※性描写あり。ご注意を


『Tranquilizer11』

 

奥州、米沢城は大広間。
下座には正坐した幸村を先鋒に、その家臣十足らずばかりの甲斐の面々
上座には文机を前にした伊達、その傍に片倉ら家臣数名。
上等な文机の上には、此度の二国から一国への統一に関する同意書が広げられ
今まさに、伊達の署名が終わった所であった。

「…OK、此処に居る全員の名と拇印も、確かに確認した」
「では、」
「Yeah、これで甲斐は晴れて奥州に統合だ。つっても、こうも領地が広大じゃ、手が足りねェ。
 よって、甲斐に現存する各地の支城には、幸村、今までどおりテメェが信用できる奴を置いとけ」
「…は!承知致した…!」
「ンで、云うまでもねェが、アンタにはこの米沢城に身を移してもらう。
 これは絶対だ。後のことは、まァ、好きにしろ」
「御意のままに」

書面を畳みながら淡々と指示を出し、無造作に片倉に放って寄越した伊達は、徐に立ち上がると
みなが注目する中、なんと下座に平伏する幸村の元まで自ら歩み寄る。
何ぞ失言か不躾な振る舞いがあったのかと、肝を冷やす家臣達の目の前で
伊達は片膝を付き、俯いていた幸村の顎に手を掛け掬い上げると、何の躊躇いもなく口付けた。

「…!!!!」

瞬間、広間に走った動揺といったらない。
その場に居た全員が驚愕という雷に身を打たれ、瞬きも出来ず瞠目し
陸の上の魚のようにパクパクと言葉無く口を開閉する。
片倉でさえ、目を白黒させ呼吸を忘れた。

「…っん、…」
「……やっと、オレの物だ」

鼻から抜けるような甘い声を出す幸村の唇を、人目も憚らず存分に味わった後
漸く顔を離した伊達は、満足気に口角を吊り上げ
蕩けそうな猫撫で声で囁くなり、幸村の腕を掴んで立ち上がる。
それを見て逸早く我に返ったのは片倉だ。

「…まっ、まっ、政宗様…!!」
「うっせぇ。邪魔したら殺すぞ。いいな」

居並ぶ家臣の面前で、何と云う不謹慎をと諫める事も、一体何処へと問う事も侭ならず
ぴしゃりと云い切られた片倉は、広間からさっさと幸村を連れて出て行ってしまった城主の背中に
虚しく伸ばした手を、所在無くゆるゆると下ろした。
その様を、心中察すると半ば同情の念から何度も頷いて見せる奥州側の家臣達と
未だ放心状態から立ち直れない幸村の家臣達は(今は伊達が主だが)
只々その場に鎮座しているしかなかった。

今頃は、伊達が幸村を寝所に連れ込み、事に及んでいるに違いない。

「……はぁ…」

その内、本気で婚儀を挙げると云い出しそうで恐ろしいと
片倉は浮かんだ杞憂とも云い切れぬ考えに、自分自身で溜息を吐いた。

 


処変わって、城奥にある伊達の寝所である。
片倉の予想通り、幸村を褥へと引っ張り込んでいた伊達は
もう我慢ならないと、殆ど追剥ぎのように幸村の着物を毟り取り
細い咽喉や浮き出た鎖骨にしゃぶり付いていた。
何と云っても二月ぶりである。
幸村の方も余裕なく息を乱し、伊達の着物を掴んで肌蹴させながら
逞しい背の筋肉や二の腕に手を這わせ
自らの股の間に割って入っている伊達の腰を、誘うように太腿で撫でる。

「…ッ」
「…はぁ、…はっ、……ん…ッ!」

伊達はその引き締まった太腿を荒く撫で上げ
股座で既に半ばまで勃ち上がっている幸村の牡を握り込むと、容赦なく上下に扱き立てる。
不意に送り込まれた激しい快楽に、息を詰めて身悶えた幸村は
あっという間に鈴口から透明な先走りを滴らせた。

「…っあ…!そのように、激しくされては…っ…!」
「あぁ?イッちまうって…?堪え性のねェ奴だ」
「っひ…ぅ!、っあぁ…、あ…ッ」

焦る幸村を弄ぶように、伊達は親指の先で亀頭の括れを強く詰り
仰け反って悲鳴を上げる様を愉しみつつ、小さく痼っている胸の突起に舌を伸ばす。
こちらも捏ねるように強く愛撫してやると、悦いのか、背中に廻った手が僅かに爪を立ててくる。

「…そう云やアンタ、痛くされンのが好きだったな…」
「、…つッ…あ…!」

いつも肩口に歯を立て血を啜る時、いつぞやの掘っ立て小屋で無理強いした時も
萎える所か震えて悦がっていたのだ。
ならばと握った牡を磨り潰すが如く指に力を入れ、胸の乳頭を噛み千切るが如く歯を立てると
果たして、眉を顰め痛がりながらも、吐息を零し恍惚とした表情を浮かべる幸村が居た。
伊達はニィと口角を上げ、上は齧った後に優しく舌を這わせ、また鋭く噛み
下は人差し指と親指の腹で嬲った後に緩やかに扱き、またきつく詰る。
それを何度と無く繰り返すと、幸村の躯はビクビクと気持ち良さそうに痙攣し
完全に上気した頬と薄く泪に濡れた双眸は、伊達が唾を呑むほどに艶色がある。
ズシリと下腹部を襲う劣情に、逆らわず身を任せた伊達は
左手で幸村の片膝を腹につくまで押し上げ、伸ばした右手の指を幸村にしゃぶらせて湿らせると
丸見えになった菊座に加減なく捩じり込んだ。

「…っく、ぅ…ッ…、、」
「さすがに、二ヶ月ぶりだと、固ェな…」

頑なに閉じようとする肉壁の感触を久方ぶりに確かめつつ
静かに呟き、されど容赦なく二本目の指を入れ、縁を拡げるように掻き回す。
暫く続けたが、熱い肉襞がきゅうきゅうと纏わり付き
それを穿つように指を抜き差しする内に、いよいよ辛抱出来なくなった伊達は
まだ充分でないにも拘らず、早々に慣らしていた指を引き抜いて
己の股座で脈打つ程に興奮している牡を、ほんの小さく口を開く解した穴にピタリと宛がい
そのマラ先に当たる感触に煽られるように、一気に埋め込んだ。

「…ッッ!!、あ……、ッくぅ…!!」
「…っ、きっちィな……but、最高の心地だ…っ」

短く掠れた悲鳴を上げた幸村の、押し広げた膝に体重を掛けながら
更に強引に腰を進め、全てを収めきると
伊達の野太い牡をみっちりと咥え込んだ縁は白く、今にもハチ切れんばかりだった。
このまま動けば間違いなく裂けるだろう。
そこで一瞬伊達は迷ったが、

「…ま、政宗殿…ッ…早う、…早う動いて下され…っ」
「…!!」
「っも、某…ッ、我慢なりませぬ…!」
「…上等だ!」

他の誰でもない、幸村自身が「早く!」とせっつくので、ニヤと笑みを浮かべ大きく腰を前後させた。
すると思ったとおり、ミリ…と薄い縁が切れ、ほんの少し血が流れるが
それでも幸村が望むまま、何度も手加減なく揺する。
痛くない筈がなかろうに、幸村はと云えば、それすらも官能の一部だと
苦しげに眉を寄せ、半開きの唇から熱い吐息を零し
苦悶と悦楽が入り混じる、何とも悩ましい表情を魅せた。

「…イイ貌しやがる…!」
「っ…あ!、んァ…!っあぁ…っは、、ッ」

血で滑りが良くなった分、動き易くなり、伊達は語気荒く嘯くと
幸村の腰を掴み、本格的に突き上げ始める。
まるで抉るように深く貫かれ、幸村は断続的な喘ぎ声を上げつつ
身が震える程の痛みと快楽を味わい
同時に、何やら胸の奥が熱く満たされて行くのを感じた。
堪らなかった。

「…ッはぁ!…あぁっ、…つぅっ…あッ!」

淫らに腰をくねらせ嬌声を上げ、しがみ付くように腕を廻した背に爪を立てると
僅かに隻眼が眇められ、より一層突き上げる激しさが増す。
とどめに反動で揺れる陰茎の先を強く扱かれ、絶頂寸前だった幸村は、容易く子種を噴き出した。
粘り気の強い白濁は、いやらしく腹に飛沫し
その様を眺めながら、伊達も小刻みに腰を揺らすと、短く呻き、幸村の中へと多量の子種を注ぎ込んだ。

「っく、、」
「……は、っ…ン……、はぁ…、…ハァ……」
「…ッ、」
「、ふ…っ」

余韻も漫ろにズルと引き抜くと、赤と白、斑になった体液が幸村の臀を淫猥に汚す。
その様に中てられた伊達は、ゆるゆると再び頭を擡げ始めた牡を
適当に脱ぎ散らかしていた着物の端で拭い、満足気に弛緩していた幸村を引っ張り起こして
胡坐をかいた股座に導いた。
四つん這いになった幸村は、その意図を察し、自ら顔を寄せると
しゃぶる前から異常に溢れてくる唾液をゴクリと咽喉を鳴らして飲み、ゆっくりと口を開いた。

「……ン…、」
「…歯ァ立てンなよ…」
「…ん…、む……っ」

濡れた舌で雁首を包み、慎重に愛撫しつつ
根元を利き手で支えついでに細かく擦って刺激し
全体を舐め終えた所で深く咥え込み顔を上下させる。
拙く唇と舌の平で扱き上げ、鈴口から滲み出てくる苦い先走りに少しだけ眉を顰めた。
これまでにも何度か口淫はしたが、未だにこの苦味は慣れない。
それでも懸命に、ちゅると音を立てて吸い上げながら口を往復させると
感じているのか、伊達が細く吐息を零し、牡はヒクリと膨張した。

「…ふ…っ…ン…、…んっ……ん、、」

それから頭に添えられた手に、まるで褒めるように柔らかく髪を撫ぜられ
俄かに嬉しくなった幸村は、尚一層深くまでしゃぶり付き
含みきれない根元の部分は、片手で更に強く愛撫した。

「…、っく、」
「…ン!、ぁ…、、」

すると、唐突に上へと髪を引っ張られ、次の瞬間
引き離された顔に、生ぬるい子種が引っ掛けられる。

「Sorry、今日は飲ませる方じゃなく、こっちの気分だった」
「…ん、」

悪怯れなく笑みを浮かべた伊達に顎を掬われた幸村は
気にした風もなく、口許に垂れてきた白濁を、魅せ付けるように舌を出して舐めた。
チラリと上目遣いで見上げて来るあたり、十中八九、誘っているのだろう。

「…幸村、アンタやっぱ、最高だぜ…」

伊達は嬉々として呟くと、四つん這いになっている幸村の背後に廻り
物欲しげにヒクついている熟れた菊座を両の親指で拡げ
ズブ…と既にそそり勃っていた牡を捻じ込んだ。

「ッ…は、…んん…っ、!」
「Ha!止まンねェ…!」
「あっ、あっ、…あァ…ぅ…ッッ」

再び味わう幸村の中は、妖しく淫らに伊達を締め付け、大層心地良く、貪るように腰を振り立てる。
揺さ揺さと激しく揺さ振られる幸村は、柔らかな褥を掴むように掻き毟って
こちらも気持ち良さそうな声で喘ぎ。

「ひっ、ひっ…!、くぅ…っ…あッ」


そうして一刻、二刻と時は過ぎて、結局、夜が明けるまで荒淫にのめり込んだ。

 

――――――――――――――――

 

いい加減、陽も高くなった頃、ぼんやりと目を醒ました二人は
それでも尚起き上がるのが億劫だと、一つの褥で向かい合って身を寄せ合い
特に話をするでもなく、周囲に揺蕩うのは静寂だ。

「………」

幸村はじっと見つめて来る隻眼を見つめ返しつつ、見えぬ足元でそっと片足を動かし
すぐ傍にある伊達の少し体温の低い足先に忍ばせ、擦り寄るように撫でる。
他意はない。
強いて云うなら、昨晩の燃えるような情火を燈した瞳ではなく
静かな落ち着きを取り戻した瞳が満たされた光りを湛え
こちらを愛しくて堪らないというような目で見るから
ただ、どうしようもなく目の前の存在に触れたくなった。
それだけだ。
幾度か繰り返していると、徐に片手を伸ばして来た伊達に
落ちていた前髪を梳かれ、それでも一寸と目を逸らさず居ると
続けて頬の輪郭を辿られ、顎まで来た所で、親指の腹でゆっくりと上唇を撫ぜられる。
まるで感触を確かめるように時折強く押し潰され
ここで初めて、意図して舌を伸ばしその指に触れると
僅かに隻眼を眇めた伊達が、そのまま親指を口内へと侵入させてきた。
躊躇わず、ゆるゆると濡れた舌先を絡めれば
闇色の眸に妖しげな焔がゆらりと揺らめく。

「……ん…」

気付けば、足元を彷徨っていた筈の幸村の片足は
深く誘うように伊達の腰に絡みつき、一方で、ニィと口端を上げた伊達の方も
既に頭を擡げつつある牡を幸村の陰部や菊座辺りにワザと擦り付ける。
その間も、一瞬とて交えた視線を逸らさぬ二人は
次第に昂ってきた気分と躯が欲するに素直に従い
煩わしいとばかりに褥の上掛けを跳ね除け身を起こすと、互いに抱き合うように縺れ合ったまま

「…っ、ぅ…あ、、」

幸村は胡坐をかいた伊達の上に足を拡げて跨り、伊達は幸村の臀を鷲掴んで引き下ろした。
昨日の今日で、半日どころか数刻と経っていない解れた菊座は
拒む気配すら見せず、難なく伊達の形の良い亀頭を呑み込み、柔らかく包み食む。
幸村は硬く大きな杭に抉られる心地に酔い痴れつつ
息を呑んで目前の男の肩を掴み体勢を保ち、早くも腰を振り始め。
助長するように伊達も下から揺すり上げながら、幸村の胸元に寄せた唇から舌を伸ばし
淫らに踊る白い肌を舐め、時折プツと膨れた乳頭に歯をかけた。

「…んっ、…ンッ…、はっ」
「……幸村、アンタ本当にやらしいな…」
「ッ…!それを云うなら、政宗殿こそ…っ、 んんっっ」

はしたなく股を開いて自ら腰を振り立て嬌声を零す幸村をして
飽きる事無く心地良い柔肉を貫き犯す悦楽を貪る伊達があり
結局はどっちもどっちだと、互いに口端を上げて行為を堪能する。
こうして直に繋がり合い、汗を流し、温もりを感じている時が
一番落ち着ける時間であった。

惟みれば、互いが傍に居ないと云うだけで
どんなにか心細く、孤独で、不安で、息苦しくて、己でも訳の判らない衝動に駆られ
一体どれだけの傷を付けたか知れない。
一体どれだけの命を斬ったか知れない。

いつであったか、伊達が「tranquilizer」と比喩し
後で意味を訊けば、精神安定剤、要は一種の阿片のような物で
依存性は高く、摂取すれば落ち着くが、一度その効力を味わってしまうと
二度と手放せなくなると云っていたのを思い出し
まさにその通りだと、今なら深く頷ける。

「あぁっ、あ…!堪りませぬ…っ!」
「HA!Me, too…!」

何の柵(しがらみ)もなく、ただ心が求め合うままに互いを、
tranquilizerを貪り合う幸福が、如何ともし難い安息と満足をもたらす。
他の事などどうでも良かった。
目の前の存在が全てだった。
伊達も幸村も、病である。
だから、特効薬が必要なのだ。
何物にも代えられぬ、否、これさえ在れば他に何が要ることもない
唯一無二であるが故、その不可欠さは云わずもがなである。

「…ッつ、あぁ…!」
「……嗚呼、…甘ェ…、病み付きになる…」

通例の儀式、或いは、処方された薬を服用するが如く
幸村の肩口に歯を立て、滲んだ紅蓮を舌先で味わう伊達は、その甘露に一頻り酔い
幸村は幸村で、痛みを伴わざるを得ない伊達の愛しい行為を甘受し
その上で眩暈を起こしそうな程の快楽と安堵を得て、熱い吐息を零し喘ぐ。

こうしてまた、底の無い泥沼のような心地に
足といわず頭まで沈み込み、抜け出そう等と云う努力もせず
只々沈み行くのに身を任せ、出口の見えない暗路を二人して彷徨う事にすら、悦びを感じ

「…っあ、っあ、……ぁあ…ぁ……」

救い様のない有様に陥り行く事は判っているのに、敢えてそうするという選択をした。
そもそも、既に後戻りできない。
寄る辺は得た。
後は何処までも共に堕ちて行けばいい。


 


【終】


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あとがき

ダラダラとエッチばっかりしてすみません…、好きなんです。笑
結局いいように話を纏められず、消化不良。
終始「生ヌルい」をコンセプトに書き続けましたが、とりあえずそこだけはクリアできた…ような気がしますorz
物足りないので番外編は書きたいと思っていますが
エロ(S筆頭&M幸村で微SMプレイ)にしようか
ギャグ(片倉の杞憂「婚儀」が現実に…!)にしようか、悩みます…


―――とにもかくにも、最後まで読んで下さり、誠に有難う御座いました!

2009/11/28 。いた。