※佐幸/主従逆転設定/性描写/嗜虐行為(緊縛:海老責め)あり ご注意を!

 



『好きな子ほど、』

 

信州上田城に、薄氷を踏むような緊張感が満ちていた。
急遽予定を繰り上げて訪れた賓客の所為である。
されど城主である佐助はと云えば、常の飄々とした余裕を崩す事もなく
「気が早いったらないね、待たせとけばいいんじゃない?」と
家臣が聞けば卒倒しそうな指示を寄越し、別段慌てる素振りもなく仕度を進めている。
困ったのは側仕えの者達だ。
城に来たのがただの客ではないからだ。
奥州筆頭、伊達政宗。
最近頭角を現し、戦で上げた赫々たる戦果絶えぬ若き国主である。
よもや粗相をしては大問題だと云うのに、城主はこの態度。
故にどうしたものかと判断に困り、狼狽して動けない。

「もー、しょうがないねぇ…。幸村」

呆れ顔で溜息をついた佐助が名を呼ぶと同時、天井板がガタリと外れ
其処からヒョッコリと顔を覗かせたのは、忍にしては垢抜けない純朴そうな顔つきの真田幸村で
「何用でござるか!、ぐえっ」と蛙が潰れたような声を出し
天井裏から軽やかに飛び降りる筈が失敗して、畳の上に奇妙な恰好になって落下した。
隠密行動を得意とする「忍」とは程遠い、あまりにもドジで間抜けで微笑ましい光景だが
戦場では「紅蓮の鬼」とも恐れられ、そこらの武人よりは遥かに腕が立つ男である。
佐助のお気に入りだ。

「ちょっとさ、俺様が行くまで相手してやっててよ」
「む?相手というと、手合わせをしても…」
「おバカ。独眼竜なんかとやり合ったら無事じゃ済まないっての」
「なに?!噂に聞くあの独眼竜が来て居るのでござるか!これは是非とも仕合を…ッ」
「はいはいダーメ。そもそも、国主相手にそんなお持て成ししたら俺様の品格が疑われるっつーの」

物騒で汗臭い事考えなくていいから、茶でも出してあげてよ、お得意の甘味でも付けてさ。
と若干揶揄いを含ませた命令に、幸村は子供のように唇を尖らせ渋々と頷くと
戦忍が国賓へ茶を運ぶという、品格どころか常識のかけらもない事に気付かず、座敷を出て行った。


「…しかし、独眼竜とは一体どのような御仁であろうか…」

準備した温かい茶と甘味を盆に載せ、きっととても厳めしく勇猛な御方なのであろうな…
などとつらつら思い浮かべながら襖を開けようとした矢先、幸村は硬直した。
唐突に目前の其れが開き、中から男が出て来たからだ。
しかも、勢いを殺し切れず当たってしまった盆の上の湯呑茶碗がガチャンと倒れ
見れば、男の上等な着物に若干、否、だいぶ掛かって染みている。
御客人になんて無礼をと、ザァと血の気を引かせた幸村は
素早く謝るべく頭を下げかけたが、それより先に男の片手が伸びて襟元を掴み
廊下を数歩後退るかたちで背後の壁へと押し付けられた。
一瞬の隙を突かれたとは云え、常人に遅れを取る筈はなく
そんな莫迦な、と瞠目していると、囲うように頭上辺りの壁に手をついた隻眼の男が
酷く密着した状態で、恐ろしく端整な顔をやたら近付けゆっくりと口を開いた。

「…アンタが猿ご自慢の紅い鬼サンか?随分となめたマネしてくれるじゃねェか…」
「っう、、某の不注意でござった、、ま、まっこと申し訳ございませぬ…ッ、しかし、」
「Ah?無礼千万な上に口答えまでする気か?生意気にも程があるぜアンタ」

可愛い顔して命知らずだな、と凄味をきかせながらも
其れが気に入ったとばかりに愉しげに口角を上げた男は、

「なァ、これ、どうしてくれンだ…?不敬で手討ちにされたって、文句云えねェぜ…?」

濡れた着物を指した後、思わせ振りな手付きで幸村の首に一筋、指で真横一文字を描く。
まるで獲物に狙いを定めるかのような炯々たる隻眼に見詰められ、幸村が小さく息を呑んだその時

「ちょっとちょっとー、ウチのに手ェ出さないでくれる?」

緊迫した空気を破る佐助の声が響いた。
俄か、チッと微かに聞こえた舌打ちの後、襟が離され
ホッと胸を撫で下ろす幸村の横で、「遅ェぞ」と悪態をつく男を「まぁまぁ」と佐助が宥めすかす。
つまりこの不遜不敵な隻眼の男こそが、独眼竜こと伊達政宗に相違なく(とても信じられないが)
果たしてあのまま佐助が来ていなければ、幸村はどうなっていたか知れない。

「で、では、某はこれで…」
「Wait、待ちなアンタ。 おい猿、コイツも同席させろ」
「えー?どうしたの急に。もしかして気に入っちゃった?」
「Exactly」
「ふーん?まぁ別にいいけどさ」

云いながら、伊達を座敷の中へと促す佐助が刹那に寄越した意味ありげな視線に
ビクリと思わず身を竦ませた幸村は、少しばかり視線を泳がせ、黙って二人の後ろに続いた。
胸中は泣いて逃げ出したい気持ちで一杯だったけれど、主に逆らう事は出来ない。
そっと襖を閉め、なるべく二人から距離を取って正坐する。

「………」

所在なくチラと様子を窺えば、佐助がちょうど幸村がやらかした粗相を詫びており
しかし当の伊達は散々手討ちだなんだと脅していた癖に、「No problem」の一言で済ませ
鷹揚に胡坐をかき侍女を捉まえ煙草盆を所望すると
袂から煙管を取り出し火を点け、フー…と様になる仕草で白煙を吹いた。
まるで自身の城の如くすっかり寛いで居る。
恐らく気心知れた仲なのだろう、国主相手というのに普段と変わらない砕けた口調で話す佐助に対し
伊達の方も特に憤慨する事もなく会話している。
どういう用件で此処に立ち寄ったのかは幸村の知る処ではないが
自分が場違いな事だけはハッキリと判り、忍らしく気配を殺し存在を薄くしようと頑張った。
けれど、時折独眼竜から飛んでくる鋭い視線がそうはさせてくれなくて
内心「ひぃぃッ」となりながら、何とか表面上は冷静さを取り繕い
勿論、二人の会話の内容は全くと云っていい程頭に入って来なかった。

(…たぶん、他愛ない近況と、上田城の堀の話だった…と思う。。 、あ!)

漸く話が終わったのか、二人が立ち上がったので慌てて幸村も立ち上がり
結局出せずじまいだった空の湯呑と甘味が残った盆を手に退出しようとした処
不意に佐助に呼び止められ、何かと思い振り返れば

「後で部屋においで」

と、明らかに意味深な科白をさも悪びれなく、かつ意図的に、堂々と云い放った。
瞬間、ボッと音がしそうな程幸村の顔が赤くなり
察しのいい伊達はすぐにピンと来て目を眇め

「Ha、そういう事か」

苛める口実にオレを使ってンじゃねェよと、隣の性質の悪い男を横目で一睨みし
座敷から出る間際、間口で見事に固まっている幸村の肩をポンと叩き

「ま、精々気張れよ。ケツが限界になったら、いつでもオレんとこ来な」

と云い残し、ヒラと片手を振って出て行った。
続いて、見送りの為に佐助も座敷を後にするのだが
通りすがりに「もし逃げたらお団子三ヶ月お預けだからね」と、グッサリ釘を刺す事を忘れない。
一人取り残された幸村は、ハクハクと開いた口が塞がらず、暫くその場から動けなかった。

 

一体どれほど呆けていただろうか。
ハッと我に返って、どうにかこうにか後片付けを済ませた幸村は
云われた通り佐助の私室へと向かい、恐る恐る襖に手をかける。
「部屋で待て」ではなく、「部屋においで」という表現を使ったのは
幸村が長いこと呆然自失するのを見越していたからだろう
中に気配があり、準備よく人払いが済んでいるあたり、もうこれから何が起きるかなど、云うまでもない。
覚悟を決め、そろりと襖を引いて中に入ると、おいでおいでと佐助が手招く。
極度の緊張により、普段当たり前のように消せている足音が、静かな室内に無様に鳴る。
急に恥ずかしくなって、主の一歩手前で立ち止まれば
長い指に手首を掴まれ、勢い良く引き寄せられた。

「…ッ!」
「随分遅かったじゃない。そんなに恥ずかしかった?」
「な、何を申して…!」
「またまたぁ…顔に書いてあるよ?」

嘘が吐けない幸村の上気した頬と耳に指を滑らせた佐助は
笑みを浮かべながら「ホント可愛い」と、愛猫を甘やかす其れで幸村の後ろ髪を撫で

「でも、大事なお客様に失礼をはたらいたお仕置きをしなきゃね…」

声色一つでおなごを虜に出来そうなイヤらしい声で耳元で囁き
幸村は思わずゾクリとした。
この声に、弱い。
また、過去の経験上、佐助が「お仕置き」と称して強いる事は
いつも容赦なしに手酷く、そして淫らだ。
無意識の内にゴクと唾を呑んで視線を合わせると、佐助はニコリと笑って、やおら云い放つ。

「海老責めするから、裸になって座禅組んで」
「…!?」

よもや何処の世に己の忍に対し海老責め、つまりは拷問をするなどと宣う主が居るだろうか。
いや此処に居る。
発想が鬼畜過ぎると震え上がる幸村だけれど、
目の前の佐助の片手には、解して毛羽を取った滑らかな縄があり、全くもって用意が良く
とても逃げられそうにない。
仮に上手く逃げられたとしても、団子が三ヶ月も喰えぬは地獄だ。
然らば、いっそ清々しいほど勢い良く幸村は忍装束を脱ぎ捨て
額当てならぬ鉢巻さえ纏わぬ姿になると、グッと座禅を組んだ。

「これで、どうでござるか…!」
「うん、さっすが漢だねぇ〜」

俺様が惚れてるだけあるよと、歯の浮くような事を云いながら
佐助は手にあった縄をさっそく座禅が解けぬよう両足首を固定するように巻きつけ
幸村の項を掴んで足首の方へと倒し前傾姿勢を取らせると
深く項垂れた首に縄を廻し、足首との距離にいくらか余裕を持たせて固定する。
正しい縛り方ではないし、普通両手は後手に縛り上げるが、十分に窮屈な筈だ。
それでも、幸村は文句一つ云わない。

(…うわ、何この子マジで可愛いんですけど)

そもそも、最初から幸村が何か失敗をすると判っていて、ワザと茶を出させた訳だが
そうとも知らずこうして云われるが侭に、躯を海老のように曲げて大人しくしているのだから
健気というか真面目というか、非常に好ましい。可愛くて堪らない。
佐助は嬉々として唇を舐め湿らせると共衿を広げ、俯いて顔を上げられない幸村の両膝を掴み
ゆっくりと後ろへと押し倒す。

「う、…わ!」
「ちゃんと両手で支えててよ?」
「心得申したが、…これは、その……、いささか…っ、、」

破廉恥である、という言葉を呑み込み、幸村は視線を彷徨わせた。
ゴロンと引っ繰り返ったせいで、己の力ない一物が丸見えなのである。
下手をしたら顎につきそうだ。
おまけに突っ張った太腿の筋を愛でるようにゆるゆると撫でながら
佐助が覗き込むように真上から、涼しげなのにイヤらしい目付きで観察して来るので
どうにも恥ずかしゅうて敵わぬ。
転ばぬよう両手を広げ畳に張り付かせ何とか平衡を保ちつつ
勘弁してくれと縋るような目で見上げれば、「そんな顔しないでよ」と
口では宥めるような事を云うが、声音は愉しくて仕方ないと雄弁に語る。

「…あ…、せめて目隠しを…っ」
「それじゃお仕置きにならないっしょー?」
「うぅ…そんな、、 っぁう!」

泣き言を云う幸村を軽くあしらった佐助は、目下で恥ずかしげにキュウと締まる菊座へ
唾で濡らした指をグリと手馴れた手付きで捩じり込んだ。
愕いた幸村は短く呻いたが、佐助の長い指が襞を掻き分け
奥をくすぐり、数度行き来を繰り返しただけで、臀の穴がモゾと落ち着かなくなり
下っ腹がじんわり熱くなって来る。
早くも指が増やされ、二本の其れがニチニチと卑猥な音をさせて縁を拡げ
肉壁を擦り、時折泣き処を掠めると
股座の牡に次第に血が集り、芯を持ち始める。

「まだ指なんだけど?相変わらずエロいよねぇ」
「…はっ、ふ…ッ、そん…な!」

事はないと続けようとした口はしかし、「はひゅッ」と上擦った呼気に悶え
しつこく弱い部分を刺激されては数分と経たず先走りを滲ませる程に勃起した。
重力に従い、幹の方へは流れず、先端から垂れた滴が胸や顎に散る。
羞恥のあまり固く目を瞑って居ると、不意に指が引き抜かれ
薄らと目蓋を開けば、あろうことか、佐助はこの侭の姿勢で挿入し始めた。

「、、ひ、…ぃッ!!」
「ふー…熱…」

幸村の中はありえないほど熱く、燃えているようだと、佐助はいつも思う。
されど其れが病み付きになるのだと哂い
中腰で埋めた牡をゆっくりと抜き差しし、やわい肉のじっとりとした感触と
身を焦がすような心地良い熱を味わった。

「ん、…んっ、……はッ…、ハァ…!」

最初の内は平気そうであった幸村だったが、さすがに段々と呼気が苦しげに切れ
折曲がった厳しい体勢と緊縛の所為で血液の流れが滞り
顔と云わず、全身が鬱血によって真っ赤になって来た。
それこそ茹でた海老のように。
佐助は切れ長の双眸を眇めるも、しかし幸村を解放してやるつもりは微塵もないのか
緩やかであった腰の動きをしたたかなものに変え、幸村を追い詰める。

「、あッ、あ…!、ふぐっ…、う、、!んぶっ、」

勢い良く突っ込むたび、喘ぐ幸村の唇や顎や鼻先に幸村自身の牡が当たり
本人はまっこと辛そうに顔を歪め、ゼェゼェと息を荒く乱し、生理的な泪をボロボロと流している。
そんな可哀相なさまを見て尚、「可愛い」と興奮気味に呟いた佐助は
幸村の左右に開き切った両の膝頭に手をかけると

「はっ…はっ……、そうそう、アイツに迫られてさ、挙動不審になってたのも凄い可愛かったけど、」

あの状況はちょっと妬いちゃうよねー、やっぱ。
云って、幸村の弱い箇所を狙い、殆ど圧しかかるようにして乱暴に突き入れた。

「ッゥヴ…!あ!、っは…はひ、!」
「ね、聞いてる?」
「ンぐッ、あ…ぁ、あ…!もっ…アッ!、、堪忍を、ぉ…!!」
「もー…仕方ないねぇ」

まだ全然満足してはいないものの、許しを請う幸村の方が、そろそろ限界に近いようで
目やら鼻やら口から様々なものを垂れ流しつつ、快楽と苦痛とに揉まれ
紅かった肌の色が紫に変化しだしたあたり、本当に取り返しのつかない事になりそうな為
佐助は少しばかり残念そうに溜息をつくと、小刻みに幸村を揺すり、子種を余すところ無く注ぎ込んだ。

「…は、ぐ…!…う、ぅ、、っ」

若干遅れて、幸村も絶頂を迎えたが
勢い迸った白濁が、現状の姿勢の所為で、降りかかるように顔面に飛び散り
まったく酷い有様である。
だがそんな事に頓着する余裕など幸村には無く
漸く縄が解かれると心身とも疲弊しきって、ぐったりと死んだように畳へ潰れた。

「ちゃんと反省した?これも可愛い幸村の為の躾だからね?今度は気をつけなよ?」

返事のない幸村が微かに頷いたのを見て、満足気に微笑んだ佐助は
愛しくてしょうがないという風に幸村の栗色の髪を梳きながら
病的に紅潮している頬に付着していた体液を親指で拭い、静かに口付けた。


―――今度は気をつけろと云いながら、何かにつけて口実を作り上げる佐助に
     これからもとことん苛め抜かれる事を、勿論幸村は気付かない。

 



【終】


【一覧へ戻る】


 

あとがき

初めてきちんとした佐幸を書きました〜^^
(こんな出来の悪い佐幸なんかいらないと世の佐幸ファンに怒られそうで怖いですけども;)
えーと、鬼畜にし過ぎたような気がしないでもないですが、うん、後悔はない(ドンッ)
そして今回、筆頭には友情出演して頂きました!当て馬乙ww

主従逆転という萌え設定をくれたお友達のmamiさんに全力で捧げますv

2013/01/19  いた。