※暴力的表現(拷問)・性描写があります。ご注意を…!

 

 

『弦月の烙印1』


幸村が連れて来られたのは、日の光りなど入らぬ薄暗い地下で
一つ二つとある松明の灯りがぼんやりと中を照らしてはいるが、果たして、石畳に落ちる影は
此処に来た者を奈落の底へ歓迎するかのように濃く暗い。
淀んで湿った空気は肌の毛穴全てを覆うように粘っこく
巨大な木製の格子戸の前に立ち、男が錠を解く間にも
中に入る前からカビくさいような、饐えた匂いが鼻先に纏わりつく。
思わず入り口で足を止めるが、すぐに背後に居たもう一人の男から野次が飛び
さっさと入れと背を押されては、全身に縄を打たれていた為、勢い余って石畳の床に無様に倒れ込むと
ちょうど濁った水溜りがあり、ビシャリと横面と髪房が濡れた。

「手間ぁ掛けさせるんじゃねーよ!さっさと立ちやがれ!」
「っう、…ッ」

腕を使えず、さながら蓑虫のように這い蹲っていると
屈強な男二人がかりで乱雑に掴み起こされ、半ば引き摺るように奥へと引っ立てられる。
遠ざかる格子状の入り口は、後から来ていた別の男により
外側からガチリと施錠が施された。
これで、もしこの二人を殺したとしても、外には出られぬという訳だ。

「さぁて、此処まで来たら、これから何されるか判ってる筈だ…。今の内に、正直に吐いといた方がいいぞ?」
「…知らぬ。何も云う事などない」

脅すような物言いを素気無く突っぱねると、向こうも予めそれは予測していたのか
ニヤリと下卑た笑みを浮かべるなり、幸村の髪を鷲掴むと、力任せに引っ張り上げ
隣に居たもう一人の男が、濡れた頬に容赦ない拳を浴びせ掛ける。
衝撃で吹き飛ばされた拍子に、掴まれた儘であった髪が毟り取られ
再び倒れ臥した冷たい石畳の上に、己の栗色のそれがハラハラと降って来た。
頬と頭部を焼けるような激痛が襲う。
されど息つく間もなく、今度は倒れた躯の鳩尾を狙いすまし、腹を蹴り上げられ
こみ上がった嘔吐感の後、耐え切れず胃液と共に逆流して来た吐瀉物を吐き散らすと
続けざまに腹と云わず背と云わず、至る処を二人してドカドカと散々に蹴りつけられた。

「ッ!ごほっ、…ゲホッ…!ッぅおえ…っっ、う、ぐ…!!」

もう一度腹を蹴られては堪らぬ、鳩尾を庇うように丸くなって耐え忍んでいると
一旦猛撃が止み、詰めていた息を短く吐き出せば
「少しは云う気になったか」と、少々荒くなった息遣いで問い掛けられ、されど無言で以ってそれに答える。
途端に苛虐を帯びた男達の眦が吊り上がり
一人が幸村を俯けにし背に跨り体重をかけ、後ろ手に纏められていた幸村の右手をむんずと掴み
無理矢理に五指を開かせ、もう一方の男はと云えば、少し離れた石壁の方へと歩いて行った。
それを上目で追い掛けると、研ぎ澄まされた刃物や先の尖った鋭利で細長い鉄物
何に使うのか用途が知れぬような、見るからに残酷極まる道具がずらりと壁に並べて吊るされ
所々に点々と僅かに染み付いた赤黒い染みは、間違いなく血痕であろう。
俄かにゾッと悍ましい恐怖が背筋を撫で上げた。

「…っ!」

そうして身構える幸村の元に、鋏のような器具を持った男が戻って来て
背中で指を開いた状態で固定されていた幸村の手の
一番端の小指の爪を、その冷たい先で徐に挟む。
次の瞬間、バリッという生々しい音と共に生爪を剥がされた。

「ッッッ!!!」

声にならない悲鳴が迸り、根限り目を見開いた幸村は
その指先とは思えぬ全身にまで飛び火する激痛に顔を歪め
それでも、叫び声一つ上げなかった。
「ほお」と驚嘆した男は、次に隣の薬指の爪を挟み、情け容赦なく剥ぎ取る。
幸村はまたしても悲鳴を押し殺し、息を詰め
右手の小指から始まった拷問が、とうとう片手の指全てに達しても
これしきの痛み、と只管に奥歯を噛み締めて遣り過ごした。

「…ふーっ…、…ふー……!」
「お前、なかなか骨があるじゃねーか」

だったら、と立ち上がった男は幸村の背に跨っていた男に目配せすると
今度は更に奥にあった等身大はあろうかと云う大きな水樽の傍まで進み
天井に取り付けられた滑車から伸びる縄で幸村の足首を雁字搦めに括ると
二人がかりで縄を引っ張り始め、暫くもしない内に幸村の躯は宙に浮く。
これから己がどうなるかなど、想像に難くない。
今度は水責めだ。
その予想は寸分違わず的中し、幸村は井戸の滑車に吊られた桶の如く
縄で逆さに吊るされた躯を、水がなみなみと満たされた大きな樽へと落とされた。

「…!…ブク…ッ…ゴボゴボ…、」

鼻から僅かに水が入り、早速噎せて、折角飲み込んだ多量の空気が、虚しく音を立てて泡となる。
苦しい。
さすがにこれはキツイと、後ろ手に強く拳を握り締め
固く目蓋を閉じ、顔を歪め、引き上げられるのを只管待つこと暫く
ガラガラという滑車が軋む音がして、足首に括り付けられた縄がグイグイ躯を引っ張り、水から引き上げられる。
すかさず咳き込みながら生ぬるい空気を取り込むと
再度「お前は一体何者だ。何の目的があって城に忍び込んだ」と、此処に来る前と同じ質問が降って来た。

そもそも、何故、幸村が斯様な状況に陥っているのかと云うと
私用で訪れた奥州くんだり、美味いと評判であった甘味処で餅を食うて
満足しつつの甲斐への帰り道すがら、折角此処まで来たのだから、何かお館様に役立つ情報をと欲目を出し
有能な忍が居るにも関わらず、自分一人で間諜紛いの事をしようと思ったのが、まず間違いであった。
米沢城は堅牢なる城郭の内へと忍び入り、見張り番達の目を掻い潜って城内へと侵入したまでは順調だったが
よく知りもしない広い城中だ、すぐにも来た道すら判らぬ程に迷い込み
途方に暮れている所を城の者に発見され、もれなく捕縛されたという訳だ。
間抜けにも程がある、と忸怩たる思いで縄目の恥を受けたのは、今より一刻と前でない。
まさかこんな所で己の素性が明るみになろうものなら
敵対国であるだけならまだしも、領主の腹心の臣たる立場が故
必ずや内情を吐かせられる事になろうし、悪ければ身柄の交換と称して、何ぞ無体な要求をされるやも知れぬ。
そんな事は主への尽忠立て厚い幸村の矜持が許しはしない。
例えこの場で縊り殺されようとも、何も喋ってはならぬという決意を胸に、堅く口を閉ざしているのだ。


「…全く、何て野郎だ…これだけやって、大声の一つも上げねぇとは…」

水責めが始まってから、五度目の水没よりの引き上げの折
それでも根を上げない幸村に、さすがに疲れの色を見せた男達は、揃って感嘆の言葉を漏らした。
彼らがこうして城仕えの中でも、蛇蝎の如く忌み嫌われる拷問の役務を与えられ、もうだいぶ長くなるが
幸村程の若い男などは、大概が最初に爪を剥いだ処で耐え切れず、何もかも洗い浚い喋るし
どんな屈強な男だとて、水責めが三度を超える辺りには、泣き叫んで許しを請う。
だのにこの年若い青年ときたら、聞き苦しい悲鳴の一つも上げず、中々に良く耐えている。
さぁこれからどうしたものか、水が駄目なら火を使うかと
拷問人は一度幸村を滑車から下ろして縄を解き、少し離れた所にある
天井から垂れる鎖に繋がった頑丈な手枷へと拘束。
その後、壁に掛かっていた細長い鉄物の一つを持ち出すと、傍の松明の炎に翳し
暗い鈍色が真っ赤になるまで炙って熱すると、あろうことか、灼熱に赤白く光る其れを、幸村の二の腕に押し付けた。

「ツ…っ!!!!ぐ、ぅう……!!!!」

ジュッと云う肉が焼け爛れる音と、鼻が曲がりそうな程の強烈な焦臭が立ち込め
されど、小さく呻き声を上げただけで、見事に絶叫を抑え込んだ幸村は
その力強い眼光を衰えもさせず、拷問人を睨み据える。
ここまでして、尚も口を割らぬとは、もはや感嘆を通り越して、驚愕に近いものがあった。
まさかこのような事は、かつてない。
二人の拷問人は互いに顔を見合わせ、次はどうするとヒソヒソ相談まで始める始末である。
このまま成果が上げられないようでは、任を解かれ
あの気短の城主のことだ、軽い叱責程度では済まない事は明白、それは大いに不味いとうろたえた。

と、その時

「Hey、どうだ、口を割ったか?」
「!!」

ガチリと閂が外れた音がして、ギィ…と開かれた格子戸から一人の男が入ってくる。
その姿を見た途端、拷問人の二人のこめかみに冷や汗が流れたのを、幸村は確かに見た。

「…ひ、筆頭!何でこんな所に…!」
「っそうですよ!こんな汚いとこ来たらマズイですって!」

泡を食って慌てふためく二人を宥めるように
まぁそう云うなと気さくに哂って歩み寄ってきた男は
次いで手枷に吊るされた幸村を見て、スッと隻眼を眇めた。

「で?何か判ったのか?」
「…は、…その…、実は……」
「なんだ。ハッキリしろ」
「っまだ何も判ってません…!」
「……Ha?」

ダラダラと脂汗を流しながらの拷問人の報告に、たっぷりと数秒の間を置いた後
訊き返すように言葉尻を跳ね上げた男の眉間に深く皺が寄り
途端に飛び上がった二人は、身を竦ませてガタと震える。

「今、なんつった?こんだけ時間かけといて、…『まだ何も』…??」
「…ッヒ!すんません…!けどコイツ、中々口の堅い奴で…!!」
「Shut up、云い訳はいい…全くテメェらの無能さときたら、どうしようもねぇな」
「ッスンマセン!スンマセン!あ、あと一刻下さい!必ず吐かせてみせますんで…!」
「…NO、もういい、オレがやる。 下がれ」

呆れたように呟いた男に、ぴしゃりと命令された二人は裏返った声で御意を叫ぶと
まるで逃げるようにそそくさと格子戸の外へと走って行った。
その様を一部始終見ていた幸村は、苦痛を訴える躯に歯を食い縛りつつ
何とか顔を上げ、こちらにゆっくりと近付いてくる男を見遣る。

「…Oh、こりゃあ酷ェ…随分甚振られたみてェだな」
「…………」
「あーあー、可愛い顔にこんな青痣つくって、別嬪が台無しじゃねーか」
「…ッ…!」

程なく目前にまで迫った男に顎を掬い上げられ、品定めするかのように顔を覗き込まれた後
拷問人に殴られた時に切れていた口端から伝う血糊を、拭うように親指で擦られる。
そのヒリと走った僅かな痛みに眉を顰めると、フッと小さく嗤われた。
己と然して年も違わぬようなこの男が、どうやらこの城の主、独眼竜と呼名も高い
先も筆頭と呼ばれた奥州が領主、伊達政宗で相違あるまい。
こちらを射抜くような鋭い隻眼の眼光と、気圧すような堂々たる覇気があり
まさか斯様な処の斯様な状況で出会うなどとは、露ほども思っていなかった。
何しろ、豪勢な座敷や陣入り乱れる戦場の直中ならいざ知らず
曲者を拷問するような汚れ荒んだ処へ、一国の長たる者が足を踏み入れる筈もなし。
ただ黙していれば何も素性が明らかとなることなく、いずれは佐助の助けもあろうかと楽観していたのであるが…

「……っ…、」

何やら雲行きが怪しくなってきた。
拷問人のような下っ端にならば、この顔を知られていないのは当然だが
強国の領主ともなれば、何処ぞで見知っているやも知れぬ。
あまりじっと見られるのは不味いと、顎に掛かった手を振り解くように顔を背け、できるだけ深く俯いた。

「アンタ、このオレの城に忍び込んだのは褒めてやるが
 迷って捕まるあたり、腕利きの間者でもなさそうだな。何の目的があって、何処から来た?」
「…………」
「名は?」
「…………」
「Hum…」

何にせよ、これまで通り、知らぬ存ぜぬを貫き通し、黙秘するのみだと唇を引き結ぶ幸村に
男は思案を巡らせるように隻眼を細めつつ、手枷に吊り下がった幸村の全身を舐めるように見る。
頭から爪先までずぶ濡れで、水気が滴り石畳に水溜りを作る単衣から垣間見える健康的な肌には
手酷く痛め付けられた証の痣が至る所にあり、中でも引き締まった二の腕に残る火傷の痕は、特に酷い。
これだけの拷問を受けて、何も喋らないと云うのだから、若くして相当な精神力の持ち主だと云う事が知れる。
何より、生気を失っておらぬ澄んだ瞳が印象的だった。
こういった手合いは、例え拷問の果てに死ぬことになろうとも、決して口を割らぬだろう。
そこまで考えた伊達は、いかにも愉しげにニィと口角を上げ、こう云った。

「…アンタみたいなタイプに口を割らせるには、痛みよりもっとイイ方法がある…」

猫撫で声で囁き、徐に手を伸ばすと、幸村の濡れた単衣を辛うじて留めている帯紐を
容易く解いて床に投げ捨て、肌に張り付いた薄い衣の共衿を掴んで肌蹴る。
一体何のつもりだと瞠目する幸村に構わず、現れた瑞々しい肌に手を這わせ
冷たく体温を失っている隆々とした筋肉を撫で上げた。

「…ッ!!」

その時、幸村の背筋を走った悪寒と云ったら無い。
短く息を呑み、冷えた躯を硬直させるが
寒さで硬く尖っていた胸の乳頭を抓まれ、捩じるように磨り潰された。

「…っつ…、!」

痛みとも痺れともつかぬ正体不明の感覚が、幸村の恐怖を増長させ
尚且つ、下帯に包まれた陰部をやわと握られ揉み込まれると、いよいよ項が総毛立った。
まさか手篭めにしようとでも云うのだろうか、
おなごでもない己に、そんな莫迦な拷問があって堪るかと
懸命に身を捻って逃れようとするが、手枷に繋がった鎖がじゃらと無意味に甲高く鳴っただけであった。

「…っは、離せ…!」
「Ah−、やっと喋りやがったな?」

ここに来て漸く言葉を発した幸村に、したりと口の端を舌先で舐めた伊達は
続けて握り込んだ牡を下帯の上から激しく扱き立て、もう片方の手では変わらず凝った乳先を弄り回す。
そんな事をされては、嫌がる幸村の意思に反して、勝手に躯は昂っていき
萎えていた筈の一物は下帯を押し上げる程に熱く反り返り
ドクドクと血液が集中する其れの先端をグリと強く詰られると、僅かに先走りが滲んだ。
もともと下帯が濡れている所為で、局部にピタリと張り付き
淡く下生えの茂みと、仄赤い陰茎の括れた亀頭までもがくっきり判るほどに、よく透けて見て取れる。
その卑猥さに息を呑んだ幸村は、必死に明け透けな痴態部分を隠そうと
もじもじと股を閉じるべく蠢いたが、吊り下がった躯は殆ど宙に浮いている為
爪先が辛うじて石畳を掠る、どうにも不安定な体勢では、揺ら揺らと頼りなくぶら下った躯が揺れただけであった。
そうしている間にも、男の武骨な五指が強引な快楽を引き出し
幸村は身悶えて目蓋を固く閉じる。

「っん、…は…ッ…」
「HA!随分色っぺぇじゃねーか…直に触って欲しいか?」
「…!よ、よせ…っ」

制止の言葉虚しく、力尽く解き抜かれた下帯から
勢いづいた魚が跳ねるように、幸村の勃起した牡が飛び出し露わになる。
その様の何と浅ましい事かと、唇を噛んで視線を逸らした。

「Huh、口は堅いが躯は素直ってヤツか」
「…っく、…ぅ……ッ、、」

揶揄うような口調で囁いた男に、そそり勃つ肉茎を直に握られ、しこたま扱かれると
下帯を介しての愛撫とは比べ物にならぬ程の官能があり、堪らず呻くような吐息を漏らす。
痛みだけの拷問なら、いくらでも耐えられるというのに
こうして齎される羞恥と快楽の苛みこそ、己の意思だけではどうにもならぬものがあった。

「…ふっ、……ンぅ…ッ、…も、やめ……!」

このままでは近い内に男の目の前で絶頂を迎えてしまうだろう。
そんな慙死にも及ぶ醜態を曝すぐらいなら、いっそ舌を噛んだ方がましだ。
幸村は腹を決めると、震える唇を開き、限界まで伸ばした舌に歯列を宛がった。
しかし、目敏く見抜いた伊達に顎を掴まれ、阻止される。
その万力のような強さは骨を砕かんばかりで、おまけに閉じ損ねた口に
鞘に収まった儘の小さな懐刀を無理矢理に噛まされ
己の後ろ髪を結えてあった紐によって、しかと固定されてしまった。
この簡易的な猿轡は、されど絶大な効果があった。

「自害なんざ考えるんじゃねェよ。興醒めもいいとこだ」
「…ん!んぅーっ、うぅ…!!」

そんな殺生なと目を見開いた幸村は、訴えるように声を上げたが
勿論言葉を成そう筈も無く、伊達は酷薄に口端を吊り上げ嘲笑すると
見るからに限界間近な、トロ…と先走りを零す幸村の性器に指を絡め
散々に扱き上げながら張った睾丸を揉み込む。
すると一瞬腰を震わせた幸村のまら先から、勢い良く子種が噴き出した。

「ッッ…!、ん…、ん……っ…!」

ビュルと飛沫した白濁は自身の腹と伊達の手を汚し
長ったらしくいつまでも溢れ続ける残滓は、ボタボタと石畳の上に厭らしい染みを作った。

「上出来だ」

その様を満足気に見下ろしながら、伊達は今度は自らの昂った牡を掴み出すと
幸村の弛緩した下肢を抱え上げ、固く閉じられた菊座に先程手に付いた白濁を塗りつけてから、ピタと宛がう。
途端に勘付いた幸村は目を見開き、引き攣ったように全身を強張らせ、「やめてくれ…!」と
言葉を発せぬ代わりに激しく首を振って哀願したのだが
力を込めた臀の穴に、男の硬い陰茎の先端がメリ…と容赦なく捩じり込まれた。

「…ひぐ…ぅ…!…ッぅう〜っう…!!」
「…Ah〜、アンタこれ、初物か?…ッ、凄ェ締め付けだぜ…っ」
「ッン!ぅう゛…っ、ひっ、ぅ……!」

頑なに拒む狭道を、力尽く掘り進めた伊達は
縁が切れて血の泪を流す其処を無慈悲にも無視し
寧ろこれで滑りが良くなったと、嬉々として腰を振り立てる。
よくも斯様な惨い仕打ちができるものだ。
何より、拷問とは云え同じ男に貫き犯される陵辱は著しく幸村の心身を苛み
その苦痛と恥辱から逃れたいと叫ぶ両の眼には、終に透明な雫が溜まって
伊達が強く突き上げる度に、ボロボロと滂沱のように頬を伝い落ちた。
臀の肉を穿たれるなど、この戦乱の世の習いとも思いたくもない
まして戦にて負けた訳でもない己が、こうして無体を強いられるなど、ゆめゆめ考え付かぬ。
今更になって先の独断専行、詰まる所、敵地に単身潜入するという
自身の愚行としか云えぬ行動を後悔しても、もう遅い。
常日頃から信玄にも佐助にも諭され続けていたことだが
後先の事を考え、もっと良く頭が廻っていれば、このような事態は避けられたのだ。

「…っふぅ!ぅう…ッ!、んく…っっ…、ンン…ッ!」

そうして自責する内に、どんどん己が情けなくなり
殆ど幸村は嗚咽しながら伊達に揺さ振られ続けた。
勢いづけて深く貫かれる度、ぐちゅ、ぬちゅ、と卑猥な水音と
猿轡を噛まされた隙間から漏れる苦しげな喘ぎ声が、石畳の拷問部屋に反響し
加えて規則的にじゃらと鳴る鎖の硬質な音も相俟って、幸村は猛烈に耳を塞ぎ込みたい衝動に駆られた。
また、どうやってもそれが出来ないもどかしさに
うまく飲めぬ唾液を滴らせて泣き喚き、身悶えながら拳を握って頭を振る。
こんな責め苦が、これから一体いつまで続くのか、考えるだけでも気が狂いそうだった。

「どうした、吐く気になったか?…ん?」
「…っく、ぅ…!んんっ、ふっ…!」

素直に喋れば、すぐにでもやめてやる、と
耳の穴に舌を入れながら囁いた男の甘言に、一瞬ぐらりと心が揺れ動く。
されど幸村はギュッと目を瞑り、邪念を追い払うように何度も首を横に振って
決して口を割らなかった。

「…上等だ」

ここで拒絶を示せる意思をまだ持っていたとは、思わぬ誤算である。
だったら、と抱え上げた幸村の臀をせり分けるように鷲掴んだ伊達は
抉るように激しく腰を突き上げる。

「っひ、…あぁっ、ぐ!、はぅ…ッ…うぅぅ…っっ」

既に幸村の後孔は痛みという痛覚を通り越し、麻痺のような痺れしか感じ取れず
其処を斯様にも摩擦された上、陰茎の根元のちょうど裏辺りを穿たれると
何やら吐精を強要されるような感覚があり、どうにも其れが幸村を苦しめる。
はっきり云うと、自我を瓦解させるような法悦が身の内を襲うのだ。
その証に、だらりと萎えていた一物が、ゆるゆると僅かずつ
されど確実に頭を擡げ始めている。
抑え切れず漏れた声は、間違いなく嬌声と取れる艶を帯びていた。

「ヒッい…!くっ…、ンぅっ…、うッ!」
「堪ンねぇな、その声…ッ」
「、んんっ…ん!……ぅっ…あ、ッ」

猿轡の所為で多少くぐもってはいるが
我慢しようとして出来ず、戸惑いがちに吐き出される悩ましい喘ぎは
少なからず伊達の劣情を煽った。
慣れぬ官能に眉根を寄せ悶える様も、艶姿と云って過言ではあるまい。

「…っく、」
「…!、あ…!……ぁ、…あ…、、」

加えて初物特有の強い締め付けがあれば、伊達が絶頂を迎えるのも早く
小さく呻いた後、小刻みに腰を揺すると、幸村のうねくる肉襞の中へ
どぷどぷと精を注ぎ込んだ。

「…っ、ん…、ッ」

腹の中に吐き出された生温い感触を感じてか、身震いする幸村から
ズルリと萎えた陰茎を引き抜き、抱えていた足を下ろしてやると
弛緩、麻痺して閉じ切れぬ臀穴から、トロトロと溢れだした子種が
引き締まった太腿を白く幾筋も伝い落ちた。

「……はぁ…、…はぁ…、……っ」

荒く息を乱す幸村は、そのような事に頓着する余裕すらなく
虚ろげな瞳を彷徨わせ、力無く吊り下がる躯をヒクリヒクリと細かく痙攣させた。
ただ胸の内にあるのは、「これでも白状しなかった」という、虚しい達成感のみである。
失った物は大きいが、到頭、最後の最後まで耐え抜いたのだ。
流石にこの独眼竜だとて、もう口を割らせるのは諦めるに違いないと
薄っすら笑みをすら浮かべかけた幸村に、

「仕様がねぇな……吐くまで此処に居てもらうぜ?」


真田幸村

と、己の耳元で囁かれた低音に驚愕し、弾かれたように顔を上げ目を瞠ると
ニィと笑みを浮かべる男の顔があり
果たして、何もかもを知った上での猿芝居だったと気付く。


「…あ、…うぁあぁああああぁぁあああ!!!!!!」


ならば今まで耐え忍んできた事は、一体何だったのだと
この時初めて、幸村は声が嗄れるまで絶叫した。

 

 

【2へ続く】


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あとがき

ここで問題ですが、ユッキー、首からブラ下げてる筈の六つのおぜぜはどうした…?
(それあったら一発で身元バレてますね;;;…という不都合により、このまま無い物として続けます)
元々、一話完結のつもりでしたが、書いてる内に楽しくなってしまいまして
拷問生活中々辛い、月月火水木金金…といった具合で、長編として続けて行きたいと思います!

2009/11/29  。いた。