押し殺そうと努力する
健気というか、いじらしいというか、愚かというか…
何とも云えぬ姿を見ていると、苛虐心というにはあまりに下劣な情火が掻き立てられ
気付けば、伊達は本気で幸村を突き上げていた。


「っ!?、ッッ!…んっっ、ふ…!!」


殺し切れず洩れ聞こえた、羞恥と恐怖入り混じる声の、如何ともし難い猥りがわしさに
思わず舌なめずりした伊達は、殊更乱暴に貫き犯し


「、、っ、ンッ!〜ッ…んっ…ぅ!」
「堪ンねェな…!」


散り散りに紡がれるくぐもった悲鳴と、皆が目を背けたくなるほど痛々しく憐れな幸村のさまを愉しんだ。
もう本当に、幸村を捜しに来た連中に見つかろうが何だろうが、どうだっていい
いや寧ろ、邪魔をするようなら其奴らを殺してでも、もっとずっと幸村を心行くまで弄びたい。


「…Yeah…それがいい。 やめだ、アンタを殺すのは」


と呟く独り言を、ただ只管に音を立てぬようにと集中する幸村は、殆ど聞き流していた。
それがどんなに恐ろしい一言か、後になって思い知る破目になるのだが
今は目の前の事に神経を削るので一杯一杯である。
其の甲斐あってか、幸村達に気付かず気配と声は遠ざかり
危惧は杞憂と終わってホッと胸を撫で下ろしたものの


「…ん…!…っく、、」


不意に生温かいものが臀の中にぶち撒けられ、背後の男が絶頂した事を知る。
数度腰を前後させ子種を擦り付けるような仕草をした伊達は
呆気なく一物を引き抜き、幸村はその場へ倒れ込んでゼェゼェと肩で息をし
恨みがましく伊達を睨み上げ、もう残る力も無かろうに、這いずってでも距離を取ろうとする。
そんな事をしたら、火に油、伊達の悪癖は嬉々として頭を擡げるというのに…


「…OK、アンタは最ッ高の獲物だ…」


口角を吊り上げた男のゆるりと細まった隻眼に噛み付かんばかりに見据えられ
幸村はゾッと背筋を震え上がらせた。


而して此ののち、猟奇的な嗜好と異常な執着をみせる伊達に、地の果てまで狩り廻される事になる。

 



【終】


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あとがき

猟奇で鬼畜な筆頭が大好きです(真顔)←
改めて言うのもなんですが、ホント好きです、書いてて凄く楽しかったですw鬼畜筆頭万歳!!ww

2012/04/28  いた。