※長編小説「Tranquilizer」の番外編になります。
  性描写あり(ソフトめなSMプレイ:打擲、緊縛、言葉攻め、諸々) ご注意を。

 

 

『Drug addict』

 

近頃、幸村の様子がおかしい。
米沢城に身を置くようになって暫く経つが
その不自然さは最早無視できぬぐらいには顕著になっていた。
決まって伊達と二人きりになると、座敷の端で正座した膝の上に置いた手を落ち着き無くモジモジさせ
俯き気味にした顔を上げもせず、それでいて上目遣いで何かを云いたげにチラチラと視線を寄越し
かと思えば余所余所しく距離を取ってそのまま、何も喋らずそそくさと席を外すのだ。
挙句の果てには三日ほど前から、一緒の閨に入る事すら嫌がりだし
(殆ど毎日のように情事に耽っていたのが嘘のように、だ)
今日今現在まで、蛇の生殺し宜しく、訳も判らずお預けをくらっている伊達である。
もとより辛抱強いタチではないし、年若く最も盛りな時期だ、性欲は有り余っており
いい加減、苛々(というよりムラムラ)が限界に達する頃合いだ。
然らば、廊下を通り掛かった元凶の腕を掴み、有無を云わせず座敷の中に引っ張り込んで
豆鉄砲でも喰ろうたような顔をしている幸村を、あっと云う間に畳の上に組み敷き、高圧的な声を出した。

「どういうつもりだ、テメェ…」
「っな…!いきなり、何の話でござろう…っ」
「ハァ?すっとぼけてンじゃねェぞ。ここ最近、明らかにオレを避けてるだろーが」
「……べ、別に、、その様なつもりは…!」

ろくに口も利かぬは目も合わせぬはで、それを「避ける」と云わずして他に何と云う。
弁解の余地もないのに、一体どの口が「別に」などと申すのか。
それに、本心を隠しているのだと丸判りに、歯切れ悪く顔を背ける曖昧さにも、尚一層腹が立つ。

「…幸村、オレが優しく云ってる内に吐いとけよ…?」
「…う…っ某を脅すのでござるか…」
「YES。判ったらとっとと云え」

気を抜けばすぐにでも逃げ出しそうな油断ならない幸村の四肢を
完璧に組み伏せつつ、睨みをきかせてやれば
観念したのか躯の力を抜き、口をモゴモゴさせながら「あー」とか「うぅ」とか意味不明な呻き声を上げるので
そんなにも云い難い事なのかと、少しばかり溜飲を下げた伊達は
詰め寄るような口調をほんのちょっぴり柔らかくした。

「何か、怒ってンのか」

知らぬ間に己が機嫌を損ねさせるような事をしたのかと、伊達にしては殊勝な察しをつけてみたが
しかし幸村は小さく首を横に振る。
ならば何ぞ疚しい隠し事があるのかとカマをかけると
「そんなものは無い…っ」と云いつつ、ふいと視線が逸らされる。
これでは「その通りだ」と自分で認めているようなものだ。
本当に嘘がつけない男である。
若干、頬が朱に染まっているのが気に掛かるが
何にせよ、さっさと吐かせてしまうに越した事はない。

「幸村、何を隠してるのか知らねェが、云ってくれなきゃ判らねェし
 一人で背負い込むなと、あれほど口を酸っぱくして云っただろうが」
「…ッ!…さ、されど……云えば、政宗殿は某の正気を疑うに決まっておりますれば…!」
「十数える内に吐け。さもねーと城から叩き出す」
「そんな…!」

口から出任せも大概だ
たった数日でも顔を合わせぬだけで、辻斬りに走る程には幸村を必要不可欠としている癖に
居なくなって一番困るのは、脅している張本人である。
勿論、本気で幸村を城から叩き出す気など、これっぽっちもない。
文字通りの『脅し』である。
されど、伊達と同様、相手の存在に依存しきっており
そう云った脅し文句にとんと弱い幸村は
まさか本当に城から追い出されては堪らぬと、慌てて口を開いた。

「ッ…お、お願いが、ござります…!」
「何だ。何をして欲しい」

何かと思えばそんな事か。
いや、この男の性根からして、どんな些細な事でも厚かましいと自重していたのだろう。
奥ゆかしい事この上ない。
お前の為なら国の一つや二つでも落としてやるというのに
変な遠慮をするんじゃねェと、不遜な笑みを浮かべた伊達に
幸村は恥ずかしげに視線を泳がせたまま、おずおずと躊躇いがちに小さな声で

「…し、…」
「し?」
「臀を、ぶって下され…っ」

某っ、政宗殿に手酷くされるのが、嬉しくてかないませぬ…! と、
顔から火でも出そうなぐらい真っ赤になって、一息に云い切った。

一瞬、幸村が何を口走ったのか理解できなかったのか、伊達がポカンと間抜けた面をするので
嗚呼やっぱり云うんじゃなかったと、猛烈に後悔した幸村だが
覆水盆に返らず、今更己の言葉を口の中に戻す事はできない。
心情はもう、「此の場から消え入りたい」と切に願うものの
耳の端まで赤恥で染まり切った全身に、噴き出した汗が肌を湿らせる現状と
伊達に組み敷かれた状況は、いまだ健在である。
とは云え、胸に秘めたるものを吐露したのだ、目の前の男の反応が気になるので
恐る恐る伏せていた視線を上げると、なにやら不穏な光を湛えた隻眼が
それはもう愉しげに此方を見下ろし、ニィと口角を上げる様が目に入った。

「…ま、政宗殿…?」
「…へぇ?中々おもしれェこと云うじゃねェか」

アンタがそんなアブノーマルな嗜好だったなんて、寝耳に水だぜ
と、さも驚いたように云いつつも、内心ほくそ笑む伊達である。
かねてより、肩口を噛み切られて血を啜られる蛮行にさえ、勃起していた幸村だ
いつぞやの山奥の掘っ立て小屋然り、多少の痛みを伴う事こそ、寧ろ進んで受けいれていたし
伊達が手荒くすればする程、それだけ激しく求められているのだと
本人自覚して興奮していたのだから、何を今更宣うのか。
悪いが疾うに知っていたのだ、そんな事は。
そうとも気付かず、今生隠し通すつもりだったらしい胸の内を打ち明けた気でいるのだから
可愛いというか何というか、つくづく愛おしい男である。

「幸村、アンタほんとにオモシロすぎるぜ」

通例の血を啜られながらという充分異常な情事の、よもやそれ以上の行為を求めて盛るのは
さすがに頭がどうかしたかと誹られるとでも恐れたか
押し殺し切れぬ性癖に身を疼かせ、日々悶々と悩んでの最近のあの行動だとすれば
ここ数日欲求不満で指を咥えていた己は、ただの堪え損ではないか、と一嗤。
流血沙汰の交ぐわいに比べれば、臀を打擲する程度、どうという事はない。

「…うぅ…、、お、面白くとも何ともござらん…っ、面映うござる…っ!」

折角意を決して告白したのに、茶化されたと思ったのか
心底恥ずかしそうに首を竦める幸村に、伊達は機嫌を取るようにヨシヨシと栗色の頭を撫ぜると
いきなり組み敷いていた幸村の躯を反転させ、うつ伏せにした。

「っ…!な、なにを…?」
「Ah?決まってンじゃねェか、アンタの為に臀を打ってやるんだよ」

偏的性嗜好、大いに結構。自分とて中々に歪んだ性癖である。
何より、三日もお預けを喰らった意趣返しだ、とばかりに
云うが早いか、幸村の着物の裾を腰の上まで捲り上げ、帯紐に挟み込んで尻紮げにすると
両手と両膝をつかせ四つん這いを取らせる。
すると、明障子から差し込む光に照らされ、小奇麗な白い下帯が臀の割れ目にしっかりと食い込んでいるのと
大事そうに一物を包んでいる膨らみが見え、中々興をそそった。
伊達は唇の端を舐め、幸村が怖気づく前に、さっさと右手を振り翳したかと思うと
容赦なく形の良い臀を目掛けて振り下ろした。

「ッ!」

パンッと乾いた音が一つ、座敷に響いた。
幸村はビクと僅かに仰け反ると、遅れてやって来た痛みに、小さく息を呑む。
存外、痛い。

「おいおい、アンタがやれと云ったンだぜ?まさかもう音を上げたンじゃねェだろう、な!」
「つぁ!」

もとより鍛え抜かれた躯だ、臀の肉とて引き締まっており、打ち応えがある。
伊達は続けて右手を撓らせ、幸村の臀を打った。

「あッ…!」

痛みが引かぬ内に、全く同じ処を打ち抜かれ、またそれが引かぬ間に、三打目四打目が襲う。
遠慮の無い伊達の平手打ちにより
白かった幸村の臀は瞬く間に薄紅色に腫れ上がって、五指の形までがくっきりと見える。
そうして痛々しい其処へ、更に平手が繰り出される数が六度を超えた頃、幸村に変化が起こった。
耐え忍ぶようだった呻き声に、掠れた吐息が混じり
緊張に強張っていた腿が、時折感じ入ったようにブルリと震える。

「んっ…、は…!」

望んだ事を叶えてもらっているとは云え、早くも苦痛が別のモノにすり替わり始めた事に
幸村は若干の戸惑いを感じた。
しかし肌を焼くようなヒリとした痛みが、ジンとした痺れへと変わり
その痺れが今度はゾクリとした疼きへと変わる感覚が、確たるものだと確信した途端

(…これだ、この感覚が欲しかったのだ…ッ)

と、身悶えながら己の浅ましい欲望を改めて認めざるを得ない。
あわよくば、もっと強く打ち据えて欲しいと云う、一層の過激さを欲しつつ
汗を流しながら、臀から拡がる甘い悦楽に熱を上げ、

「はっ…はっ…、あぅッ」

気付けば、翻った伊達の掌が臀を打擲する度、幸村の牡は肥大して、窮屈そうに下帯を押し上げていた。
よくよく見れば、最も盛り上がった処に、じわりと濡れた染みが出来ている。
臀をしこたま打たれていただけで、先走りまで滲ませているのだ。

「Ha!だらしのねェ野郎だ、小水をチビりやがって」
「ッ、ちが、う…!、あっ…、断じて、小ヅメなどでは、ァッ!!」
「だったら、コレは何だ?云ってみろ」
「ひっい…!」

湿り気を帯びた先端を下帯ごと強く指で詰られ、幸村は短く悲鳴を上げた。
「云ってみろ」などと、本当は判っている癖に、敢えて云わせようとしている伊達の意図は
羞恥を煽ることに他ならないが、それを察しているからこそ、幸村はワザと首を振る。

(…あ、、もっと、辱められたい…)

荒く突き上がる興奮と衝動を身の内に溜めながら、「云えませぬ…!」と反抗すれば
バシンと一際激しく臀を打たれる。

「っく、あ!…アァッ…う! も、もっと、打って下され…!」

そのあまりの気持ち良さに耐え切れず、突いていた両手をガクリと折り
畳に肘をついて上半身を支えつつ、髪を振り乱して淫らに強請ると
相変わらず高く上げたままの臀に、背後から伊達の一等鋭い平手が飛ぶ。
もはや幸村が追い上げられ、追い縋っているのは、純然たる快楽であった。

「おい」

そんな中、不意に伊達が襖の外へと声を掛けた。
間を置かず、「何か」と座敷の外より、控えの者から返事があり
ビクと身を強張らせた幸村に構わず、伊達は「縄を持って来い」と命令した。
唐突に、縄など、何に使うつもりなのか。
怪訝に思えど、暫し経たぬ内に、「持って参りました」という声へ
伊達が「入って来い」と答えたので、幸村は度肝を抜かれた。
まさかこの状況で、人を入れるのかと瞠目し、本気なのかと振り返ると
ニヤリと厭らしい笑みを浮かべている隻眼と目が合い、瞬間、故意であると悟ったのと
豪奢な襖が開かれたのは、ほぼ同時である。

「…!」

若い下男が座敷に足を踏み入れ、中の状態を見るなり、縄を片手に呆然と立ち尽くした。
だがそれも致し方ない。
何しろ、座敷の中心に居る幸村の格好と来たら
事もあろうに、城主の御前で臀を丸出しに腰を高くしているばかりか
頬を紅潮させ股座の物をこれ見よがしに大きくしているのである。
世も末だ。
しかも、最近不機嫌だった城主の機嫌が見違えるように頗る良いとくれば、下男の心情は察しきれぬ。
半ば放心状態の其奴の目が彷徨い辿りついたのは
荒い呼気を繰り返しながら畳を掻き毟る幸村で
その羞恥と興奮が綯い交ぜになった眸と視線がかち合うと
何やら変な苛虐心を誘われ、ゴクリと音を立てて生唾を飲んだ。
それを伊達は目敏く見逃さない。

「物欲しそうな目ェして突っ立ってンじゃねーよ。さっさと此処へ縄を持って来い」
「はっ、はい!」

きつい口調で叱られ、間口から慌てて伊達の方へと走り寄った下男は
落ち着きの無い手付きで持っていた縄を手渡すなり
そそくさと頭を下げ座敷を退室しようとする。

「wait、誰が下がっていいっつった」
「っ…しかし!」
「いいから、ちっとばかし手伝えよ」

それを態々引き止めた伊達は、徐に立ち上がると
畳に蹲っていた幸村を引き摺るように傍の角柱へと移動させ
背を預けるようにして座らせると、左と右の膝にそれぞれ縄を括り
余った両端を下男の方へ、「ン」と無造作に突き出した。

「っ??、えッ、あの…、!」
「黙って、持って、柱の後ろに廻って引け。OK?」

いまいち状況が理解できず、半ば挙動不審な下男は
命ぜられる侭に柱の後ろ(つまり幸村の背後)へ廻り込み、両手に持った縄を引く。
そうすると、グイと引っ張られた幸村の両膝が、パカリと左右にあらん限り開いて拡がり。

「ッ、!」
「Good!イイ眺めだぜ、幸村」

満足気に云い放った伊達が、立ったまま片足の爪先で、器用に幸村の下帯を横へずらせば
萎えるどころか臨界点間近の牡が、勢い良く飛び出し天を向く。
とんでもない格好だ。
幸村が自由な両手で局部を隠そうとすると
すかさず伊達が「隠すンじゃねェ。アンタの恥ずかしい様を、しっかり見せな」
と鋭く命令するので、ブルブルと震えながら手を止めた。

「Hey、今にも弾けそうだな。縛られるのがそんなに嬉しいか?」
「や…ッ、ぅあ、…っ」
「Ah−…違うな、イヤらしい姿をオレやソイツに見られるのが堪らねェのか」
「ッちが、!…んッんン…!」

腕を組み不遜に見下ろしながら、伊達に足の爪先で牡の裏筋を撫で上げられ
幸村は鼻に掛かった甘い声を出した。
やはり、と云うべきか、襲い来る羞恥に打ち震えつつも、その羞恥自体に快楽を感じ
伊達の貶すような科白にさえ興奮しているのだろう
浅ましく勃起した竿からタラタラと透明な先走りを滴らせ、荒艶な吐息を繰り返す。

「クク…マゾだマゾだとは思ってたが…」

此処まで期待以上に乱れてくれるとは、嬉しい誤算であり
それを更に虐めて悦がらせたいと望む己も、相当なサドッ気があったもんだと伊達は哂い
足の裏と幸村の下腹の間に挟んだ、そそり勃つ幸村の牡を、グリと踏み躙るように圧迫してやった。
途端、悲鳴じみた嬌声を上げた幸村は、ガクガクと膝を震わせながら
至上の恍惚と云わんばかりに蕩けたツラを浮かべ、一筋の唾(つばき)を顎へ垂らす。

「Ha、行儀がなっちゃいねェな、幸村…」
「…ン、ん、、」

それを見た伊達は腰を屈ませ、顎先や口端の滴を親指の腹で拭ってやる。
すると、幸村の半開きの紅唇からチラリと覗いた赤い舌先が
徐に伸びて其の指を掬い、ヌルと媚びるような舐め方をした。

「…上等だ」

唸るように嘯いた伊達は、溢れんばかりの嗜虐の笑みを湛えると
柱の後ろで未だ縄を引っ張っていた下男に、「Get out、もういい、出て行け」と命じ
下男が声を裏返らせ御意を叫んで縄から手を離したのを確認するなり
幸村の腰を抱え込んで、自身の限界まで怒張した一物を下帯から引きずり出し、ひたりと宛がう。
その時視界の端を掠めた下男は、股間を隠すように手を当てており、前屈みで座敷から慌て出て行った。
然もあらん、幸村の媚態に中てられたのだ。
(この後すぐにでも厠に駆け込むに違いない。ほとほと哀れである)

「ッああ!あっ、…ハァ…ッ、ぐ!!」

再び二人だけとなった座敷に、伊達の牡を強引に捻じ込まれた幸村の、あられもない声が奔った。
全く慣らしもせず、無理矢理に滾った陰茎を突っ込まれる手荒さに
感じるのは苦しみでなく悦びであり、幸村は身悶えて伊達の逞しい背に腕を廻し
覆い被さる獰猛な男の耳朶を甘噛んだ。

「ッ!やってくれるじゃねェか…、オレをどれだけ煽りゃァ気が済む…ッ」
「ひっ…!ぅ、あっっ、…くッ、、ンぅ!!」

吼えた伊達は情火の火種爆ぜる隻眼を眇め、幸村の臀を深く抱えると
湿って吸い付く柔肉を抉らんが如く、散々に穿ち抜く。
縄が絡んだ侭の幸村の両脚は、伊達の律動の度に、猥りがわしく開いて揺れ
引っ切り無しに漏れいずる嬌声は、世の男が見境を無くすのではなかろうかと云うほど凄艶であった。
此奴は抱けば抱くほど、思惑以上の色と香を纏うので
無論、伊達は溺愛の言葉が遠く及ばぬほどには、幸村に病み付きである。

「は、ぁ…っ、あぁ、!…アッ、あっっ、んッ、ぐ…!」

絶間ない喘ぎの中、必死に息をする細い首筋は汗に濡れ光り
伊達は舌舐めずりしつつ、其の咽喉笛に喰らい付きたい衝動を覚え
されど辛うじて働いた理性を総動員し、伸ばした右手で鷲掴むにとどめた。
すると、突き上げられる反動で上手く出来ぬ呼吸が、尚一層難しくなったのか
ハクハクと魚のように空気を求め喘ぐ幸村が、しかし云いようの無い悦を孕んだ熱い双眸を向けるので
戯れにグッときつく絞め上げてみると、どうだ、泪ながらに恍惚とするではないか。

「…アンタ、そりゃ、ヤバイぜ」

さすがに房事の一環で命に関わっては不味いだろう
俄かに力を緩めると、幸村は満足気に閉じていた目蓋を薄っすら開き、不服そうに眉を寄せる。
もっと絞めろとでも云いたいのか。

「それこそ、オマエ、」

危険すぎる性癖だろうよ。
身に及ぶリスク云々より、歪み淀んだ快楽を欲するとは…
But、

「Huh…いいだろう」

この幸村があればこそ、己もまた然りだ。
と、伊達はニィと口角を吊り上げ、もう一度、グイと咽喉を絞め直した。

「…はっ、…ん、、ぅく…っ…」

そうして絞めれば絞める程、うっとりと目を閉じた幸村の臀の穴も
キュウ…と愕くほど良く締まり、伊達は堪らず身震いする。
これは、此方も、危うい。

「ッく、」
「…っ、…ッ、…ン…っ…、ぅッ!」

そのまま片手で細い首を絞めながら、数度腰を振り立てると
かつて無い、得難い悦楽が全身に巡って、伊達は殆ど貪るように夢中になり
幸村は幸村で、臀穴を犯される快楽の波の中に
気を遣る間際に味わうような、何とも云えぬ酩酊の心地が高波のように押し寄せ
その激しい法悦の渦に、よろこんで身を委ねた。

命が、精が、果てる果てぬは、伊達の力加減一つに懸かっている。

こうして何もかもを、この男に支配される事が、この上なく気持ちが良かったし
況や、そんな己に虜となっている男を独り占めに、即ち此方とて支配している事が
何にも勝る極上の幸福であった。

「、、っん…!!、ふ…ッ…、、!」
「っツ!スッゲェ…!アンタ最高だぜ、幸村…ッ!」
「ッはぁ…!、あ、あァッ! あっ、うぅ…!!」

声もなく吐精した幸村の咽喉から手を離した伊達は
悩ましくウネくって纏わりつく肉襞へ、己も触発されて精を放ったが
抜かず其のまま腰を前後させ、容赦なく幸村を揺さ振る。

結局丸一日、伊達の座敷から幸村の喘ぎ声が止む事はなかった。

 

―――――――――――――――

 

明け方、東の空が白む頃。
揺蕩う熱気冷めやらぬ部屋で、ゆるりと髪を梳く伊達に静かに身を寄せ
絡めた互いの足先を片足で漫ろにするすると撫でさすっていた幸村は
不意に思い出したように、口を開いた。

「…ところで政宗殿、最中に云っておられた、まぞ、とは…?」
「ン…?アンタみたいに、支配される事や与えられる苦痛に快楽を見出す変態のことさ。
 まァ要するに、アンタはオレが好きでしょうがねェってことだな」
「ッッな!某っ、政宗殿は無論好きでござるが、変態ではござらん…!!
 政宗殿以外に、斯様な事をされたいとも思わぬ!」
「……随分と嬉しいこと云ってくれるじゃねェか」
「、っあ…!」

狙って居るのか居ないのか、中々思い切った事を口走ってくれた幸村に
伊達は満悦至極といった笑みを浮かべると、勢い良く躯を起こして覆い被さった。
それからいつものように肩口へ唇を寄せ
肌理細かな肌を愉しむように舌で撫でてから、やんわりと歯を立て
ゴクリと生唾を呑み迎え入れるように両膝を開いた幸村の、しなやかな下肢を抱え上げる。

再び座敷から淫靡な嬌声が漏れ聞こえ始めるのに、そう時間は掛からなかった。

 



【終】


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あとがき

物足りなかった方、すみません…orz 
あんまり激しいのはマズいかな、と思い、軽めにしました。
ハードなの(排泄・肉体破損系)というか一方的に惨いサディズム行為は
弦月の烙印の方の番外編で書こうかと考えております…f(^^;)

2010/06/24  。いた。