※性描写あり。ご注意を

 


『Half Dragon:第二章#8 契』

 

消えた炎から戻って来た幸村と政宗を出迎えたのは、ワッと沸き立つ大歓声だった。
二人の無事と生還を泪ながらに喜ぶ者や、よくぞよくぞと褒め囃す者
一斉に集った猛烈な人垣が挙って歓喜する様はさながら怒涛である。
なんにせよ、幸村と政宗が一番愕いたのは、一人単座する片倉が
しかめっ面で漢泣きをしていた事だった。
それだけ感極まったのだろう、よもや国一の強面が感涙などと
雪か雹でも降るのではないのかと、意地悪く軽口を叩く政宗に
いつもならば返ってくる小言も無く、同時に顔を見合わせた幸村と政宗は
思わず小さく吹き出してしまった。


「Ha、まぁとにかく、何だ。一件落着ってやつだ」


さぁ、Homeへ帰ろうぜ。
その一声に、深々と平伏した片倉は、「御意」と震える声で答えた。

 


普通ならば四・五日という道のりを、十日間以上かけてゆっくりと奥州の地へと戻った途端
兵共と少しも変わらぬ熱狂で、民草達が嬉々と迎え祝った。
どうやら先に早馬が吉報を報せていたらしく
我らが竜の、蒼紅のご帰還だと、国中がお祭り騒ぎである。
ましてや城下町に入れば益々賑やかさは増し
口々に「さすが政宗様!」だとか「お帰りなさい幸村様!」だとか連呼するので
幸村は無性に胸の奥と目頭が熱くなり
堪らず政宗の手を握っていた手に力を込めれば、同じように強く握り返されて
それでまた一気に込み上げそうになった泪を隠すように下を向こうとすると
「ちゃんと元気なツラ見せてやんな」と、小声で耳打ちされた。
なので今にも泣き出しそうな情けない面持ちながら、顔を上げ
周囲に集った人々に、はにかんでみせる。
するとより一層歓声は盛り上がり、結局城につくまで
いつもの倍以上の時間がかかってしまったが、それもご愛嬌だ。
城についたらついたで、家臣やら下女が整然と平伏していたかと思えば
次の瞬間には堰を切ったように「幸村様よくぞお戻り下さいましたッ」と噎び泣き
(城主の無事の帰還は勿論だが、大半は「これで政宗様が大人しくなる!」という切実な喜びからだ)
何とも嬉しいような恥ずかしいような、兎にも角にも、皆の暖かい奉迎が心身に染み渡る。
それから其の人垣を抜け、本来ならば宴の一つや二つ開くべきなのだろうが
二人はまず真っ先に、朱燐の間へと向かった。
何故なら其処が本当の意味で、


「…ただいま、でござる。政宗殿」
「おう。おかえり、幸村」


心から安心できる場所だったから。
燃えるような楓に、鮮やかな朱塗り、煌びやかな花鳥
ずっと手入れされて居なかった所為で埃っぽいものの
見慣れ馴染んだ一室は、幸村にとっても政宗にとっても久方ぶりで
漸く、漸く帰って来たのだ、という実感が湧く。
途端に大きな安堵と、同時に後悔や反省や自己嫌悪といった様々な思いが去来し
幸村はとうとう我慢できなくなって、ボロボロと滂沱の泪を流した。


「…っう、く、、ぅぅ…っ」
「まったく…いつもよく泣きやがるな、アンタは」
「っだ、だって、仕方な…、ッ、、あ・溢れて、止まらぬ…っ」
「…先に云っとくが、謝るとか申し開きとか、一切なしだ。つか聞いてやンねェ」


アンタの事だ、どうせ此度の事は某の所為で〜とか
政宗殿を傷付けてしまったなど、己自身が許せませぬ〜とかだろ?
と、あたかも心の内を読んだが如く先手を打たれてしまっては、グウの音も出ない。
けれど幸村とて云いたい事は山ほどあるのだ。
例えば、記憶を操作されていたとはいえ、政宗を忘れていた事
それから、我を忘れて暴走してしまった事
そして、そして…、
三成と、何があったか。


「…ッ政宗殿、…この幸村は…!」
「Shut up、だから聞かねェっつったろーが」
「なれどッ、」
「アンタはただ一言、『ありがとう』って云やあイイんだよ」
「っ!!」


誰も謝罪や自責で項垂れる幸村など求めて居ない
素直に、此処にこうして二人で帰って来られた事に感謝し
それからいつものようにしゃんとして、変わらず隣に居続けてくれさえすれば
其れ以上の欣幸など無いのだから。


「……Thanks…にござる」
「Hmm、You're welcome」


上手くやり込められた気がしないでもないが
詫びの言葉より、礼の言葉の方が、確かにしっくり来るし、大切である。
何より、深刻に考え過ぎないようにさせようという政宗の気遣いが垣間見えて
面映いというか、惚れ直したというか
改めて此の男が傍に居ないと駄目だと感じたし、愛おしいと思った。
その自覚は恐らく如実に表に出ていよう、だってどうにも、顔が熱い。


「どうした、耳まで真っ赤だぜ?可愛いねェ…」
「ま、また其のような…っ、そう云えば何でも許されると…!」
「ああ、思ってる」
「!、ぅわっ」


否定しない政宗に目角を立てる暇もなく、肩を押され尻餅をついた途端畳の上に組み敷かれ
その意図を読めぬ幸村ではなく、短く声を上げた後、咎めるような眼差しですぐに口を開いた。


「、まだ、傷に障りましょう…!」
「Ah?何日ご無沙汰だと思ってンだ?寧ろ今此処でヤらねェと、逆に死ぬ」
「なっ!?何という屁理屈を…ッ」
「そういうアンタだって、本当の処はどうなんだよ。云ってみな」
「…それは、、」


問い詰められ、されど即座に答えられず、云い淀む。
その時点で、既に答えは決まっていた。
要するに、幸村とて政宗と同じという事だ。
しかしだからと云って、望むままにしてしまったら、どうしたって腹の傷に支障を来たすであろう。
政宗と己の願いを叶えたいのは山々だが、具合の悪化は芳しくない。


「……やはり、やめておき、、」
「グダグダ抜かすな。悪化した分アンタがたっぷり看護してくれりゃあイイだけの話だ」
「!!」
「まァ、最中におっ死ぬような無様だけはしねぇから、安心しな」


悪びれなく宣い、いつも通り我侭を貫く男は、もう誰にも止められまい


「……ふ、判り申した。幸村の負けにござるよ」


思わず小さく哂った幸村は、根負けして躯の力を抜くと
したりとばかりにニヤと口端を上げる政宗の戦着に手をかけ寛げ、其処らに放る。
それから己の方も緩め剥ぎ取って、素肌が露わになった瞬間
機嫌の良かった筈の男の眉間にグッとありったけ皺が寄り
不機嫌、というよりは殺意丸出しで隻眼が眇められ
鎖骨、二の腕、胸、腹、太腿、順々に睨み倒した後、チッと舌打ちをした。


「?いかがされ…、っ!」


その舌打ちの意味を政宗が口にするより早く、ハッと己自身で気付き
今更ながら慌てて肌を隠そうとすれば、「隠すンじゃねェ」と威圧的な低い声に遮られ
取り上げかけた紅備えを震える指から離し、強く奥歯を咬んで男の前に全てを曝け出す。


「…此処も、此処も……全部あの野郎の痕だな…」
「……は、い、、」
「こんな処に歯形までつけやがって…当て付けのつもりか?」
「いッあ…!」


苛と吐き捨てながら左側の乳暈を強く抓り上げられ、堪らず声をあげるも
嫉妬に陰る隻眼と指先の力は容赦なく、俄かにふつと肌が粟立つ。
斯様な時の政宗は、まっこと非情で手加減がないからだ。


「…アンタが無事帰って来た暁には、たっぷり仕置きするつもりだったが…」
「っ、仕置き…?!…ッ政宗殿、一体何を申されて…!」
「こりゃあ、アレだ。オレの気が晴れるのが早いか、アンタが正気を失う方が早いか…」
「お、恐ろしい事を云わないで下され!
 ッそもそも!最初から仕置きするつもりだったなどと、聞き捨てなりませぬっ!」
「ハァ?勝手にオレの傍から居なくなりやがって、当然の罰だろうが」
「う、、いやしかしそれは…!」
「挙句にあの糞野郎にいいようにされたなんざ…テメェ、オレの堪忍袋にも限界ってもんがある」


斯く云う我慢という名の堪忍袋の容量の少なさは元より
その口を括る緒すら甚だ短過ぎる気がするのだけれど、今更それを云った処でどうにもならない。
そんな事より、本気で怒った男が一体どんな仕置きをしでかすのか
過去の経験から想像しただけでブルリと躯が震えてしまう。
早い内に、何か手を打たなければと焦っていると
目前の鬼、否、政宗は


「…まァ、とりあえず、今は仕置きなんざしねェよ」
「……え…? で、では、、」
「あったりめぇだろ?オレの腹の傷が全快してから、万全の状態で甚振ってやる」
「ひ、ひぃぃ!」


獲物を嬲り殺すような目付きで口角を吊り上げる男の本領はまさにそうであった。
よもや今回は免れたと糠喜びした己が浅かったと、明確な恐怖による悲鳴を上げた幸村は
元凶から逃れようと試みたが、いとも容易く捕まり
「逃げたらどうなるか判ってンな…?」という壮絶な脅し文句により
竦み上がって動きを止め、もはや白旗を振るしかなかった。


「ん。判ればよし」
「あぅぅ、、」
「情けねェ声出してンじゃねーよ。ほら、仕切り直しだ」
「、ぅあっ」


意気消沈する幸村の股座へと手を伸ばし、直接一物を握り込んで意識を向けさせた政宗は
不意打ちを食らいビクリと大袈裟に跳ねた幸村の恨みがましい視線を余裕の笑みで受け流し
慣れた手付きで手中の物を愛撫する。


「悪ィが、さっさと突っ込みてェから急ぐぜ」
「は、…っ、、承知致した、ッぅ、く」
「Ha…アンタも我慢できねェか?」
「破廉恥…っ、されど、否定はしませぬ…、っ」
「上等」


常より息の乱れが速い幸村も、何だかんだ云いつつ急いているのだろう
政宗の挑発に反論するどころか小気味よく受けて立った。
政宗はニィと弧に撓る唇を薄く舌で舐めると
硬度を持ち始めた牡を少しキツめに扱き上げながら
此方がやり易いようにとわざわざ両膝を自ら開く幸村に
「空いてる両手で胸弄れよ」と命じる。
すると幸村は、羞恥に染まりながらもゆるりと手を伸ばし
程好い肉厚の己の胸をするりと撫でてから、両先端へと指先を這わせ
キュゥと親指と人差し指の腹で摘み、捏ね上げる。


「…ン、…っ」
「オレの手の動きに合わせろよ」
「ッ…は、……ん…っ」


云われた通り、荒いのに卑猥という政宗の手付きに合わせ
幸村の指も大胆に、そして厭らしく己の乳先を自慰し、熱い吐息を零す。
既に牡は先走りが滲み、自身が悦いように刺激する乳頭はしっかりと芯を持ち
押し潰し擦り上げるだけでジンジンと快楽にヒリついて
爪を立てれば下腹部すら連動して興奮し、殆ど引っ張るようにして強く揉み込むと
ヒクリと牡があからさまに跳ねて肥大した。


「クク…やらしいなアンタ」


其の様を見て高揚せぬ政宗ではなく、十分に屹立した幸村の牡から手を離すと
先走りが付着し細く糸引く指先を見せ付けるようにして口へ含み
舌で舐め取ったついでに唾液をたっぷりと纏わせ
人差し指と中指を些か強引に幸村の菊座に捩じり込む。


「あ…、つ…、、」
「チッ…緩ィな…」


予想を裏切らぬ臀穴の締まり具合に(それだけ頻繁に三成に犯されていたという事だ)
また一つ舌を打って小さく呟き、ぐるりと数度拡げるように輪を描いて早々に指を引き抜き
ドカリと胡坐をかいて自身の牡を片手で支え、「跨れよ」と端的に命じた。
幸村はすぐにその体位の意図を察し、身を起こして立ち上がると
政宗の両肩に手をつき、ゆっくりと腰を下ろした。


「…ん…、く…っ…、」
「判ってると思うが、気張るのはアンタだぜ?」
「心得申し…、っあ、…ぅ…ッ」


諭されるまでもなく、最初からそのつもりである。
されど、菊座を割り、肉をせり分け、奥まで咥え込んだ熱が
あまりにも懐かしく、それでいて馴染み深くて
感じ入るように内壁がキュウゥ…ッと切なげに収縮し、動けない。
変な話、想像以上に型に嵌るというか、何というか、堪らなく気持ちが良いのだ。
暫くその侭の状態を味わうように政宗の肩に縋りついて
はぁはぁと荒い呼気を繰り返していると
「動く気がねェならオレが動くが、どーする?」
と発破を掛けて来たので、首を振って短く息を吐き、グッと一度膝を屈伸させる。


「、っふ、ぅ…」
「Hey、腰砕けてンなよ。しっかり動きな」
「はっ……はぁッ…、判っ、、ッあ!」


促され、再度動いた幸村の語尾の調子が、不意に不自然に跳ね
どうやら一番好きな泣き処を自身で探り当てたようだ。
いつもは政宗が遠慮なく其処を突いてやるのだが、今回は幸村が主動である。
ぶわりと襲い来る射精感を遣り過ごした後、唾をゴクリと呑み、本格的に動き始めた。


「…ぅ、っあ…!……はッ…、ンっ、…んっ…ん!」


余程気持ちがいいのか、悩ましげな嬌声を漏らす其の顔は切羽詰ったもので
眉尻は下がり、紅潮した頬をこめかみから伝った汗が撫で
忙しく喘ぐ口元から唾液が零れて政宗の肩口を汚さぬようにと
唇を必死に引き結ぼうとしている。
快楽に流されかけながらも、気遣いを忘れず
恐らくそう遠くない先に無駄になるであろう其の努力を本気でやろうとするあたり
やはり心底可愛い奴だと口角を上げた政宗は
淫らに上下に揺れる幸村の髪房を括る結紐に手を伸ばし、解く。
ふわと自由に遊ぶ栗色の長い後ろ髪は、幸村の動きに合わせて跳ね
乱れた幾筋かが肩や胸に流れる様は酷く色香があり
其の髪ごと仄紅い乳首を舐め上げ乱暴に歯を立てれば
「ひっ、あ…!」と高く啼いた幸村の菊座が大変感度良く反応し締まった。


「…Haッ、堪ンねェな…ッ!」
「ふっ、…ァ!ッあ、あ…!」


久しく貪る幸村の心地良い柔肉はやはり堪らなかった。
政宗はいつの間にやら腹に巻いたサラシに血が滲んでいるのにも構わず
知った事かと幸村の形の良い尻朶を鷲掴み情事に没頭。
鳩尾の辺りに幾度も擦れ当たっていた幸村の牡が弾けて子種を吐き
弛緩し自ら動けなくなって力なく寄り掛かって来ても解放せず
胡坐を組んだ膝を上手く揺すって幸村を貫き続けた。


「、あっ、あっ、…も…ッ、あ、政宗…殿、、っ」
「もうGive upか?オレはまだ足りねェ…よッ」
「はッ、ひ…!、んぅ…ぅっ」


早くも音を上げる幸村の最奥に、溜まっていた子種をたっぷりと注ぎながら
政宗はあやす様に口付け、衰える気配のない牡を抜かず
そのまま小刻みに幸村を揺すり上げ
幸村は断続的な声を上げながら、頭の片隅で長丁場を覚悟した。
然り、過去に抱き潰された事もあるほど、男は夢中になると止まらない。


「、ま、政宗殿…!ほどほど、に…ぃっ!」
「あん?なんつった?よく聞こえねェなァ」
「うッ!あっ…!」


断られる事を承知で自重を訴えるも、やはりわざとらしく聞こえぬフリをした男に
遮るように腰を引き下ろされ、「意地が悪うござるッ」と半泣きになって喘げば
「今更それを云うなよ」と一笑に付され
これはもう此の男が満足するまで好きにさせるしかないと愈々悟った幸村は
精々ずり落ちぬよう、目の前の首にしがみ付いた。

 

―――――――――――

 


「………」


翌日、まだ陽も昇りきらぬ早朝である。
鳥の鳴声一つせぬ静けさの中、ぼんやりと目を覚ました幸村はまず
隣で眠る政宗の存在を目視で確認し
次いで右手に繋がった手の温もりを小さく握って確かめ、微かな安堵の溜息をついた。
昨日の事は夢ではなかったのだ、と。


「…どした?いやに早ェじゃねぇか…」
「あ、、起こしてしまいましたか、申し訳ござらん…」
「No problem… で?悪い夢でも見たか?」
「いえ…これが現なのだと、噛み締めておりました」
「…そうか」


肌寒い朝の空気に包まれる朱燐の間の真ん中に敷かれた一つの褥に二人横たわった侭
暫し無言の時が流れ、そして、幸村はゆっくりと口を開く。


「…政宗殿は、何も云うなと、そう申して下さったが…」
「………」
「この幸村は…何という度し難き事をしたのか…」


一度手を解き、心痛な声音で政宗の方へと向き直って
壊れ物に触れるようにそっと、腹のサラシに指を這わせ


「…それに、例え呪を掛けられていたとはいえ、政宗殿の事を忘れるなどと…っ」


今思い返しただけでも、己の首を締め上げ殴りたい衝動に駆られる。
それで済むなら、喜んでそうする処だが、そんなことで無かった事には出来ない。
其の悔しさと、己自身を恥じるあまり、震える拳を握り締め
苦しい胸の内を吐露すると、黙って聞いていた政宗が徐に立ち上がり
何処からか匕首(あいくち)と塗の盃を持ち出して来たかと思うと


「手を出せ」


と云う。
何をするつもりなのか全く判らぬ侭、躯を起こし、大人しく右の掌を差し出すと
匕首の鞘を口に咥えて外した政宗が、いきなり其処に刃を押し当て引いた。


「ツっ!」


奔った痛みに僅か眉を顰めた幸村だが、逃げず成り行きを見守っていると
政宗は一直線の傷口からみるみる溢れ出した真紅の鮮血を見て目を眇め
受け皿のように用意していた先程の盃へポタポタと注ぐ。
そして次に幸村へ匕首を持たせ、己も掌を傷付けると、同じ盃へ垂らしていき
とろみを帯びた二人の血が妖しく混じり合う。
いまだ要領を得ず、呆気に取られていると、


「これは、オレとアンタだ」


云って、政宗はほんの少しばかりの紅露が満たされた盃に
迷いなく口を付け半分ほど啜り、残りを幸村へと差し出す。


(……あ…、これはまるで……)


儀式。
一蓮托生、一つになる、そんな陳腐な云い方しか頭に浮かばぬが
その解釈は恐らく政宗の思う処と寸分違わぬだろう。

―――今行われているのは、そう、誓約だ。

俄か、甘美な清水を目の前にしたかのような激しい咽喉の渇きを覚え
己も躊躇うことなく口を付けて煽り、最後の一滴まで音を立てて吸いつき全てを飲み干せば
待ち兼ねたように男の手が伸び


「…ん、」


項を掴まれ引き寄せられ、深く唇が合わさった。
互いの味が更に口内で掻き混ぜられ、舌が痺れたように甘く麻痺する。
零れた熱い吐息は、果たしてどちらのものであったか。
何にせよ、誰も知らぬ内にひっそりと交わされたのは


「永久の契だ…」


優しく囁く低音に薄らと目を開ければ、炯々たる隻眼がじっと此方を射抜き
嗚呼、この先何が起ころうとも、ずっと共に在り続けるのだと確信した幸村は


「喜んで、お誓い申し上げる」


至福の限りという穏やかな笑みを浮かべ、頷いた。

 


 

【終】


【一覧へ戻る】

 

 

あとがき

…終わりました…!
結局何がしたかったのかと言うと、二人を結婚させたかったんです(キリッ)←
なにはともあれ、最後まで読破して下さった皆様、まっこと有難うございました!そしてお疲れ様です!w

でですね。肝心のお仕置きが書けてないので、番外編で書きたいと思います^^
「お仕置き監禁○日間」的な感じでネチッこいやつww
(『竜の罰』で、「他の奴に触らせたら手足繋いで座敷牢行きだ」と筆頭も豪語してた事ですし!)
あ、興味ないですか?でも書きたいので書きます(にこっ)

2012/12/08  いた。