※ダテサナ兄弟設定パラレル。流血・残酷描写、性描写あり。ご注意を!



 

『機熟』 



「ぎゃあああ!」

夜のしじまを劈く、けたたましい悲鳴に、幸村は叩き起こされた。
ぬばたまのような漆黒の闇の中で、頻りと瞬きを繰り返し
きっと自分と同じように跳ね起きたであろう兄へ、小さく「…兄上…」と呼び掛ける。
が、いつもすぐに返って来る筈の返事は、ない。
それどころか、隣に殆どくっつくように敷かれた兄の衾は、もぬけの殻だ。

…何やら、胸騒ぎがする。

「……っ…」

急な不安に駆られ、幸村は護身用の枕刀さえ忘れて立ち上がり
寝所の仕切り襖まで小走りに急ぐと
次の間に寝ている父と母の姿を求め、些か乱暴に引手に手を掛け両側へ引いた。

「……!」

途端、視界の利かぬ黒い室内から
鉄錆に似た厭な匂いがぶわりと鼻先に、否、全身に纏わりつき
襖を開いた侭、暫し茫然と突っ立つ。
むせ返るような臭気に辟易したのは勿論だが、それよりなにより
部屋の中から如何ともし難い圧迫感のようなものが押し寄せ
まるで見えない壁が如く行く先を阻むのだ。
微かに、チリと項を焦がすような、濃くて重い、危険を孕む 鋭利な気配である。
(それが室内に満ち満ちた殺気という事に気付けぬ幸村は、今はまだ若い)
ともあれ、知らず噴き出る冷汗を手の甲で拭い
ゴクリと息を呑んで、恐る恐る一歩踏み込むと
じとり、足裏に濡れた感覚を覚え、「ひっ」と思わず仰け反って足を止めた。

(…あ…、いやだ、、! これ以上はもう、近付きたくない…っ)

本能的に、その場から離れるべく踵を返しかけたものの
ふと、真っ暗闇のその中で、更に濃黒な人影が佇立している事に気付き。
俄か、ゾッとする寒気が背筋を通った。

「…だ、誰だ…!」

何故、すぐに逃げ出さず、果敢にもそんな言葉が口から飛び出したのか
自分でも不思議だったが、問わずには居られなかったのだ
この異様な空間の中、そうでもしなければ
生きたまま知らぬ内に、地獄へと歩みを進めてしまう気がしてならなかった。

「…なんだ、弁丸か。…いや、今日から幸村だったな……大人しく寝てりゃいいものを…」
「っ…ぁ! その声…!」

何も見えなかったが、その声だけで、誰であるかなどすぐに判り
幸村は明らかにホッと胸を撫で下ろした。
己が捜していた兄、政宗である。
一体こんな夜更けにこんな処で何をしているのかと
湧いた疑問はしかし、「嗚呼」という納得へと挿げ替わるのは早かった。
たった二つしか違わぬ歳なのに、常日頃から、拙い己より何事も素早く先んじ
幸村が政宗に勝った事など、ついぞ無い。
当然、今回もそうであるに違いない、と
兄の言葉尻の意味深長さなど、かけらも意識せず、口を開いた。

「兄上…、さきほどの悲鳴、ただ事ではありませぬ…!それに、この匂い、、
 …っまさか、父上と母上に何か……!」
「Hum…知りてェか?」
「勿論にござる!」
「All right…ただし、これから何が見えても、驚くなよ?」

それと、此処に先にオレが居たって事は、内緒だ。
OK?

理由は判らぬが、大好きな兄がそう云うのなら、幸村に異存はない。

(…やはり兄上は愚鈍な幸村と違い、何もかもご存知なのだ、さすがにござる!)

と、何の疑いもなく、縦にコクコクと頷けば
案外すぐ傍に居たのか、「イイ子だ…」と頭を撫でてくるので
「もう幸村を子供扱いしないで下されっ」と膨れっ面で唇を尖らせると
「悪かった」と哂ってまた頭を掻き撫ぜられる。
然う斯うしていると、幸村と同じように悲鳴を聞いて異変を察知した見廻り番達や
家内の者達がバタバタと慌てふためいて此方へ走ってくる気配があり
程なく、廊下側からの襖が勢い良く開かれた。

「…これは!!」

その者達が手に手に持った灯りで室内が薄ぼんやりと照らされ
ここで初めて、中の状況が露わになり
浮かび上がったのは、地獄絵図。
畳や壁どころか、天井にまで飛び散った血飛沫の夥しさは無論
中心の夜具の上で、人かどうかも判別し難いほど切り刻まれた二つの肉塊は
大の男であっても嘔吐感を催し、目を覆いたくなるような光景であり
ましてや数えで十五になったばかりの幸村にとっては、強烈過ぎた。
しかも、その肉塊となった亡骸、状況からして自身の両親に他ならない。
幸村は弾けるように息を吸い込み、

「…っ!!、ん…、ぐ!」

しかし迸る筈の悲鳴は、背後から己を抱きすくめる兄の掌によって素早く口を塞がれ、封じられた。
みな、目の前の惨状にばかり気が向いていて、気付く者は誰一人として居ない。

「っン、……ん…っ…」
「shh―…約束しただろ…?」

周りに聞こえぬよう、息を吹き掛けるように
ひっそりと耳元で囁かれた声が、耳朶に纏わり付く。
そうして幸村が悲鳴すら満足に上げさせてもらえない中
集まった家中の者達は、挙って「賊を捜せ!」と叫びながら
彼方此方へ奔走して行き、再び漆黒となった室内に、二人取り残され。

「……ぁ、、」

ようやく政宗は塞いでいた幸村の口を解放してやり
ぐたりと力を無くし弛緩した躯を、しっかりと抱きとめた。

結局、いくら捜しても賊は見つからず(手掛かりとして残ったのは、骸に突き刺さっていた血塗れの一刀のみ)
すでに放心状態となっていた幸村は、ズルズルと引きずられていった兄の座敷で
泪が枯れるまで延々と泣き続けた。

それが、幸村がめでたくも元服を迎えた祝夜、丑三つ時に起きた悲劇であった。

 

―――――――――――――

 

三年後。
数えで十八、齢十七になった幸村は
家の裏手の庭奥深くにある両親の墓の前で、静かに手を合わせていた。
兄の政宗は、ずっと行方知れずだ。
幸村にたった一人残された、大切な肉親なのに
父と母が惨殺されてから一月と経たぬ内
「下手人を見つけ出す」と云って出掛けたきり、戻って来ない。
今頃は何処でどうして居るやら判らぬが
この三度目の命日にすら、きっと姿は見せないのだろう
寂しく凪いだ幸村の心の穴は、今年もまた拡がっていくのだ。
されど、いつか帰ってくると信じて居る。
あの兄だ、心配する事は何もない…

そう云い聞かせでもしなければ、別の暗い憂鬱
「もしや、道半ばでお命を…」などという、恐ろしい勘ぐりに、心身を蝕まれてしまいそうだった。

「…いかん、しっかりせねば」

この三年、踏ん張ってこれたのだから、あと少し、、
と夕暮れの西日を背にして、己を鼓舞する幸村の背後より、ふと、人影が差す。
こんな逢魔が時に、一体誰だと振り返ると

「…あ、」
「よう、久しぶりだな、幸」

蒼い具足姿で腰に六振もの刀を携え
不遜な笑みを浮かべた男が、此方を見下ろし、立っていた。
嗚呼、まさかまさか、とうとう己の拙心が作り出した幻か
それとも黄昏時に現れた妖のたぐいかと
幸村は目前に突如出現した兄、政宗の姿を、俄かには信じられなかった。
しかし、夢だろうが現だろうが、この際、捨て置いて

「…ッ今まで、何処で何をして居られた!」

屈めていた腰をグンと上げ、開口一番、聲を荒げる。
両親の命日にも現れず、この長い月日、弟に何の音沙汰なく
どれだけ此方が身を窶して、その身を心配した事か!
…いや、そんな事はもう、どうでもいい
とにかく、無事に帰って来てくれただけで、十分である。
根掘り葉掘り訊くまい。
けれど、何事も完璧に済ませなければ気がすまなかった兄の事だ
のうのうと手ぶらで戻って来ることは、間違っても無いだろう。

「…もしや、ついに仇の下手人を捕らえて…!」
「Ah…? おいおい、まさかオマエ、いまだにアレを賊がやったと思ってンのか?」
「?!……どう云う、意味でござろう…?」
「下手人なんざ、ハナから居ねェよ。 まァ、しいて云うなら、オレだな」

このオレが、この手で殺してやったンだよ。 You see?
と、ふざけた調子もなく、真顔でいきなりそんな事を云われても、納得できない。
というより、理解できない。
記憶の兄よりも遥かに大人びた顔つきで、ようやく戻って来たかと思えば
云う科白が其れか、そんな面白くもない戯言など、そもそも信ずるに値せぬ。

「お戯れが過ぎますぞ、兄上、、」
「ウソかホントか、幸、オマエなら判るだろ」
「…っ…!」

昔から、兄の顔色から本心を読む事だけは、両親にさえ負けなかった。
だからこそ、「jokeだ」と、哂って云って欲しかったのに
その深遠に黒い隻眼を見れば、決して冗談ではない事実なのだと、否が応でも判ってしまった。

「、、理由を、理由を教えて下され…!!」

故もなく、兄がそのような凶行に及ぶ訳がない
何か、幸村には計り知れないような、とてつもない理由がある筈だと
必死に問い縋る。 が、

「あいつら、オレに欠陥あるからって
 オレじゃなく、オマエの元服を機に、オマエで縁組なんぞ企ててやがったンだぜ?」

しかもオレに断りもなく、勝手になァ… 気に食わねーったらありゃしねェ!
鍔で隠した右目をグイと親指で指しながら
「だから殺してやったンだ」と、憤然として吐き捨てる兄の言葉に、一瞬で背筋が凍りついた。

これが、あの優しく聡明であり、己が慕った兄か?
…否、断じて違う。
此奴は、決して兄の政宗などではない!

「っならば、何故、今更戻ってきたのだ…!
 縄につきたくなかったから、家を出たのだろう…っ
 そのまま、ずっと行方を眩ませて居れば良かったものを、わざわざ…ッ…!」

握った拳を震わせながら、俯いて嘯く語尾が、掠れる。
こんな事なら、安否を気遣い、気を揉んでいた方が遥かにマシであった、、と。

「…っ…?」

そんな幸村の手首が、不意に掴まれる。
愕いて顔を上げ、咄嗟に振り解こうとするも
異様なまでの力で捉えられた右手は、ビクともしない。

「、、は、放して下され…!兄上が…、お前がやった事は、悪逆無道…ッ! 金輪際、顔も見とうない…!!」
「Ha!好きに誹りな。 But、オレを拒絶する事は許さねェ」
「ッ…?!」

冷たく云いあしらった政宗に、勢い良く腕を引かれ
足元では素早く足払いを食らい、幸村はものの見事に地面へと転倒。
そればかりか、受身を取れずに強か打った痛みに唸っている処へ
あろう事か股を割って圧しかかられる。

「なッ…!おやめ、下され…! 此処は、父上と母上の、墓前…! っく、、!」
「Good、ますます此処がイイ」

何をするつもりなのか杳として知れぬが
こんな場所で乱闘紛いの真似は御免だと、幸村は慌てて兄の胸板を押し返すが
いきなり穿いていた袴を無造作に引きずり下ろされ、ビクリと硬直する。
大きな目を更に大きく見開いて、己を組み敷く男を見上げると
薄く弧を描いた唇がチラリと舌先を見せ。
ゾクリ、身震いした途端、きっちりと身につけていた下帯すら毟り取られ
殆ど半裸に近い恰好となった幸村は、刺さる視線と陽の沈みきらぬ野外という羞恥に、真っ赤に上気した。

「どうした、今更裸なんか気にする間柄じゃねェだろ」
「、、あっ! ぅ、あ…!」

幼き頃より、いつも一緒に居て、寝食を共にして来た。
その過程で、云うまでも無いが互いの裸なぞ、それこそ見飽きるほど見ている。
とは云え、こんな状況で、其れと此れとは話が別
そもそも、弟を裸に剥いて、どうしようと云うのだ。
その当然にして湧いた疑問への答えは、存外すぐに兄が寄越した。

「掘るぜ」
「?!」

何処を、と訊くまでもなく、武骨な指が、臀の奥、菊座に触れる。
ギョッとした幸村は、動揺露わに足掻いたけれど
逞しい政宗の体躯に組み伏せられた現状は変わらず
焦って泡をくっている内に、ずぶ、と長い指を突っ込まれた。

「っか、は…! ぅぐ、、ぅ、」
「手間暇かけてやりてェが、ちと急がせてもらう」

何せ元服来るまで我慢したモンを、更に三年も我慢したンだ、限界だっつの。
という呟きも、ろくに耳に入らぬ幸村が、半泣きになって仰け反り呻いている処
もう一本、無理矢理に指が加えられ
二本の其れがグイグイと両側へ縁を拡げるように引っ張り、僅か隙間が出来る。
其処へ、ズルと引き出された政宗の、大人の一物を宛がわれ
垣間見えたその凶悪さに、幸村は死に物狂いに逃れんとて四肢をバタつかせたが
逆に浮いた右足の膝裏を捉えられ、しっかりと肩に担がれた次の瞬間

「っぐ、ぅあ゛、ぁああッ…!!!!」

一気に捻じ込まれた。
その激痛、尋常ではない。
呼吸も侭ならず政宗の蒼い羽織をがむしゃらに引っ掴むと
少しばかり眉を顰めた男に両手とも剥ぎ取られ
そのまま左右別々に顔の横の地に押し付けられた。

「堪えろよ。死にゃしねェから」
「っひ…、ンぐ、、ぅううっ」

云って、ずぐぐ、、と腰を押し進める容赦の無さに
幸村は眦に溜まっていた泪をボロボロと零して、壮絶な苦痛に顔を歪めて唸る。
このような非道極まる行為を強いる男が
大好きな兄と同一だとは思いたくも無かったが
しかし、嗚呼、耐えてみせよう。
それ程に、物心付いた頃から、好いていた、焦がれていた、特別だった。

「あっ!、、くぅッ…! ん、…んんっっ」
「ッHa!たまンねぇな、その聲…! 表情も、ah―…最高だ!」

感極まったように吼える政宗に、些か乱暴に腰を揺すられ
幸村は切れ切れに苦しげな聲を洩らしながらも
湧き上がった己の気持ちを、改めて噛み締めた。
どれほど様変わりしようとも、酷い仕打ちを受けようとも
この気持ちは永劫変わるまい。

でも、たった一つ、許せないのは、そんな大切な兄の手が血に染まった事。

「はっ、ひ…! ま、間違って、いる…ッ、 んっ、殺す必要など、アッ、なかったの、に…!」
「So what? っつーか、オマエも内心ホッとしてただろ?オレを虐げてたアイツらが居なくなって」

確かに、政宗が右眼を患ってからというもの
父と母が事あるごとに蔑ろにし、疎んじていた事に反意を抱いたのは、一度や二度ではない。
(しかも、政宗の代わりだとでも云うように、己を猫可愛がりする二人を、一時は嫌悪すらした)
兄が云う通り、惨劇の夜から暫し経って落ち着いてきた頃
胸の内に存在したのは、誤魔化しようのない、安堵。

「、、されど! たとえっ、どんなに憎くとも、! っく、、御手を汚して良い訳が、ありませぬッ
 この幸村が、いつも傍に、、あっ!居たでは、ありませぬか…!ッぅ、あぁ…!」
「Shut up、だからこそだ。オレには、オマエだけだった…」

テメェは何も判っちゃいねェ、縁組なんぞ決まったら、容赦なく引き離される。
それがどんなに耐えがてェ事か、、
…嗚呼、そうとも、その暁にゃ、オレは迷わず狂うぜ。
だから、力尽くで阻止したまで。
後悔? Hum、誰がするかよ。

政宗はニヤリと口角を吊り上げた。

「幸…オマエを手放すぐらいなら、オレは鬼にも畜生にも成る」
「っ、あ…! ヒッ、あぁ、、ッ!」
「OK?そろそろ、お喋りはヤメだ。 さァ、昔みたく、今度は自分で口を塞げよ」

御託はもう聞かねェ、
それに、オマエのその卑猥な喘ぎ声を聞いて、誰ぞ駆けつけて来ねェようにな…!
と、云いざまに、抉るように奥を突かれ、幸村はまた悲鳴をあげた。
口を塞げといいながら、相変わらずこの両手を地に縫い付けている癖に
一体どうやって無様な聲を殺せと云うのだろう。
まして、より一層勢いづけて揺さ振られては、舌を噛みそうで
政宗の云う御託を並べたくても並べられぬ。
要するに、これより先は、憚り無く喘ぎ散らすことしか許さないと
読まずとも判る兄の意図が、幸村に更なる掠れた悲鳴を強請した。

「ひっ…!、あぁっ、は…!、いっっ、あァ…ッ」

血の繋がった兄に、亡き父と母の墓前で、激しく貫き犯され
半ば享受したようにあられもない聲を上げ続ける様は、さぞや狂気の沙汰だろう。
そんな事は、百も承知。
だが、並々ならぬ執着を見せる兄を、決して見捨てられやしないのだ。

「…う、…あぁッ、…は…!、、ん、っ」
「っく、」

荒い息遣いで政宗が短く呻き、ドクリと放たれた飛沫が、幸村の腹の中へとブチ撒けられる。
生微温い体液が、流れ、絡みつく感覚に、ゾクと身震いすると
ズルリと萎えた政宗の牡が出て行き、尾を引くようにポタポタと滴が垂れた。
まるで兄弟で交ぐわった禁忌の証だとでも云うように。
まったく同じ事を考えたのか、「コレを拭うのは惜しいな…」と零しつつ
政宗は懐から取り出した手拭いで、ぜぇぜぇと気息を乱す幸村の
力なく開いた下肢に垂れ流れた白濁を、丁寧に拭き取り始めた。
されるが侭、四肢を投げ出し、肩で息を繰り返す幸村に
そう云えば、と口を開いた政宗が、囁く。

「どうして、オレが今更戻って来たか、だったな」
「…っ、はぁ……ハァ……、…ッ、、」
「迎えに来たのさ、幸」

今までオレが遊んでいたとでも?
NO、全てを準備して来た。

破落戸を手懐け、兵を組織し、己に心酔する右腕を手に入れ
城を落として領地を奪い、終には独眼竜などと周辺に畏怖されるまで、完璧に。

「もう、誰の邪魔も許さねェ。オレ達を引き離そうとするモノすべて
 オレが手に入れた力で叩き潰して消し去ってやる」

無論、オレ自身の手を血に染める事も厭わねェ…。
政宗は腰に差した六刀の鍔を、思わせぶりに撫でると

「来い、幸村」

ゆるりと右の掌を差し伸べた。
幸村は目の前にある兄の手をのろのろと見上げ
微かに震える自らの手を、静かに、けれど確実に、そっと重ねた。

(……この幸村が、兄上のその歪んだ心、、必ずや救ってみせる…)

その胸の内でひっそりとした決心が
甚だ無意味だと思い知るのは、もう少し先の事である。

 



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あとがき

三万hitキリリク小説です。
初の兄弟設定パロでしたが、いかがでしたでしょうか;
中途半端な上にありきたりでしたかね?
それに、濃い…というか、薄暗くし過ぎた気がします、、すみませぬ;
しっかし政宗兄ちゃん、墓前で事に及ぶとは、けしからんです。
(そこにめちゃめちゃ萌えてた奴の言うセリフじゃありませんが。笑)

こんなのでお気に召されるか、とっても心配ではありますが、奉げさせて頂きます。

2010/08/07  。いた。