『或る、出会い』  ※パラレル。一護not死神、グリムジョーnot破面。高校生設定。

 

 

 

そもそも、関係無いハズの男だった。


「・・いいザマだなァ、オイ?」


いつものように、この頭の色の所為で不良共にくだらない因縁をつけられ
お決まりの薄暗くて狭いゴミ溜めのような路地裏で、
一銭の得も無い喧嘩を始めたのはいいが、どうにも相手の数が多すぎて。
キッチリ全員スボコにしてノしはしたものの、自分も半袋叩きの目に遭い。


「・・・・・・・・・」


今こうして無様に血反吐吐いてブッ倒れていた所に、コイツは、来た。
長身を屈め、無関係のクセに「いい様だ」と哂いながら見下ろしてくる。
ニヤリと大きく吊り上がった唇が不愉快だ。
いまどき水色なんていう頭の色も珍しい。
それから冷たい氷みたいな眸を縁取る、サックスブルーのアイメイクなんて今まで見た事も無い。
正直言ってこんな派手男の知り合いは居ないし、もちろん何処の誰かさんなんて判るわけもなく
普通にシカトして汚い路地裏に倒れた儘、ゼェゼェと聞苦しい呼吸を繰り返した。

つーかそんなジロジロ見んなっつーの、
俺は見世物じゃねぇってんだよ・・・・。


「・・ッ、」


抗議の声を上げる事すら億劫で、
それよりもさっき不良に一発鳩尾に喰らったのが結構キイタらしく
痛みの後に意識がトびそうになって、また痛くなる嫌な波が襲いかかってきて
吐き気までしてくる。
最悪だ。

それに、


「・・・・・・・クッ、・・ソ・・・・・・、、」


見事に今日の予定がぶち壊しだと、周りに転がっている不良共に毒づいてから
俺は意識を手放した。

 

 

××××××××

 

 


「・・・・・・・・・・」


手がダラリと下に落ちたことで目が醒め、ぼんやりと目蓋を開く。

なんてことはない白い天井が見えた。
・・天井?

身動きすると真っ黒なソファに躯が沈む。
・・・ソファ?

鼻で二三度息をすれば知らない香水の匂いがして。
・・・・・・香水?!


「・・ッ!」


慌てて起き上がって首を廻らせ周りを見ると
空は見えないし、硬いアスファルトの地面じゃないし、排ガスの匂いすらもしなかった。
此処は路地裏でもなんでもない。
正真正銘、『部屋』だった。


「・・・・どー、なってんだ・・・?」


喧嘩の後に病院にいたことはあったが、こんな事は初めてで
ワケも分からず、とりあえず足を下ろして立ち上がる。
すぐ傍に自分の血と相手の血と砂埃で汚れた俺の上着とシャツが落ちていたけれど
そんな物を見つけたからと云って着る気にもなれないので
上半身裸の儘、フローリングの床を歩いて隣り続きになっている部屋を覗く。

誰も居ない。


「・・・・?・・・ここ、何処だよ・・・・」


リビングらしいところから隈なく調べていっても
人がいる気配はまるでないし、おまけにこの玄関は一体どういう仕組みなのか
内側から開けることが出来ず、立往生する。
まさか外側から鍵でも取り付けているのだろうか。
これじゃぁ一体ここが何処なのか、誰が俺を連れてきて、閉じ込めているのか
知る術が無い。


「どーすりゃいんだ、、出れねーって・・・・・・
 っ!そーだ、ケータイがあるじゃねーか・・!」


なんで忘れていたんだ、
ズボンのポケットに入れていた携帯電話のことを思い出し、急いで片手を突っ込む。
ところがいくら探っても、それらしいものを掴む事が出来ない。


「・・っは・・?、マジかよ・・・・」


まさかさっきの喧嘩で落としてしまったのだろうか。
こんなの、まるで笑えないコントだ。


「・・畜生ッ・・」


無いモノをいくら探してもキリが無いから、力任せに頑丈な玄関のドアを叩く。
もしかしたら、通り掛かった誰かに気付いてもらえるかも知れないと思って。

何故か今の自分の状態が、どうしようもなく不安で仕方なかった。


「っ・・誰か、誰か居ねーのか・・!」


ガンガンと叩きながら女々しく声を張り上げてみても
誰かが気付いた様子はない。

・・くそっ、頼むから誰か俺に気付いてくれ・・・!
閉所恐怖症でも何でもないけど、兎に角、此処は、・・・・恐いんだ・・!

言いようの無い不安感が絶えず背筋を脅かす。
いやに心臓の鼓動が早い。
こんな感覚、初めてだった。

その時、
ドアのすぐ外から人の足音が聞こえて、俺は慌てて声を大きくする。


「、頼む!・・助けてくれ!! 閉じ込められてんだ・・!!」


すると気付いてくれたのか、
ドアの向こう側からガチャガチャと何かを弄る音と気配がして
俺はやっと此処から出られると、安心しきってその誰かが開けてくれるのを待った。
信じて疑わなかった。
そうだとしか、思えなかった。

ゆっくりとドアが開く。


「っ誰だか知らねーけど、マジ、ありが・・」
「あァ?何だって?」
「・・・ッ?!」


沈んだ気持ちが一気に浮上して顔を上げて
ドアの向こうから現れた男を見た瞬間に、凍りつく。

・・・何でこいつがっ・・・・!

「よォ、元気そうじゃねーか」


相変わらず人を馬鹿にしたような笑みをして
路地裏の時のように俺を見下ろす、あいつがいた。
俺は例え誰か判らなかったとは言え、この男に助けを求めていたことを知り
自分の失態とも言える行動に思わず俯く。
別に死ぬわけでもないのに、何をあんなに焦っていたんだろうか・・・・恥だ・・。
でも、こうして現に助けてくれたのは間違いなくて・・・。


「・・・・、とりあえず・・・、助けてくれて、ありがとよ・・・・・」


何故、この男が偶然にもこの場に居たのか
深く考えもせず、そしてこの男の本当の恐ろしさも知らずに、礼を述べる。

今の内に開いているドアの隙間から、逃げてしまえば良かったのに・・・・。


「ハァ?・・オマエ、さっきから何ワケわかんねーこと言ってンだ?」
「・・・・え・・? だって、お前、、」
「此処、オレん家だぜ?」
「・・・・っ・・・?!」


まるで俺の言ったことを揶揄うようにニヤニヤと唇を吊り上げながら
男が低く囁いた言葉を、すぐには理解できなくて
呆然と長身を見上げていると、バタンと後ろ手にドアを閉め、完全に玄関の中へ入ってきた。
俺は本能的に一歩後ろにズリ逃げる。

何故かその暴力的なまでに整った顔から目が離せない。


「・・・・つっ・・・」


そして思い出したように、またあの言いようの無い不安感がゾワゾワと襲ってきて
口の中がカラカラに乾いていくのが解かる。

ヤバい。

誰が?
決まってる。

直感が、危険だと伝える。

誰が?
決まってる。

脚の震えが止まらない。


俺は、この男に捕まってはいけなかった。

 

「なァ、オマエ黒崎一護だろ?」
「っ、・・・・・・ど、して・・・俺の名前を・・・・・・、・・・っ」


低く囁かれた俺の名前。
驚いて目を見開くも、何故知っているのかという疑問を無視するように
男が確実に距離を詰めて、伸ばしてきた手に逆らえず、顎を取られる。
冷たい眸と対峙すると、吸い込まれそうになった。
逸らす事が出来ない。


「・・他にも、イロイロ知ってるぜェ・・?」
「・・・・ッ、」


近付いた薄い唇が左の耳朶を掠り
纏わりつくような掠れ声がねっとりと絡みつく。
ゾクゾクと背中が怯えるように震え
俺は何とか抵抗しようと男の胸板を押したが、ほとんど意味がなかった。


「オレは、グリムジョーってンだ・・・」
「・・・・・いっ・・、」
「ヨロシクなァ?一護・・・」


目を薄っすらと細めて、先刻の不良との殴り合いで切れていた俺の口端に
グリムジョーと名乗る男の唇が降りてきて、
赤い舌が乾いた血糊をゆっくりと舐め取っていった。
ズキリと傷にしみて思わず眉を顰めると、またグリムジョーは哂い
俺の躯を壁に押し付けて、今度は首筋に舌を這わせてくる。


「、・・っぁ・・・ッ」


何とも言えない感覚に途惑い、逃げることも出来ず、されるが儘震えて身を硬くすれば
脚の間にグリムジョーの片膝が広げるように割り入ってきた。
俺はどうしていいのか、既に判断が追い付いていなかったから
弱々しくグリムジョーの服を掴むしかない。
相手の意図が全く読めないことが、こんなにも恐ろしいことだとは・・・・


「・・ンなビクビクすんなよ・・・、イジメたくなンだろ?」
「・・・、っん!!」


まさに言われた通り過敏にビクビクしていると、
愉しげに囁いたグリムジョーに、唐突に唇を塞がれた。
驚いて瞠目していると、すぐに生温かい舌が割り入ってきて
歯列の奥の舌に絡み付いてくる。
感じた事の無い独特の柔らかさが気持ち悪くて、
頭を振って逃げようとするけど、片手で髪の毛を鷲掴まれ、許されない。
ワザと時間をかけるように、じっくりと口腔内を犯される。


「、・・んっ・・・・、・・ぐ・・ッ」
「ッ、」


同性の男にまさかキスされるなんて考えもしなかったから
兎に角、離れたくて、グリムジョーのそれに歯を立てる。
すぐに鉄臭い血の味が広がり、眉間に皺を寄せたグリムジョーが、薄い唇に糸を引かせて離れた。
俺はハァハァと呼吸を乱しながら、侮蔑に近い目で水縹色の眸を睨み
口端から漏れて顎を伝った唾液を手の甲で拭う。


「・・ッおまえ・・、一体・・・、・・何して・・・っ」
「オイオイ、痛ェじゃねーか、一護」
「・・・っう・・!」


詰問を無視してカパッと大きく口を開き、
俺が噛んだ所為で傷付いて、赤い血の滲んだ舌をこれ見よがしに出して
愉しげに哂ったグリムジョーは、素早く片手で俺の顎を固定し、曝したノド元に勢いよく喰らい付いた。
何をされたのか一瞬後に理解するけど、思考は混乱しきっていて
鋭い犬歯が深々と食い込んでいるのが漸く解かって痛くて声を上げると
益々それが強く深くなって、窒息しそうな激痛に襲われる。


「・・・ッあ・・!、ぁあ゙・・!・・・っツ・・・!」


仰け反って苦痛を訴える悲鳴を洩らすと
グリムジョーは名残惜し気に首から離れ、今度は味見するみたいにゆっくりと
真っ赤な舌が噛み痕、その周辺、鎖骨を這っていく。
後には濡れた赤い道が残った。
それが妙にグロテスクで、ひょっとしたら最後には喰われてしまうんじゃないかと
そんな馬鹿げた倒錯的な感覚にすら陥る。
恐い。


「・・・・ぁ・・、・・・あぁ・・・・・、・・・っ・・・、、」
「・・あー。何かすげぇヤリたくなった。 来いよ」


咽喉笛に喰らいつかれた瀕死の獲物のように、絶え絶えに怯えに染まった声を出すと
捕食者らしく口端を吊り上げたグリムジョーは、
まともに立っていることもできず意識も朦朧としている俺の腕を取り
引きずるようにして最初の部屋に連れて行く。
そして黒いソファに倒れ込むようにドサッと俺を組み敷き
まるで女みたいな体勢に、戸惑ってグリムジョーを見上げると
ニヤリと下卑た笑みを向けられた。


「・・・っ・・、・・・なっ・・・・ 、・・・・やめ・・ろっ」


恐くて踠くように暴れれば、両腕をソファに押し付けられ
脚の間には長身が割り込み、いとも簡単に抵抗は抑止された。
そして服を着ていない裸の無防備な胸に、いきなりグリムジョーの唇と舌が下りてきて
ねっとりと舐め上げてくる。


「、・・・くっ・・、・・・ぁ・・ッ・・・」


ザラザラとした舌の感触が悍ましくて、キツク目を閉じる。
・・イヤだ・・ッ


「・・ま、普通の反応だな」
「、ッ・・!」


淡々と言いながら更に舌を滑らせ軽く歯を立てる手慣れた様子に
他の誰かにも同じようなことをしているのかと、簡単に想像できた。
実際この男なら男女関係無く、少なくとも、経験豊富に見える。
だからこそ益々嫌なのに、触られたくないのに


「っは・・!・・・あッ・・」


ズキリと走った快感に思わず声を上げてしまって
慌てて口を閉じる。
まさか信じられない。
性感帯といえど、男に、それもグリムジョーに愛撫されて感じるとは・・・


「・・っ、ん・・・、・・・く・・!」


そもそも、どうしてこんな事になっているのか、、
俺はもう涙も出そうな状況の中、変に掠れる自分の声を
必死に使えない手で抑えようと踠くが、尋常じゃない力で押さえつけられてる所為で、無理だ。
いっそ噛み千切れてもいいから、自分の下唇を咬んで声を殺そうとするけど
グリムジョーはそれを見て心底愉しそうに笑み、「最高」とか呟くなり
俺の股座にいきり立った己の股間をグイと押し付けてきた。
その硬さに驚いて顔を上げれば、ニィと細まった切れ長い目と視線がかち合う。


「ッ!、、おまえ、っなに考えて・・・・・!」
「エロいこと」
「?!」


デリカシーの欠片もなく言い放たれた言葉に硬直するヒマも無く、
俺のズボンと下着は綺麗に剥ぎ取られてしまい
丸裸の下半身にグリムジョーの指が触れる。
仰天して身体を起こそうとすると、それより先に肩を片手で押さえ込まれ
再びソファに頭を埋める羽目になってしまい。
それでもそんな場所を他人に、ましてこの男になんか触られたくなくて
勝手に潤んでくる目を必死で我慢しながら睨み上げる。


「・・・オマエ、その目、最ッ高・・」
「っや、めろ・・!・・・俺に触ん、な・・・!!、・・どけろ・・・っ」
「ッハ!その威勢の良さとか、また堪ンねーってハナシ」


拒否する言葉すら飲み込むように、厭らしく舌先で唇を舐め上げ、薄く目を細めたグリムジョーは
俺の性器をやんわりと握り込んだ。
思わずヒュッと息を詰めると、その手がゆるゆると上下し始め
無理矢理にでも刺激が送り込まれてくる。
頭では否定していても、そこだけはそれを生理的に快感だと捉え
熱を帯びてきて、でも俺は認めたくなくて、嫌で、恥ずかしくて、逃げたいのに、
急所と云えるソコを完全に掌握されていては、動くに動けず・・・
されるが儘に悔しくも耐えるしか無かった。
こんな情けない自分、許せないし、歯痒いのに、、


「もー諦めてよ、素直になりゃいーんじゃね?」
「・・っ・・、ぁ・・・、だれが・・!」
「あっそう。じゃ、イヤでも感じてもらわなきゃなァ?」
「・・・・ッあ・・?!・・く・・・ッ・・」


挑発するようにグリムジョーが呟き、急に扱き方が変わって
全体を激しく摩擦しだす大きな掌に翻弄され、勝手に先走りが滲んで来る。
必死に我慢しようとするけど、我慢できるような生易しい刺激じゃなくて、
迫り上がってくるモノの感覚を感じた瞬間、
俺は呆気なく射精した。


「・・・・っう・・・!・・・ぁ・・、、」
「・・良く出来ました・・・・っつーより、良く出ましたってか?クク・・」


咽喉で嗤うグリムジョーの手を汚す白濁の体液は
間違い無く俺のモノで、思わず顔を背ける。
見たくなかった。
なのにグリムジョーは、ほくそ笑んでソレを舌で舐め取り
向こうを向いていた俺の顎を反対の手で掴み、逃げられないよう正面に向かせ
覆い被さるように口付けてきた。
まるで不意打ちで、広がる苦さに眉を顰めてグリムジョーの胸板を押し返すけど
全然歯が立たなくて、割り入って来た苦い舌に隈なく口内を犯される。


「・・んっ・・、ふ・・・」


溢れてくる唾液で苦いのが薄まっても、飲み込むことなんかできずに
グリムジョーが舌を動かす度に口許の隙間から流れて、タラタラと顎を伝い落ちていった。
恥ずかしくて早く解放して欲しいのに
いつまでも続く濃厚なキスは俺の舌を痺れさせて
そんなつもりは無いのにコクリと少しだけど飲んでしまい。
苦くて息も苦しくて、涙をポロポロ流しながらグリムジョーに縋り付いた。


「っは・・・ぁ、・・・・・ぁ・・っ」
「そーやってると、可愛いじゃねーか」
「、、あ・・、っやだ・・・!」


漸く唇が離れ、意識の飛びそうなキスが終わったと思ったら
呼吸を落ち着かせる暇も無く、また唾液でヌラヌラ濡れている唇を塞がれ
ピリピリと麻痺している舌を絡め取られてお互いの唾液を交し合う。
それに神経を集中している隙に、グルりと首に何か硬いモノが巻かれて
カチリと固定されてしまった。
何が付けられたのか、朦朧とグリムジョーを見上げると
ニヤリと愉しげな笑みを向けられ、唇が離れる。


「・・・・ぁ・・、・・・な、ん・・・・?」
「プレゼント」


言われて恐る恐る指を首に宛がうと、首輪みたいなものがピッタリ嵌められていて
グリムジョーは俺の髪を愛しげに何度も梳きながら
ペットを可愛がる飼い主みたいに、嬉しそうに囁いた。
俺は、これの意味が解からないし、解かりたくもないのに
この男は残酷にも


「飽きるまで飼い殺しだ」


サックスブルーのアイラインを歪めて哂い
首輪がその証だとでも言うように、指で弾いて知らしめた。

俺はその瞬間に、最初から感じていた不安感の正体に今更ながら気付き
同時に、もうこの男から逃げられないのだと確信した。

 


こんな不幸な、出会い。


 


【2へ続く】


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あとがき

鰤で初の続き物です。
趣味入りまくりで大変な事になっておりますが、続かせます…!

2006/11/27  。いた。