※現パロ(社会人筆頭x学生幸村)/痴漢行為/性描写(特殊プレイ)あり。 ご注意を

 

 

 

 

 

 

ガタガタ、ゴトゴトと車両が揺れる。
早朝。
通勤通学で人が溢れかえる、所謂、朝ラッシュというやつで、満員電車だ。
時折カーブに差し掛かると、脱線でもしそうな程のけたたましい音と共に車体が傾き
ぎゅうぎゅうに詰め込まれた人々も僅か犇く。

「…、……は、っ」

空調が機能しているのかいないのか、密集する高い人口密度の中
様々な体臭や香水が入り混じって何ともげんなりする重い空気にそっと紛れ込むのは
短く抑えられた小さな呼気。
かっちりとした制服姿で通学カバンを引っ提げた若い青年から発せられたものであるが
誰も気にとめる者は居ない。
何かを耐えるように凛々しい眉をしかめ
少し俯いた項にかかる長い栗色の髪を一纏めに括った紅いゴム紐のあたりに
何者かの吐息が微かに触れては離れる。
混雑した電車の中であれば皆密着しあうもの、致し方ない…と片付けられればどんなに良かったか
しかしながら現状はそういう次元から掛け離れており
ともすれば大きく乱れそうになる息を、健全な高校生たる幸村青年が何故こうして必死に殺しているかと言えば

「っ、っ…!」

卑猥な手付きで股間をまさぐられているからだ。
まさか立派な日本男児が痴漢に遭うなど考えられない、何かの冗談かと何度も思い込もうとしたが
残念ながら男である象徴をしっかりと把握してもなお手を引っ込めないのだから
勘違いとか間違いとかそういう事ではないようだった。

(…ぬうぅ、、いかん、いかんぞこれは…!)

何故、この広い世界で、今、自分なのか…!
そう幸村が憤る間にも、不埒な手は遠慮を知らず
器用にジッパーを下げて下着の上から性器を揉みしだき始める。
これは参った、今すぐ対処せねば、、
とは思うものの、些か躊躇う。
というのも、実は幸村、ついこの間まさしくこの電車で
同校同クラスの女子が痴漢されていた現場に遭遇し、勿論、ヒーロー宜しく物の見事に助けたのだが
いかんせん頭に血が上り過ぎており、「この幸村が成敗してくれるぁあああ!」という時代劇さながらの台詞を
大音声で叫びながら犯人の男をその場で吊るし上げるという荒技を敢行し
結果、犯人を取り逃す事無く然るべき所に引き渡す事が出来たものの
狭い車両内でしかも大混雑の中で暴れた為、周囲の乗客まで少々巻き込んでしまい
軽い怪我を負わせてしまったのだ。
故に、同じ過ちを繰り返してはならない。
そもそも、今回は他の誰かが痴漢の被害に遭っている訳ではないのだから
幸村一人が黙していればどうという事はないのである。
まして自分は男なのだから、この程度は我慢してみせようぞ!
と決意し意気込んで頷くこの幸村の潔さこそが彼の良い所でもあり悪い所でもある訳だが
間の悪い事に、今はそれを適切に正してくれる保護者(佐助)は居なかった。

「…ふ、……ぅ…っ、」

幸村が通う高校は、あと3つ先の駅で降りた所から程近い。
なので今しばらく辛抱すれば、もうじき解放される、頑張れ幸村
と己に言い聞かせる間にも、背後にピッタリと密着する何者かの動きは益々エスカレートして
下着の前開きからするりと指を差し入れたかと思うと
半勃ちになった幸村の雄を引き摺り出して直に握り込んで扱き始めるではないか。

(〜ッぬああ!なんという巧みな…!しかし負けはせぬ!心頭滅却すれば何とやらにござるァ…!!)

今すぐ痴漢を背負い投げしたいのは山々だけれど、そうも行かず、歯痒いながらも無抵抗を貫きつつ
ならばせめて卑劣な手管に屈しまいと自身の生理現象を気力と根性で抑えようにも
ソコを意識すればするほど昂りが治まるどころか乱れるばかりでどうにもならない。
こんな筈ではと下肢をモジモジさせ焦る幸村の様子が余程おかしかったのか気に入ったのか
幸村の頭より少し高い位置から「フッ」と小さく溢れた笑息が耳の上の辺りを撫でる。

(、、っ、ぐぬぬ…!この破廉恥めが調子に乗りよって!一体どんな顔か見てや…、あ、あッ!)

悔しさと恥ずかしさで耳の端まで真っ赤に上気させた幸村は
無理に首を捻って背後を振り返ろうとしたものの、弱い亀頭をグシグシと強く念入りに擦られては
ビクと首を竦めて息を詰め、硬く身を強張らせるに終わった。
しかし次の瞬間、

「ンひッ!?〜〜っっ!!」

いつの間にかカウパー液が糸を引くほどにヌルついていた尿道口に
グリリ!と思い切り爪を立てられ堪らず声を上げてしまう。
幸村は慌てて唇を引き結ぶものの、飛び出した切羽詰った悲鳴はもう口の中には戻せない。

(こ、これはマズい…!)

周囲への迷惑や痴漢への葛藤で失念していたが
今の状況は客観的に見ると、『公衆の面前で勃起した性器を露出させている変態学生』という事になる。
なんてことだ一大事だ。
幸村はサァと血の気が引く心地で、恐々と周囲の反応を待つも、どよめきや批難は一向に訪れず
どうやら、皆しゃっくりか何かかと思ったようで、実に幸村に無関心である。
それが事ここにおいては誠に有難いものであり、ほっと安堵の息をついた幸村は、次いで、更にほっとした。
スピーカーから流れる次の停車駅のアナウンスで、漸くいつも降りる駅に近付いて来たと判ったからだ。

(となれば、もう遠慮は要らぬな!)

駅に降りるついでに油断しきった痴漢の腕を捻り上げてスマートに連行し駅員に引き渡せば万事解決である。

(だがしかし待てよ…)

それはつまり、自分が痴漢された事を詳細に話す必要がある訳で、そんな事はとてつもなく恥ずかしい。
幸村にだってプライドというものがある。
そもそも男の自分が痴漢されたと言っても信じて貰えるかどうか甚だあやしい。
うーんどうしたものか…と悩むのも一瞬で、いややはり悪事は裁かれねばならぬ!
と決心し、いざ痴漢の腕を拘束しようとして、ハッとした。
いつの間にか、あれだけ股間を這いずり回っていた痴漢の手が失せているのである。

(ななななんたる事か!某の気の迷いのせいで取り逃がしてしまうとは…!無念ッ!!)

一人嘆く幸村は、到着を告げるチャイムの音で再びハタと我に返ると
慌てて身形を整え、ごった返す人波を掻き分け掻き分け駅へと降りる。
そして全く気付いていなかった。
制服の内ポケットから生徒手帳を、カバンからは財布を抜き盗られていた事に。

 

 

翌朝。

「…はぁー…」

築25年以上は経つ古いアパートの前、閑散とした細い路地に突っ立って、幸村は深く溜息をつく。
昨日の事は、保護者兼兄である佐助には言い出せなかった。
余計な心配をかけたくなかったし、3年前に両親が他界してからこっち
大学を中退して社会人となった佐助が親代わりになってあれこれと世話を焼いてくれる中
せめて自分で出来る事は自分でやらなければあまりにも面目ない、という気持ちが強かったからだ。
正直電車での通学など当分は御免被るところではあるが
よもや朝から忙しい佐助に「車で送って欲しい」などと口が裂けたって言えなかった。
然らば、くよくよ悩んだ所で仕方なし、腹を括って行くしかあるまい幸村よ
と一歩踏み出した矢先、

「………む?」

幸村は首を捻って足を止めた。
ぬるりと現れた一台の車が、静かに幸村の脇で停まったからだ。
上品なブルーメタリックの車体が朝陽をキラキラと反射させる眩しさに目を細めて見守って居ると
勿体振った速さで運転席のパワーウィンドウがゆっくりと開き
現れたのは、端整な顔立ち、ワックスで小奇麗に整えられた髪
右目に海賊のような黒い眼帯を付け、皺一つないスーツ姿の、何だか良い匂いのする若い男…
世に言うイケメンというやつである。
幸村はほんのちょっぴり怯んだ。

「そ、某に何か用でござろうか、、」
「コレ、アンタのだろ?」
「!」

自分とそう歳も変わらないように見えるのに、一線を画す大人びた雰囲気に圧倒され
居心地悪そうに問いかけた幸村に向かって男が摘み上げて見せたのは、小さな手帳である。
見覚えがあり、幸村は慌てて制服の内ポケットを探ってみたものの、感触はない。
昨日どこかで落としてしまったのだろう。
学生証も兼ねているそれには学校名や氏名は勿論、住所まで載っているとはいえ
学校の方ではなく、わざわざ自宅まで届けに来てくれるとは
なんという優しい御仁かと、感無量で頭を下げた幸村は、咄嗟にこう切り出した。

「是非お礼を…!」
「ん。じゃあ乗りな」
「…はい?」

幸村の申し出に対し男は間髪を容れず答え、逆に幸村は戸惑った。
車への同乗を求められるとは思わなかったからだ。
礼をしたいと言い出した手前、それくらいならお安い御用と快諾したい所ではあるけれど
「知らない人にホイホイついてっちゃダメだからね!」 と、口を酸っぱくして佐助が言っていたのをふと思い出し
恩人とは言え、やはり断った方がいいのだろうかと逡巡していると

「あ、そーいやァ手帳の他にもう一つ、
 財布も一緒に拾ったンだが、持って来るの忘れちまった。
 念の為、中を検めさせてもらったら
 保険証の名前が手帳の名前と同じだったから、間違いなくアンタのだと思うぜ?」
「!?」

思い出したように男が言い、飛び上がるほど驚いてカバンに手を突っ込み掻き回してみても
手に馴染んだ感触は掴むことが出来ず、やきもきしながら目の前でカバンの口を開いて
あちこちひっくり返して再度よく探してみても、どこにも見当たらなかった。
幸村は顔色をなくし動揺する。
財布など、用が無ければいつもカバンに入れっぱなしだ
こうして指摘されるまで、無くなっている事さえ全く気付きもしなかった
情けない話である。

「往復するのも面倒だ、取りに来てくれよ。その後、駅でも学校でも送ってやっから」
「ッ判り申した!」

失くしたのが、手帳や定期ならば再発行すればいいだけの事だが
財布となるとそうも行かない。
折角誕生日に佐助に買って貰った、愛着のある大事な物だし、お金も入っているのだ。
そんな大切な物をどうして落としてしまったのだろう…
と、ただただ己の不甲斐無さを自責する幸村は
いやしかしこうして拾って下さった御仁が居たのだ感謝せねばと思い直し
まさかすぐ傍で親切面している当人が抜き盗ったなどとは疑いもせず
「政宗」だと名乗り薄く笑みを浮かべる男の車の助手席へと乗り込んだ。

 

 

「ついたぜ」

連れて来られたのは、幸村が佐助と住むアパートとは比べ物にならないほど立派で綺麗なマンションだった。
手馴れた所作でオートロックを解除しエントランスを抜け奥へと進む政宗を見失わない程度に
周囲をキョロキョロと興味深く観察し感嘆の息を溢す幸村であったが
エレベーターで何階かに上がって降りた先の長い廊下を経て「入れ」と促され
やっと辿り着いた政宗の自宅へと遠慮がちにあがり込む。
財布を渡すだけなら、玄関先で待っていると固辞すれば済むところ
政宗が一体どんな部屋に住んでいるのか見てみたいという好奇心の方が勝ってしまった、という訳だ。

「取って来っから、ちょっと待ってろ」
「御意!」

一人にされた幸村は、不躾であると自覚しながらも、しげしげと部屋を眺める。
残り香か、政宗と同じ大人びた匂いのする広いリビング、必要最低限しかない小奇麗なインテリア…
良く言えばシンプルでスマート、悪く言えば殺風景。
どちらにせよ、狭くて散らかり放題で老朽化の進む幸村の部屋とは大違いだった。
同じ人間なのに住む世界にここまで違いがあると羨望を通り越していっそ感心すら覚える。

「Hey、何をそんなに熱心に見てる?ゴキブリでも居たか?」
「ほあッ?!め、めめ滅相もござらん!!まっこと綺麗だと感服しておった次第…!!」
「あっそ。ところで、アンタが言ってた礼とやら、もう一ついいか?」
「??某が出来る事であれば、なんなりと!」
「Good、ちょっとこっちに背を向けて、両手を後ろに廻してじっとしてろ」
「???」

どうしてそんな事をして礼になるのかと、頭上にハテナマークを幾つも飛ばしつつ
特に断る理由もないと頷いた幸村は、言われた通りに政宗に背を向け両手を後ろへと廻す。
すると、五指を開かされ、左右の親指同士を、細い紐のような物で手早く括られてしまった。
動かせないし外れない。
政宗の意図が理解できず、「これに何の意味が?」と問い掛けようとした幸村はしかし
突如膝裏を強かに蹴られ、バランスを崩しつんのめってフローリングの冷たい床へと倒れる。
後ろ手に拘束されていた所為で咄嗟に両手をつく事もできなかったので、バタン!と派手に転んだ。

「っい…!政宗殿、急に何を…!!」
「一名様、ご案内〜」
「?!ちょ、待っっ!」

鼻唄でも歌いだしそうなほど上機嫌に囀った政宗が、うろたえる幸村の片足を引っ掴み
ズルズルと引き摺って別の部屋へと移動する。
己の身に何が起こっているのか把握も対処もできずに混乱する幸村は
「離して下され!」と何度も訴えたが政宗は振り返る素振りもなく
開けっ放しのドアの先、男の私室と思しき室内には、セミダブルのベッドがどっしりと陣取り
そのすぐ傍にはキャスター付のラックが置かれ、ノートパソコンが据えられている。
画面は開いた状態で、電源はついているようだった。
すると政宗は、ジタバタと暴れる幸村を意に介する事無く抱き上げるなり、無造作にベッドへ落とすと
ラックから何かを手に取って凶悪とも言える悪辣な笑みを浮かべる。
握りこぶし程の大きさのツルリとした光沢の物体に丸いレンズ…カメラのようなものに見え
一体それが何なのか、判る訳もない幸村は、急展開していく状況に追い付けず、ひたすら焦って足掻くものの
圧し掛かられ首根を容易く押さえられては身動きすら出来ないで
俯せの状態のまま顔を上げると、目の前に例のラックがあり、パソコンのディスプレイが見える。

「!」

すると、狼狽しきった自分自身の横顔が急に映って、度肝を抜かれた幸村は、呼吸も忘れて瞠目。
理解を超えた現象にただ呆然としていると、クツクツと嗤う政宗が
幸村の視界の正面に入るように先程の得体の知れない物をこれ見よがしに翳しつつ

「あれ?知らねェの?WEBカメラ」

これを経由すれば、リアルタイムにパソコンに映し出せるのだと、得意気に言う。
そんなハイテク機器に幸村が詳しい筈もない。
政宗が言う事の半分ほどがただ漠然と判る程度だ。
いずれにせよ、そんなものを使って何をするつもりなのか、危機感しか湧かず
嫌な汗をじっとりと浮かべる幸村の目の前から、不意にカメラが移動し
同調して画面に映った映像も動きを見せ、食い入るように画面を見詰めていると
制服姿の自身の竦めた肩、背中に流れた栗色の髪房が映り、続けてゆっくりと降下して行き腰のあたりになると
後ろ手に拘束されている両手が見え、その時初めて、どんな代物で縛められていたのか判明した。
ケーブルやコード類を束ねる際に使う結束バンド、所謂インシュロックというやつだ。
そんなもので括られては、自力で引き千切る事は到底不可能だろう
いよいよ焦燥を募らせる幸村に、更に手酷い追い討ちが掛かる。

「ちなみにここは防音完璧だ。アンタがどんなに泣き叫んだって助けなんざ来ねェから」

それが本当なら絶望的である。
財布を取りに来ただけの筈なのに、どうしてこんな事になっているのかと
頭が真っ白になりかける幸村であるが、自失するよりも先に
どうにかしてこの窮地を切り抜けねば地獄に転がり落ちるほかない事は明らかであると己を叱咤し
必死に政宗の気を逸らせまいか、説得できないかと口を開く。

「っなにゆえ、某に、こんな妙な真似を…!」
「Hmm、話せば長くなるンだが… Ahh−…そうだな、アンタの動画を見たのがキッカケだな」
「某の…?」

動画と言われても、そんなモノを撮った覚えも撮られた覚えも無い。
何の話しだと訝しがる幸村に、まぁそう急かすなよと哂う政宗は揚々と続ける。

「前に、電車で痴漢捕まえたろ?」
「……い、いかにも…」
「その様子を隠し撮りした奴がいたらしく、動画サイトにアップされてたのをたまたま見つけてな。
 しかもアンタ、『成敗してくれる〜!』ってデケェ声で暴れてたろ。HAHA!惚れたぜ」
「!!?」
「ちなみに動画見た連中がアンタの事なんて呼んでるか知ってるか?『熱血侍』だ。似合ってンぜ?
 クク…オレもなァ、今時こんなアツい奴いねェ、おもしれェって思ったら、どうしても会いたくなっちまってな。
 着てる制服でどの学校かつきとめたら、スッゲェ近場でやんの。
 ンで、いつもは車で通勤してんだが、アンタの為にわざわざ暑苦しい満員電車に乗ったってワケだ。OK?」

オーケーも何も、実物見たさにわざわざ同じ電車にまで乗った事は判ったが
それと今の状況がどうやったら結びつくのだと言うのだろうか。

「So、こっからが本題だ。
 そもそも会いてェだけならクソ苛つく電車なんぞ乗らなくたって、
 学校の傍で待ち伏せすりゃ済む話だ。そうだろ? But、オレはなァ、
 正義感あふるる熱血侍様が、もし自分が同じように痴漢されたら一体どうすンのか…っつー興味があってな」
「…!!では、昨日のあの痴漢は、まさか…!」
「Yep、オレだ。 ただ誤算だったのは、アンタがあんまりにも可愛い反応しやがるから、
 Ah〜これは早くモノにしねェとと思ってな。予定変更して拉致る事にした」

つまり、電車での痴漢行為に飽き足らず、手帳や財布を拾ったなどというのは真っ赤な嘘で
意図的に盗んで用意周到に幸村を言い包め車で連れ去った挙句に拘束監禁しているという訳だ。
恐ろしい話である。
流暢に喋る政宗のニタリと吊り上がった口角を幸村が見る事はかなわなかったが
大層愉しげな口調はそれを雄弁にものがたり、幸村はゾッと寒気と恐怖を感じるも
幸村にとっての本当の恐怖は、まさにこれからだった。

「ところで幸村。デジタル機器に疎いアンタに、もう少しイイ事を教えてやろう。
 このカメラな、ネット上にもリアルタイムで動画アップできるンだぜ?」

しかもワイヤレスでこうやって手に持てるし、マイク内臓だから声も音もパーフェクトだ、便利だろ?
と、物分りの悪い生徒に判り易く教える教師さながらの口調で説明した政宗は
一度立ち上がってベッドから離れ、手馴れた手付きでパソコンを操作し
ライブ配信(ストリーミング)サイトに繋げると、幸村に見せ付けるように、生中継を開始する。
投稿者名は『筆頭』。
政宗がベッドに戻り再び幸村の背面に馬乗りになった時には、早速画面に閲覧者のコメントが流れ始めた。

『うp乙』
『うぽつ』
『わこつ』
『筆頭〜!待ってました!!』
『wktk』

幸村にとっては意味不明な単語が次々と投稿される中、
政宗に対する期待や親しみを込めたコメントも多数あり
それだけでも政宗が今まで何度もこうした動画の生放送をしていて、しかも人気があるのだという事が伺い知れる。
しかしそんな事は幸村にしてみればどうでもいい…いや寧ろ、不利不運極まりない。
何せそれだけ多くの人間が、今流れている動画をリアルタイムで見ているという事だからだ。
おまけに、

「うあ?!、待っ、やめ、ッやめて下され…!」

体勢をずらした政宗が、いきなり幸村のベルトを外し、下着ごと制服のズボンを引き摺り下ろしてしまう。
画面には、まことに間抜けな事に幸村の丸出しの尻がでかでかと映った。
瞬時に『いいケツ』『ウホッ』とかいうコメントが舞ったものの、それどころではなく
幸村は羞恥と怒りにカッとなり、何とか政宗から距離を取ろうと懸命に這い出さんとしたが
太腿の半ばで溜まった制服が邪魔でどうにもならず、無様にのたうっていると圧倒的な力で腰を引き上げられ
背後に居る政宗に向かって尻を突き出す格好を取らされる。
その体勢が何を意味するのかを理解するより早く、

「、、っひ!? なっ、どこを、触っておるのだ…!」
「どこって、見りゃ判るだろ?」

アンタのケツの穴だよと、面白そうに囁く政宗が指をかけたのは、言う通り、肛門である。
煌々と明るいパソコンのディスプレイに映し出されたものをとても直視できず咄嗟に目を背けた幸村は
ほとんど悲鳴じみた批難の声を上げたが、政宗は、カメラの視点をそこに固定したまま
反対の手を使い頑なに口を噤むアナルをローションで濡らし、手早く解しにかかる。
幸村はあまりの衝撃と仰天で言葉も出ず、歯を食い縛って身を強張らせ
それでもなんとか、「頼むから、やめてくれ…っ」とやっと蚊の鳴くような声で縋りつくように懇願するも
数度、寄った皺を伸ばすような仕草をした政宗のしっかりとした指が一つ、容赦なく捩じり込まれた。

「ッ!〜ッ!!ぅ、、ぅ…っ、ぅ、、ッ」

肉襞を掻き分け侵入してくる異物に眉を顰め小さく呻く内に、指は引き抜かれ
潤滑剤の助けも手伝って、すぐに二本纏めてつっ込まれる。
窄まりを拡げるように幾度も往復し円を描くたび、にちにちと湿った音が背後から
そして目の前のパソコンのスピーカーからも聞こえ、思わず顔を上げてしまった幸村は、激しく後悔した。

「…あ、ぅあ…、そんな…っ」

濡れそぼった自身の尻の穴から、いつの間にか三本に増やされていた指がズルリと抜け
何かしらの封を切る音がし僅かな物音がした後、遅れて、入れ替わるようにヒタリと宛がわれたのは
ゴムを着けた政宗の屹立した先端である。
真っ先に浮かんだのは「まさか」とか「どうしよう」とかいう考えなどではなく
ソレを間違いなく「挿れられる」という本能的で純粋な恐怖が瞬間的にドッと押し寄せ
人間、そんなどうしようもない危機に直面すると、思考が停止し、声はおろか身動きすらできないもので
その例に漏れない幸村は、何の抵抗もしない内に、ズブズブと男の性器に貫かれる様を
パソコンの画面越しにまざまざと凝視した。
慣らされたおかげか、難なく野太い雄を呑み込むアナルに追加のローションが上から垂らされ
尚のこと滑りが良くなった口は閉じる事を忘れたかのように政宗を咥え
潤滑剤が体温に馴染む頃にはズズズ…と奥まで到達し、次いで、殊更ゆっくり引いていき
捲くれ上がった口の端がグロテスクなまでに鮮やかな桃色を晒す。
まるで観客の為に見せ場を作っているかのように、じっくりと、数回にわたってそれが繰り返され
案の定、スクリーンには歓喜のコメントが続々と飛び交い『お前らの愛で見えない』『コメ邪魔ww』『非表示推奨』
などの発言も見受けられるが幸村はそれどころではない。
臓物を掻き回されるような気持ちの悪い感覚に嘔吐感すら覚え身悶えていると
政宗が緩慢だった動きを次第に速いものへと変え始め
押し出されるように幸村の苦しげな声が一定のリズムで洩れ刻まれる。

「ふ、ぅぐ…っ、は、あ゛、、ッ」
「Ha、こういう、ハメ撮りの動画、っ、たまに流してンだが、案外、野郎を掘ってるやつは、人気でな」
「っ、う、く、、あッ、あ…っ、…〜こ、のっ…!」

下衆な趣味を、と息も絶え絶えに唸る幸村に、「違いねェ」と軽く一笑しただけの政宗は

「顔を映されたくなけりゃ、せいぜい気張って腰振れ…よ!」
「ヒッ!、う゛っ、うぅっ、う…!」

ライブで流れているため、万が一に顔が映り込めば修正不可能
つまり不特定多数の人間に素顔が知れ渡ってしまうのだということをネタに幸村を脅し上げ
好き勝手な陵辱に更に拍車をかける。
そんな政宗に対して、『マジキチww』『シビあこ』『胸熱』やらのネットスラングが飛び交うも
幸村には殆ど何の意味か判らない。
判らないが、コアなファンが熱狂陶酔しているのは確かであり
しかも幸村が悲鳴をあげ嫌がれば嫌がるほど、興奮する一方のようだった。
とても同じ人間とは思えない。特に政宗は。
こんな輩を野放しにしておけば、今後も幸村のような被害者は後を絶たないだろう。
絶対に懲らしめてやらねばならない。
そうだ、その為に今自分はここにいるのだと、己を奮い立たせた幸村は
どうにかして政宗の素性や身元が判る物を確保し
必ず無事に逃げ遂せ、警察に訴えてみせようぞと固く決心する。
けれどその高潔な決意を挫くかのように、政宗は乱暴かつ強かに幸村を攻め
手ブレの激しい画面上に浮かぶ幸村の引き締まった尻たぶの肉が
政宗が音がするほど荒々しく穿つ度に、波打って震える。
ローションでぬかるみ泡を吹く後口が、あたかも棒アイスを頬張るように政宗のものを呑吐する。
あまりの卑猥さと醜悪ぶりに、卒倒すらしかける幸村であったが
意地で持ち堪え(その時、政宗が極めてサディスティックな笑みを浮かべた事など知る由もない)
電車の時と同じように今少しの辛抱だと自らに言い聞かせていると、不意に政宗が口を開いた。

「最初は、ただ脅す為にやってたが、Ha、ヤメだ」
「っ、…? な、にを、、言って、、っツ、」
「逃げられてもつまんねーしな」

言うが早いか、今までずっと、首から下だけを舐めていたカメラが
急に幸村の目の前に現れ、ヒュッと、幸村は息を呑んだ。
俄かに画面上に流れた文字に、目が釘付けになる。

『ちょwww顔出しwwwいいのかこれwww』
『うわジャニ顔wってかどっかで見た事ある』
『え?もしかして熱血侍じゃね?』
『熱血侍』
『ゆきむらたん』
『マジかwww』

「That’s too bad…これでアンタはもう、陽の下は歩けねェな」

脂汗の浮かんだ顔を強張らせ呆然とする幸村に言い渡されたのは、無情かつ非情な事実。
生放送中に暴露された素顔はすぐさま「熱血侍」とバレて食いつかれ
かつ運の悪い事に、その件の電車での痴漢撃退時に自ら「この幸村が」と
高らかに名乗ってしまっていた為、名前まで定着してしまっているようだった。
この調子では、瞬く間に幸村の素性は調べあげられ拡散されるだろう。
そうなれば、下手に表を歩けない。
佐助にも迷惑がかかってしまう。
最悪の事態だった。
それを引き起こした張本人の男はと言えば、幸村の顔の真正面にカメラを置いて手放すと
幸村の絶望し憔悴しきった顔を映したまま両手で幸村の腰を鷲掴み、哄笑すらしながら律動を再開する。
こんなゲスで鬼畜な人間が果たしてこの世に存在して良いのか、いや良い訳が無い。
まして今後の人生を潰されたと言っても過言ではない幸村だ
もう失う物など何も無い、どうしてくれようか、許せぬ、こやつだけは絶対に許してなるものかと
とてつもない怒りが沸々と腹の底から湧いて来る。

「ふぬぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!」

これが火事場の馬鹿力というやつか、幸村は獣のような咆哮を上げながら
両の親指に掛かっていた結束バンドを力技で引き千切ると
瞠目する政宗が腕を伸ばすより早く、肉が抉れ血が滴る手で素早くカメラをひったくり
身を捻って背後の政宗を、その、憎たらしいまでに整った顔へと突きつけ、言ってやる。

「…死なば諸共にござる」
「上等だ」

『wwwwナニコレ修羅場www』
『熱血侍さすがwww』
『てか筆頭イケメンww』
『イケメン筆頭www』
『この二人スゲェ!!』

流れるコメントは最早止まらない。
政宗と幸村の素性が割り出されるまで、そう長くはかからないだろう。
だが、互いに怯むことなどなかった。


 

『心中宣告』


 

二人の殺し合いはこうして始まった。

 


 


【終】


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あとがき

22hitキリリクにて、『現パロで社会人筆頭x高校生幸村の痴漢もの』という事で
お二人さんには現代社会で頑張って頂いたワケですが…
うん、痴漢序盤だけwwwごめんなさいorzでも筆頭が痴漢だけじゃ満足できないって言うもんだから…←
(いや正直、折角の現パロなので戦国ではできない事をやりたいと
 欲望のまま突っ走った結果がコレです; 何番煎じだってネタですが、お許しを;;;)

兎にも角にも、初めてちゃんとした現パロが書けて楽しかったです★
カタカナ英語をたっぷり使えたのもv(戦国を書く時はなるべく使わないようにしてるので^^;)

2015/11/23  いた。