※性描写あり(三幸)。ご注意を

 


 

『Half Dragon:第二章#4 不知の相対』

 


明障子から射し込む陽の光と、微かに聞こえる鳥達の囀りで、幸村は目を覚ました。


「……ん…、」


ゆるりと開いた目蓋は重く、酷く悪い夢を見ていたような気がするのだが
それがどのようなものであったのかは思い出せない。
何やら心は落ち着かぬが、まずは起きて仕度をと
褥から起き上がった幸村は直後、大きく目を見開き愕然とした。
隣に、居ない。
起き抜けに顔を見ぬ事など、そんな日はこれまで一度としてなかったのに。


「ッ!」


慌て立ち上がりヨタヨタと座敷を飛び出して
何処に居るのかと必死に廊下を進んだ先に、捜していた男の後姿を見付け
ホッと安堵の息をついた幸村は、しかし次いで、大声を張り上げた。


「〜三成殿ッ!!その右腕はどうなされた…!!?」


廊下に響いたその声に、さして動じる気配もなく立ち止まり
音も無く振り返った男、三成の元に追いついて
何故無い筈のものが有るのだと、両手を伸ばして細い右腕を捕らえ、しきりに触れ回って検分する。
三成は冷めた目で其れを見遣りつつ、幸村の手を掴み取り、云い捨てた。


「何を云っている?私の腕は最初から失われてなど居ない」
「?!そんな筈は…!」


かつて此の命を救う代償として、魔王に切り落とされた事を、よもや忘れるものか。
二度とそのような度し難き事が起きてはならぬと、あの日あれだけ嘆いたのに
まさか其れが虚構であったなど、ありえない。
目前の男は、きっと冗談を云っているのだ。嗚呼そうに違いない。
でなければ、とてもではないが現状を受け入れられぬ。
と混乱する幸村の頭の中に、不意にチカと刹那に光が瞬いたかと思うと
深く濃い靄が垂れ込め、動揺していた原因が、過去の記憶その物が、隠れ曖昧になり
立ち眩みを起こしたかのように目の前が真っ暗になり、躯の平衡を失う。


「うっ、、」


ぐらりと傾いだ其の身を支えたのは、三成だ。
筋目立たぬも力強い腕に縋り掴まった幸村は、ぼんやりと顔を上げ
此方を射抜く真っ直ぐな瞳と視線を交える。
そして、


「余計な事を考えるな、私の言葉が全てだ。いいな?」


薄い唇から紡がれた絶対的な声音一つで
抱いていた疑念も違和感も水に流れるように全て消え去った。

(…そうだ、そうでござったな…!)

こうして存在する三成こそが事実であるのに
一体自分は何をあんなに狼狽していたのかと、恥じ入るように俯く。
いやそもそも、動じていた理由が何であったのかすら、もう思い出せない。


「…理解が出来たなら、行くぞ」
「あ、」


落ち着きを取り戻した幸村を見るなり、素っ気無く腕を離した三成が踵を返す。
寸後、自然に幸村の右手が、男の左手を掴んでいた。


「どうした。まだ何かあるのか」
「っ!…いえ、あの、某にもよく判りませぬ、、
 ……ただ、こうする事が、当たり前であるように思えて…」
「鬱陶しい。放せ」
「…ッ、……はい…」


これ以上邪魔をするなと云わんばかりに睨まれては
自身の根拠の無い行動の正当性など反論出来る筈もなく
名残惜しくも手離せば、何故か無性に寂しく、そして心許ない気がした。
そうして見る間に意気消沈する幸村に構わず、三成はさっさと廊下を進んで行く。
しかし、背後の気配がなかなかついて来ない事を感じ
何をまだ愚図愚図しているのだと肩越しに振り返れば


「…そうか、貴様、跛だったな」  ※跛(びっこ)…片足が病気や怪我の為に正常に歩けない事


不器用に右足を庇いながら歩いて来る姿が見えた。


「?、如何なされた?」


三成が口走った言の葉にも気付かず、漸く追い付いた幸村は顔を上げ、不思議そうに小首を傾げる。
まるで右足の不自由さなど当たり前、否、感じていないように。
三成はチラリと幸村の右の素足の足首を見遣る。
薄く、されどはっきりと、横一文字に傷跡が残っていた。
その所以は大谷からの報告で聞いていたので知っている。
此奴はこの不利な躯ながら、臆しもせず奥州の竜と共に堂々と戦場に立ち
いくつもの死線を越えて来た、という事も。

(…それ程に、そうまでして、あの男を…伊達政宗を想い、守っていたかったのか…)

そこまで思考を馳せた処で、俄か、抑え難い濁った感情が腹の奥に湧き上がった。


「…来い」
「っ、三成殿?!」


素早く幸村の手首を取って掴み寄せ、手近な座敷へと連れ込み
些か乱暴に畳へと組み敷いて着物を剥ぐ。
急な事態に焦る幸村を意に介さず、両の手を問答無用で捕らえて頭上で押さえつけ
若干の強張りを見せる両脚の間に身を割り込ませ首筋に噛み付けば、白い咽喉が息を呑んで仰け反った。
己の体内に黒く渦巻く感覚が嫉妬の類とは露ほども気付かぬ三成は
止めようのない衝動のまま襲いかかる。


「お、お待ち下され…っ、…せめて、朱燐の間へ…!」
「…何だ其れは」


咽喉笛を歯と舌で撫ぜられゾクと身震いした幸村は
双眸に獰猛な光を宿す男に、慌てて誰の邪魔も入らぬ場所への移動を希望したのだが
何故か三成は眉間に皺を寄せ、そんな物は知らんと両断する。


「…え…?何と、申されましても……天井は花鳥が彩り、襖は美しき楓が金箔の地に映え一面に…
 三成殿が某の為に用意して下さった、朱に燃える見事な室ではございませぬか」


日がな一日、あの部屋で過ごす事が当然となりつつあるというのに
一体どうしたのだと、疑念を抱いた途端、またしても頭の中に不可思議な光が一寸点いて消え
併せて濃密な霞が掛かり思考が途切れ、あやふやになる。


「そんな不要な贅沢を私が許すと思うか?下らん妄想で噺をでっち上げるな」
「……あ…、左様…で…ござるな…!」


突き放すような冷たい言葉で我に返り
それこそが現実であった、己は何を申しておったのだ、と
まことつい先程まで自分が何を主張していたのかも忘れ、幸村は口を開く。


「…三成殿、申し訳ござらん、、某今日はおかし…」
「少し黙れ」
「っん…!ツぅッ」


素直に謝ろうとするのを遮った三成は、約やかな乳首へと尖らせた舌を寄せ
ぐちゅりと円を描き、中心を押し潰すように強く圧迫した次にはガリと前歯を立て
容易く痼った部分をしつこく嬲った。
同時に片手を幸村の股座へと忍ばせ、早くも芯を持ち始めていた牡を躊躇わず握り込み、擦り上げる。


「…あ、あ…!ッ、は…っ」


どれほど快楽に従順なのか、此処もあっさりと屹立を果たし、先走りまで滲ませた。
簡単に汗で湿り、火照って色付き興奮を示す素直な躯は勿論
必死に喘ぐ紅唇からチラチラと時折覗く濡れた舌が、異様に三成を誘う。
先日は意図してしなかった口付を、此度は迷い無く、喰らいついた。


「ンッ、…ん!ふ、、っ」


予想より遥かに熱く、蕩けた口内を荒々しく舌でまさぐり、掠めた幸村の舌先を逃さず捉え、絡めれば
幸村と、そして己の方からもドッと唾液が溢れ、重力に従い幸村の口腔へと貯まる。
其れをゴクリと音を立てて幸村は飲み干すのだ。
図らずも煽られた三成は、ともすれば夢中になりそうになる接吻を無理に解くと
小さく舌を打ち、己の牡を引きずり出して幸村の一物と共に掌に纏め
一緒くたに数度手荒く扱き上げる。


「ひっ、あ!ッ〜くぅ、、ぅっ!」
「っ、フッ」


たったそれだけで完全に勃起してしまった己に失笑さえしかけ
しかし今にも射精しそうなほどビクビクと小刻みに跳ねる幸村の
羞恥を孕んだ、けれど何とも感極まった気持ち良さそうな顔を見た瞬間
先程からずっと身の内に篭もっていた黒い油のような感情にカッと火を付けられた。


「貴様…ッ」
「やっ、は…!ぁあッあ…!!」


語気荒く吐き捨てるなり、三成は幸村の片膝裏に手を入れ
膝頭が幸村自身の胸につくまで押し上げると、先日も蹂躙した菊座へ一気に牡を押し入れる。
が、昨日と決定的に違うのは、その抵抗の無さ、もとい、迎え入れ包み込む肉の何たる柔らかさだ。
こんなにも差が出るものかと、半ば驚嘆しながら乱暴に腰を突き上げ
まるで熟柿(じゅくし)を喰ろうている錯覚さえ覚えながら
確かめるように幾度も幾度も亀頭で中を抉ってみると


「はぁっ…、あッん…ン!ぁう…っっ」


果たして、最初に手篭めにした時とは打って変わり
男の本能を直接刺激するような、どうにも厭らしく猥りがわしい声を憚り無く喘ぎ散らし
悩ましげに眉根を寄せ、双眸と一物にゆるゆると喜悦の泪を浮かべ身をよじる。
此の、見る者を惑わせる色香艶めく姿こそ、本来、幸村が政宗に魅せる様なのだろう。
そう思うと、火が付き燃えていた訳の判らない感情に益々油が注がれ、性質の悪い炎の勢いは増し
並行して幸村を貪り尽くしたいという欲求にも一層拍車がかかる。
いつの間にやら吐精してぐったりと弛緩し苦しげな呼気を繰り返していた幸村の
しなやかな両脚を改めて割開き、もっと深く、激しい律動を繰り返せば
「はっ!ひっ…!ハァッ、ぁあっ…!」と掠れた嬌声を止めないので、此方も止まらない。
一度牡を引き抜き、幸村をうつ伏せにさせ腰を引き上げ鷲掴み、背後から再びズブリと穿ち、犯す。
甘く耳に心地良い断続的な悲鳴と、脳髄を痺れさせる快楽が、気付かぬ内に三成を沈溺させた。

 

「それぐらいにしておけ、三成よ。真田が壊れる」


延々と続く行為の途中で到頭音を上げた幸村を押さえつけ
何度体位を変え、精を放ったか数えるのを放棄した頃
襖の外より聞こえた声に、ようやっと動きを止めた三成は、顔を上げた。


「…刑部か…」
「ぬしの好きにさせるのも良かろうと思うたが、ぬしはイマイチ加減を知らぬ。
どれ、真田は生きておろうな?」


その言葉に、気を失っている幸村の紅潮した頬に張り付く栗色の髪を無造作に除けながら
覗き込んで確認すると、何とか息はしている。

気付けば、正午を過ぎていた。

 

――――――――――――――

 

奥州の空は相も変わらず暗雲垂れ込め薄暗く、低い雷鳴が絶えず鳴り続けている。
半身不在の竜の怒りは、未だ鎮まる様子もないようだ。


「Hey guys!三日で江州だ!遅れずついて来い!」
「Yeah!!」


以前大和へと速攻した時と同じく、たった一日で準備を整えさせた政宗は
夜明、此度も少数精鋭、約二百の騎馬隊を編制し率い、出陣する。
電光石火と謳われた、其の並々ならぬ迅速さは健在であり
朗々と響く鼓舞は常と変わりなく見えるが、片倉の胸中には無視出来ぬ不安が渦巻く。


「…政宗様!くれぐれも我をお忘れになりませぬよう…!」


先頭で馬を駆る蒼い陣羽織の背中へと声を投げるも
聞こえているのかいないのか、主が振り向く事はなかった。

 


江州へ到着すると、休息もそこそこに、一直線に三成の居城を目指す。
誰も文句は云わない。
主の御諚云々の話ではなく、誰もの気持ちが急いていた。
一刻も早い幸村の奪還を、そして此度の凶事の根源、石田三成の討伐をと。


「テメェら、今度ばかりは遠慮は要らねェ…皆殺しだ!」


其処へこの鬼の一声だ。
兵の士気は尋常ならざる昂りを見せ、片倉の静止など耳に入らず
口々に雄叫びを上げ軍馬を疾走させ、ついに目前へと見えた憎き仇の城の前方に
此方を待ち構えていたかのように石田軍勢が陣を敷いているのが見えるやいなや
得物を振り翳し怒涛の勢いで襲い掛かった。
これでは、これではまるで…


「政宗様…!!」


憎悪と激昂入り混じる形相で三爪を引き抜いた竜に容赦は無かった。

 

一方、時遡る事四半刻前。
城へと迫る伊達軍勢を予測していた大谷が迎撃の陣を仕上げる中
幸村は着々と出陣の仕度を整える三成へと必死に取り縋っていた。


「っなにゆえ!なにゆえ此の幸村を連れて行って下さらぬのか…!」
「知れた事。足手纏いだ。貴様は大人しく此処で待っていろ」
「何を…!これまでとて、戦があれば共に闘って来たではありませぬか!!」


どうして三成が今更そんな事を云うのか、幸村には信じられなかった。
いつ、どんな事があろうとも、一緒に生きると約束した筈だと、懸命に訴える。
幸村と政宗がどんな誓いを交し合ったのかは三成の知る処ではないが
其の一歩も引かぬ気魄と、なにより双眸に燃え滾る凜と強い意志を目の当たりにし

(…嗚呼、この眸だ…)

欲しくて欲しくて、惹かれて堪らなかったものが漸く手に入った実感を覚え
薄っすらと満足げな笑みを湛えると、幸村を引き寄せ、囁く。


「いいだろう…許可する。但し、私の前には立つな」


敵の斬滅に巻き込まないという保障はない。
という言葉に、幸村は黙って頷いて見せた。
連れて行ってくれるのであれば、何も異論はない。
而して、身を離して踵を返し颯爽と城外の陣地へと向かう三成を追い掛け
よく判らない内に消失した愛用の二槍の代わりに兵士達と同じ変哲の無い槍を二つ掴み、後に続いた。

外に出れば、馴染み深い戦特有の喧騒と張り詰めた空気が迎える。
既に火蓋は切られていた。
大将同士の名乗り合いも済んでおらぬというのに、一体何事かと瞠目する幸村だが
当の三成は素知らぬ顔、淀みない足取りで真っ直ぐに陣入り乱れる最前線を目指し
深く身を屈めた次の瞬間、その痩躯を活かした瞬発力で一気に加速、疾走。
速い。何よりも誰よりも速かった。
あっという間に置いて行かれ、後姿がもう、見えない。


「三成殿…!」


慌て呼ぶも敢え無く戦の激しい騒音に掻き消され
とにかく追い付かねばと思うのだが、如何せん、右足がこのざまである。
仕方ない、手近な敵を倒しながら後で合流するかと槍を構えた処で
はたと目が合った敵兵が、何故か判らぬが大層な動揺を見せ、動きを止める。
隙だらけだ。
それを突かぬ幸村ではなく、槍の一振りで容易く薙ぎ払う。
されど、それが二人、四人、十人、更に続けば、さすがに怪訝が芽生える。

(某の顔に何かあるのか?)

しかも、倒した敵兵達はみな何かを口にしかけ、此方に手を差し伸べようとする者さえ居た。
それが叶う前に討ってしまっているので、真意はまるで見当もつかぬが
相手がこうも雑魚だと、はっきり云って滾らない。
いつもなら、どんな敵だろうと二人一心同体に討ち倒し、左様な事もないのに…

(…一心同体…?)

はて、其れはどういう闘い方をしていたのだったか…
不意に湧いた疑問は、突如戦場に轟いた怒声と雷鳴によって遮られた。


「石田三成ィイ…!!」


刹那、幸村は弾かれたように顔を上げ、戦渦の中心へ急いだ。

 

対峙する両軍大将の間で、一触即発の空気がピリリと満ちる。


「…独眼竜。巣に篭もっていればいいものを、一体何をしに来た」
「Ah…?何をしに来た、だと…?」


顔色一つ変えず不遜に、そして白々しく云い放つ三成に
政宗は激怒を通り越した静かな唸り声と共に、迸る殺意をチリと蒼白い電光に混ぜ奔らせる。


「テメェは…触れちゃならねぇモンに手を出した」


今や目に見える殺気は固唾を呑んで見守る兵達を十歩後ろへと下がらせ、ガタガタと震え上がらせる。
幸村の事を『逆鱗』と、誰ぞ云い出したのかは知らぬが、まさに其の通りであった。
逆鱗に触れられた竜は怒り狂い、触れた者を必ず殺す。
松永征討の前例然り、御伽噺などではなく真であると
この場に居る者全員の心胆はゾッと竦み上がった。
が、


「ほざけ」


ただ一人、三成は小莫迦にしたように一笑に付すと、抜刀の体勢を低く構え
直後、常人では決して捉えられぬ速度で政宗へと斬りかかる。
ギィンッ!と凄まじい音が甲高く鳴り響き、見れば
絶対に回避防御不能と思われた三成の一太刀を、政宗が三爪で受け止めていた。
交差した刀同士は激しく鬩ぎあい、火花が散る。


「三成殿――ッ!!」


とその時、大音声と共に紅い影が飛び出して来たかと思うと
不可侵の場に見事に割って入り、切り結ばれていた三成と政宗の切っ先を弾き解く。
愕きに目を瞠る二人の前に現れたのは


「…幸村!!」


まさしく、政宗が取り返しに来たもの。
強く名を呼ばれ、振り返った幸村は、ハッとした。
一度見たら忘れないような特徴的な兜の前立て、隻眼、鋭い眼光、覇気
隻腕に蒼い陣羽織を纏い整った顔立ちで見目良し、なれど、知らぬ男だ。
どうして己の名前を存じ得ているのかは判らぬが、


「…っ!」


視線が交わったと同時、見えない何かが胸の内を揺さ振った。
初めて会った筈なのに、何故かそうではない気がする。
ざわめく感覚は胸の奥、否、魂すら打ち震えようかという確かなもので
片時も男の隻眼から目が離せなくなる。


「……貴殿は、…貴殿は一体……誰だ」
「!?、そいつは何のjokeだ…?幸村」


愕いたのは政宗だ。
迎えに来た筈の幸村は、此方へ駆け寄ろうともせず三成の傍で不動のまま
まるで政宗と面識が無いとでもいうように、「誰だ」と訊くのである。


「NO…オレが判らねェのか…!幸村ッ!!」


そんな悪夢のような冗談があって堪るかと
取り乱した声で吼え、三爪を取り落とし左手を伸ばす。
さあ、いつものように手を、と。
陣中の直中であるにも関わらず、そんな無謀な行為をする男へと
幸村はまるで吸い寄せられるように、まこと無意識の内に槍を手放した右手を、ゆっくりと伸ばし
あと少しで指先が触れ合おうかと云う寸前


「真田、貴様は下がっていろ」
「、ぁ…!三成、殿、、」


長身が、二人を隔てる壁が如く立ち塞がった。
我に返った幸村は、慌てて槍を拾い握り締め
三成のやや斜め後ろで、常の戦構えの面持ちに戻り槍を構える。


「っ政宗様!一時撤退を…!」


それまで沈黙を守っていた片倉が身を乗り出し叫んだ。
二人一対にして初めて最強の竜となり得るのに、片腕の政宗一人では分が悪い。
まして幸村を相手に本気で戦うなど、決してありえない事。
それに、かつてない動揺に襲われ、冷静さを失っているのが、己の事のように良く判る。
何せ自分も同じだ。
あれだけ血気に逸っていた兵達も
何故幸村と政宗が敵対しているのか理解出来ず、烏合の衆と化している。
果たして、大将諸共、総崩れだ。
此処は退却の他に道はない。


「政宗様、お早く!テメェらも、さっさとずらかるぞ!!」


斯くて、伊達勢は多大な混乱と共に奥州へと一時撤退した。

 


 

【5へ続く】


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あとがき

筆頭あまりのショックで役立たz(ry)← そして片倉氏、焦るあまり言葉遣いが(笑)
三成氏ですが、絶対彼はムッツリスケベ(死語)だと思います^^
筆頭と同じかそれ以上にしつこければイイww

2011/12/03  いた。