※流血・暴力的表現、性描写あり。強姦要素が大変強いので、ご注意を。

 

 


『試煉の刻』

 


「また腕を上げたじゃねェか!」
「貴殿こそ…!」


斬り結んでいた刃の切っ先を同時に弾き合いざま
後方へと飛び退りながら互いに笑みを浮かべ、声高に称讃を送り合う。
伊達と幸村だ。
一月ぶりに顔を合わせた二人が興じているのは
手合わせというにはあまりに激しい衝突で(何せ使っている得物は、刀にしろ槍にしろ真剣だ)
かれこれ半刻ほど、屋敷の庭先で死闘染みた鍛錬を繰り広げて居たりする。
もはや歴とした一騎討ちと称しても遜色なかろう
傍目から見れば危うい事この上ない壮絶な勝負をこうして続けられるのは
僅差も許さぬとばかりに全く同じである力量が、上手い具合に拮抗しているからこそ。
決して命の取り合いをするでなく、しかし同等の緊張感と
全力を尽くす喜びを味わう事など、この二人にしか成し得まい。


「Ha!最高だぜ、幸村ァ!」
「応!!」


左様な稀有な贅沢を、各々自覚しながら、一切の煩悩を忘れ去って只管に没頭する。
それ程に、どうしようもなく楽しく、胸が躍った。
幸村は強靭な足腰の発条を活かして地面を蹴り、再び伊達の間合いへと瞬時に踏み込んで
二槍を交差させ繰り出したが、ギィンッと甲高い音を立てて六爪に遮られ
衝撃の凄まじさ故か、昼の明るさの中でも可視できる火花が鮮やかに散る。


「っく…!」


そのまま食らいつくように、力押しで体重を掛ければ
伊達も往なさず真っ向から受けて立ち、同様に力で対抗するので
どちらかが一歩でも引けば即刀身が躯を両断するような、際どい攻め懸け合いとなる。


(……あ、また、だ…)


そんな抜き差しならぬ緊迫の最中、幸村は人知れず胸中で呟いた。
陽の照り返しで煌めく爪刀越しに垣間見た、伊達の眼光鋭い隻眼に
薄暗い翳りが差しているのを認めたからだ。
常人であれば見落とすような、僅かながらの異変に気付いたのは、なにも今回限りではない。
いつ頃からであったか、定かには覚えていないが
不穏な影はいつの間にか伊達の中に確かに存在しており
後天的に発生したものなのか、それとも元々巣くっていたものが表に出て来たのか
判る筈もなかったけれど、ふとした瞬間に、何度も目にしていた。
手合わせをしている時然り、他愛ない談笑の途中、去り際の横顔…
それも徐々に影の濃さを増して、である。
幸村は漠然とした不安を抱かざるを得ない。
何しろ此度の久方ぶりの再会で、これまでには無い新たな変化が生じていたからだ。
まるで、何かを押し殺すような黒い感情の澱みが
刃を競り合わせる度に、ありありと感じられ、戸惑いと疑問を覚える。


(…一体、何をお考えか、、)


と、そこまで思考を馳せた幸村は、ハタと気付く。
自他共に認める好敵手などと云いながら、この男のほんの一部分しか知らぬという事に。
今まで数々の戦を経て、敵味方という垣根を越えた絆を結び、いつぞや共闘もした浅からぬ仲
外見に似合わず情に厚かったり、時には敵将だとて叱咤する厳しさと優しさも持っている
若き奥州筆頭、伊達政宗。
ただ、それだけだ。
思い出しても肯定的な外面しか接した記憶がなく
その証拠に、伊達が纏う影の正体が何なのか、見当すらつかない。
それはとても口惜しい事であり、云いようの無い寂しさを感じる。


「Hey!そろそろ休憩にしようぜ。アンタの集中力も途切れた事だしな」
「…!こ、これは、面目ござらぬっ!」


不意に指摘され、幸村は飛び上がって驚いた。存外、雑念に深く耽っていたようだ。
赤面しつつ詫びてから、交錯していた鍔迫り合いを漸く解き
「では、一息つきましょうぞ」と、軒下の縁側を指し
武器を収めた二人は、日陰が涼しい板敷きへ、隣りあって腰を下ろした。


「………」
「………」


沈黙が、重い。
何故かこういう時に限って、伊達はいつもの快活達者な口を閉ざしている。
暫しもせぬ内に辛抱堪らなくなった幸村は、とうとう思い切って口を開いた。


「…政宗殿、一体何を隠しておいでだ」
「…Ah…?」


気の利いた云い廻しなど己には出来ぬ、と単刀直入に問うた途端、訝しげな声が返って来た。
それはそうだろう、唐突にも程がある。
しかし、訊いてしまったからには、もう後には引けない。
素気無く突き放されるか、はたまた心を打ち明けてくれるか
それとも、はぐらかされてしまうのか…
ゴクリと小さく唾を呑む。


「………」


ところが、予想していたような反応はどれもなく、男は無言である。
どうやら、触れてはならぬ核心を物の見事に突いてしまったらしく
眉間には深く皺が寄り、此方の真意を探るような眼差しを寄越すので
幸村は負けじと対峙した視線を真っ直ぐに逸らさず、更に続けた。


「浅くも無い付き合いでござろう? 某に、本音を話しては下さらぬのか…?」


肝胆を相照らす事が必ずしも正しい事とは限るまいが
刎頚(ふんけい)の交わりと云うに申し分ない相手だと、互いが暗黙の内に認め合って居る筈だ。
然らば、幸村の云い分はあながち筋違いではなかろう。
まずは相談無くして事は進まぬ。
別に、打ち明け話に助言をしようなどと、烏滸がましい事は考えていない。
ただ、少しでも何か役に立てるかも知れない、という一心でだ。


「…Hum、そいつはごもっともだ。But…アンタはオレの本性を知った途端、逃げ出すだろうぜ」
「ッ、何を申されるか!決して逃げたりなどせぬ!」


真摯に構えて居るというのに、軽く嘲笑をまじえた返事をされ、幸村は憤慨する。
唯一無二の好敵手に背を向け逃げ出すなど、どうして出来よう、絶対にありえない。


「…Oh, Really?どんなオレでも、アンタは受けとめてくれるンだな…?」
「もちろんにござる!」


さぁ、何でも申されよ!
と胸を叩かんばかりに深く頷いた幸村へ
伊達は憑き物が落ちたように、ニコリと満面の笑みを向けると


「今の言葉、忘れるなよ」
「…? 、ッ!?っぐ、は…!」


鳩尾を狙い済まし、的確に拳を沈めた。
油断も油断、腹を割っての本音を待っていた処に、よもや斯様な仕打ちがあろうとは思いもせず
まともに喰らった急所への打撃は鋭く重い。
幸村は込み上げてきた猛烈な吐き気と共に胃液を嘔吐しながら
急速に暗転する視界の端へ、男の禍々しく吊り上がった口角を見たのを最後に
プッツリと意識を失った。

 


――――――――――――

 


「…、ぅ…、、」


気がつくと、其処は見慣れた屋敷の庭ではなく、何処かの座敷であった。
薄っすらと目蓋を開き、何度か周りを見回しても、やはり見覚えはない。
眉を顰め、鈍い痛みの残る腹に手を当てようとしたものの、うまく出来ず
怪訝に思った幸村は自身の躯を目にし、ギョッとした。
後ろ手に組んだ両腕に、雁字搦めに荒縄が施され
それが二の腕を巻き込み胸にまで廻っており、まったく身動きが取れない上
先程まで着ていたいつもの紅揃えは影も形もなく、要するに素っ裸で畳に転がされて居るのである。


「…ん、…っン…!!?」


これは何なんだと驚愕すれども、それが言葉になる事はなかった。
ご丁寧に口に猿轡まで仕込まれていたからだ。
益々混乱を極めた幸村は、呻き声を上げながら懸命に立ち上がろうと身を捻らせるが
ジャラリと響いた金属音に、まさかと凍り付いて己の足元を見れば
鈍色の鎖が右の足首を拘束し、撓んだ縄のようにゆるりと伸びて、傍の角柱へしっかりと繋がれていた。


「Hi、起きたか幸村」
「…!!」


とその時、するりと開いた襖から、よく見知った男が姿を見せ、いよいよ訳が判らなくなる。
性質の悪い冗談か、それとも未だ目覚めぬ己が見ている白昼夢か
どちらにせよ、困惑の渦を巻く心境は尚更に治まらず
幸村は恐慌にすら陥りかけて、目前に佇む男を、伊達政宗を凝視した。
現状が嫌でも導き出す答えを、俄かには信じられない。


(ッ何故、どうして!貴殿がこんな真似を…!)


言外に訴えるも、次の瞬間、ゾクリと震え上がる。
目の合った隻眼に満ちるは常の鋭光ではなく、それを完全に凌ぐ暗澹たる黒影であり
途方も無い凶気を孕んで全身に絡み付いて、首根を絞められるような息苦しさすら覚えたのだ。

恐い。

そんな感情をこの男に対して抱いたのは、これが初めてであった。


「…ぅ、…あ…!」
「逃げるなよ」
「っ?!、…ぐッ!」


我知らず後退ろうと身じろいだ躯へ、襖を閉めて歩み寄った伊達の踵が容赦なく落ち
肩口を強打し背中を畳へと押さえつける。
奔った鈍痛に唸りながら、仰向けの姿勢で男を見上げると
すぐさま拳が降って来て、左頬をしたたかに殴り飛ばされた。
猿轡の所為で噛み締めきれぬ歯列により、容易く内頬の肉が裂け
口内に鉄錆に似た味が瞬く間に広がる。
幸村は殴られた衝撃で横を向いたまま瞠目していたが
引き戻すように髪房を鷲掴まれ、苦痛に顔を歪めながら上を向くと
見下ろす怜悧な眸と視線が交わり、薄い唇がゆったりと言葉を紡いだ。


「どんなオレでも、受けとめると云ったよな…?」
「、ッ!!」
「So…アンタがそんなに驚いてちゃァ、話にならねェんだが…」


それとも、あの言葉は嘘だったのか?
と、揶揄に近い口振りで静かに云い刺され、幸村はビクリと硬直した。
確かに、自分はそう約束した、無論覚えている。
しかし、だからと云って、この状況は甚だ理解できかねるし、あまりに一方的過ぎるだろう。
肝心の本音を明かさぬ侭に、だ。
一体何が伊達に此処までの暴挙に至らせたのか、せめて理由を教えて欲しい…!
でなければ激しく乱れた心ごと正気を失ってしまいそうだと
縋る思いを眸色に乗せて訴えれば


「…オレはなァ、大事なモンは閉じ込めておかねェと気が済まねェんだよ…」


あらゆる手を使っても、な。
という恐ろしい答えがあり、幸村は大きな双眸を揺らめかせ、一層動揺する。
それでは、この状況こそがつまり、伊達の真の望みであり
斯様な強硬手段を用いてまで手元に置きたい大切な物とは、即ち幸村自身という事か。


(っされど…!)


いくら何でもやり過ぎだ、人一人を拐かした挙句に縄を打って鎖で繋ぐなど
一国の主がやって良い事ではない。
そもそも、幸村は物ではなく、生きた人間であるからして
行為そのものが人道に反しておろう。


「Uh-huh、納得いかねェってツラしてやがるな。まァいいさ
 どうにも踏ん切りがつかずに迷っていた処へ、背を押してくれたのはアンタだ」


Thanks、礼を云うぜ?これで心置きなく有りの侭のオレを見せられる。
囁きニヤリと哂った伊達は、錯乱のあまり茫然自失同然な幸村の
栗色の髪房から手を放すと、乱暴に下肢を割って覆い被さる。
途端に我に返った幸村は、これ以上何をするつもりなのだと
薄ら寒い恐怖に襲われながら、必死に「待って下され!」と嘆願するものの
猿轡を咬んでいては意味の無い呻き声にしかならぬし
圧しかかる男の胸板を押し返そうにも
後ろ手に拘束され背の下にある腕はとっくに痺れて使い物にならない。


「Ah〜そう恐がるなよ。金蘭の契り、とは云わねェが、まァ、似たようなもんだ。往生しとけ」
「…!ぁ、や…!!、つ…ッ」


契るも契らぬも糞もない、幸村とて、金蘭が過言とならぬ程の親しく固い友情をと切に願っていたが
伊達は明らかにその意味を履き違えて、否、意図的に悪用しようとしている。
心安く深い間柄なら、云う通りにしろと云うのか?
それこそ物のように従順に?
そして先程の横暴な希望を叶えよと…?
嗚呼…万が一にも、そんな屁理屈に塗れた独り善がりに基づいての手篭めを甘んじては
幸村の矜持や心肝諸共、伊達への信頼や絆が、伊達自身に足蹴にされ踏み躙られるも同じだ。
頼むから、そんな外道はやめてくれ!考え直して貰えぬか…!
と、幸村はくぐもった声で反意の悲鳴を上げ、両脚をバタつかせるが
鋭く翻った手の甲に今度は右頬を苛烈に張られ
勢い余って鼻っ柱まで掠めたか、ドロリと温かい鼻血が一筋垂れ、思わず抵抗をやめる。


「ぅ…っ、ぐ…、、」
「オレに同じことを二度云わせるンじゃねェ」


どうせ泣こうが喚こうが無意味だと、冷淡な声色で云い放った伊達は
口端と鼻孔から血糊を続かせる幸村に構わず
唾液を纏わせた指を股座へと忍ばせ、探り当てた菊座に問答無用で突っ込む。


「!ヒッ、ぎ…!!」


無理矢理に混入された異物は凄まじい痛みを伴い
更にグリグリと穴の縁を拡げるような動きを繰り返すので
幸村は引き攣った悲鳴を上げて猿轡を喰い締め、左右に首を打ち振った。
まるで取り付く島も無い乱雑加減に、焦燥は募れど難局の打開は困難を極め
されど説得の言葉を吐く事も、逞しい体躯を突き飛ばす事も相成らぬ。
そんな歯痒さに涙目になって足掻こうとする幸村の温かな肉壁から
すぐに指を引き抜いた伊達は、入れ替わりに、屹立を果たす昂りを半ば強引に捩じり込んだ。


「づッ!、〜ンーーッッ!!!!」


座敷中に、哀れな絶叫が篭もる。
然もあらん、指とは比べ物にならぬ、気が飛ぶのではなかろうかと云う激痛だ。
あっという間に幸村の全身の至る処に脂汗が噴き出し、ビクビクと痙攣して
根限り見開いた両目は薄く充血を起こしている。
戦場で幾度も刃で肉を抉られた事はあるが
ここまで生々しい熱と痛みは、かつて味わった例がなかった。


「…はぁ…ハァ…ッ!、んっ、、ぐ……!」
「きっちィなぁオイ…まさか此処まで鍛えてンのか?もちっと弛めろよ」
「ッ?!…んぅっ!、うぅ…っ!」


おまけに酷いのは、下卑た物云いをした男が
此方の悲惨な有様など全く関係なしに、無遠慮に腰を揺さ振り始めた事だ。


「ふぐっ…、ア!! っあぅ、う…!」


ブツと厭な感覚が菊座に走り、臀の割れ目に生微温い物が伝う。
切れたのだと遠い処で自覚はしたが、あまりにも苦しくて堪らなくて
閉じられぬ口許はブルブルと戦慄き、血の混じった唾が引っ切り無しに顎やら後頭部にまで垂れ流れた。
何より、我が生涯の好敵手、と密かに誇りにすら思っていた男から
斯様にも無慈悲で残酷な行為を強いられる事実が無性に悲しく
躯だけでなく、心まで千々に引き裂かれ、泪が勝手に溢れて止まらない。


「ひっ、く…、、…うっ、う…っ」
「Oh…そんな情けねェ泣きっ面を晒すなよ。オレのライバルだろう?」


強い律動の度に目尻を流れ落ちる滴や、乾き始めた鼻血の上を濡らす洟水を舐め取りつつ
そう云って憚らない伊達は、(よくも今そんな科白を口にできるものだ、当て付けの如き醜悪さだ)
陵辱をやめるどころか益々勢い付いて、組み敷いた裸体を貫き犯し
幸村はしゃくり上げて嗚咽を零しながら、惨い仕打ちを耐えた。
しこたま抉られ続ける臀穴の裂傷から滲む鮮血と
激しく出入りを繰り返す野太い牡の先走りが混ざって泡立ち
ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てる。
然程もせぬ内、幸村の断続的な声は掠れて嗄れ
異常に強張っていた全身の硬直も疲れたように次第に解け、伊達のなすが侭となり
しかし相変わらず止まらぬ泪の雨は視界をぼやかし、唾液と共にぐっしょりと畳と頭部を湿らせた。


「ン、…ふ…っ、あぅ…」
「ッ」
「ぅ…ん、っ、、」


そんな哀憐誘う様を見ようとも、しっかりと絶頂を迎えた伊達は
短く吐息をついて、奥の奥まで子種を注ぎ込み、ズルリと牡を引き抜いて身を起こす。
幸村は小さく声を上げてフルりと一度震えたきり、ぐったりと横たわって身動きがない。
腹の中に満たされた体液の感覚は決して消えやしないのだが
怒りも悔しさも湧かず、ただただ白い空虚が胸の真ん中を穿ち、まともな思考すら働かない。
いや寧ろ、それを放棄しようとしているのだ。
そうして現実を拒否でもしなければ、すぐにも正気を手放してしまうだろう。
ヒュッ、ヒュッ…と、か細く頼りない呼気をする幸村は
ふと足元で動きを見せた男の方へ、ぼんやりと視線を向けた。
ちょうど懐から小振りな黒塗りの合口を取り出した処で、此方を見遣った隻眼と目が合う。


……何だ……、この妙な胸騒ぎは………


己の脳裏へ刹那に生じた違和感という名の警鐘と同時
鞘を其処らに投げ捨てた伊達が徐に唇を開いて


「覚悟はいいか?」


狂喜の笑みを浮かべて囁き足首を掴むなり、躊躇う事なく腱を切った。


「ッ…!!!? 、ぅう゛っっう…ッ!!」


直後、焼けるような鋭痛が脳天まで突き抜け
幸村は明滅する視界に目前の光景を必死に捉えて凝視する。
掴まれた左の足首に、鮮紅が一線走り、パックリと肉と筋を断ち切って
止めどなく流れる血潮がボタボタと畳に染みを作っており
漸く、己の身に何が起こったのかを理解した。


「ッつ…!」


何という事を…!と、戦慄するその合間にも、伊達の手は淀みなく動き
予め用意していたのか、白いサラシを巻いて手当てを施す。
そんな男の、さも嬉しそうな顔を見て、ゾッとした、
あまりの手際の良さが、輪をかけて空恐ろしい。


「もうアンタは絶対に逃げられねェ…。大事に大事に、仕舞っといてやるよ…」
「…あ…」


既に幸村の心身はズタボロであったが
更に追い打ちを掛けるが如く非道な所業に、絶望に暮れて居ると
再び覆い被さって来た男が、うっとりと耳打ちする。
あたかも宝物を隠す小童さながらの、ある意味純粋で尋常ならざる執着は斯くも重く
まさか伊達が抱えた闇の正体が、こんなにも屈折した愛情だとは思わなかった。


「さァ、これでもまだ、オレを受けとめると云えるか?」


今日何度目かの同じ質問を、皮肉げに片側の口角を上げて問われ、幸村は唐突に悟る。


(…嗚呼、某は、試されているのだ…)


ゆっくりと目蓋を閉じ、そして下した答えは―――――

 

 


【終】


小説一覧へ戻る

 

 

 

あとがき

5万hitキリリク小説です。
どうしてこんなことをいきなり!?的な拉致監禁話で、オプションで猿轡+拘束です。
えーと、いかがでしたでしょうか;ちょっと無理矢理すぎましたかね;;; しかも最後は尻切れトンボorz
伊達の問いに幸村が頷いたのか、それとも首を振ったのかは、皆様のご想像にお任せしますw←

2010/12/25  いた。