『そうした微睡みの中で、』

 

真っ黒なソファの上で背中を丸め、
グリムジョーの膝の上に頭を乗せて、まどろむ。
緩やかに、髪を梳く手が気持ちいい。
まるで飼い猫にするように。


「・・・・・・グリムジョ・・?」
「・・あ?」
「もっと・・・」


甘えるように擦り寄りながら、甘えた声で、ねだる。
常套手段。
どうしてお前には素直に甘えられるんだろう。
感じる体温が心地良く
あぁ、暖かい。
時折耳を掠る指先とか、堪んねー、グリムジョー。


「・・・・ん・・、・・・・・寝る・・・」
「・・あァ」


もう我慢出来ない、目蓋重い、、寝る。
でもその儘撫でる手は止めないでいい。
安心できるモノなんて、少ないんだから、頼むよ。
簡単な「お願い」だ。
お前にしか叶えることが出来ない事ぐらい
言わなくても解かってるだろ?


・・でも、やっぱり、


「・・・どーした?寝るんじゃなかったのかよ?」


こんな心地良い時間を寝て過ごすなんて勿体無い。
折角こんなにも幸せなのに。
幸せなのに、
永遠なんてない。
あぁ、あぁ…判ってるさ。


「なぁ、グリムジョー・・・」


いっそ死んでしまおうか?この儘。
このカタチで、この時間に。
それも幸せな気がする。
気がするけど、どうしようもなく、厭で不安だ。

優しく頭を撫でるグリムジョーの
この手の感触を忘れてしまったらどうしよう。
目の醒めるようなグリムジョーの
このセルリアンブルーの髪が見えなくなったらどうしよう。
背筋を震わすグリムジョーの
この掠れた低い声を聞けなくなったらどうしよう。
どうしようどうしよう、
失いたくない。


「・・裏切っちゃえよ・・・・・」


そうだ、あの裏切り者を。
手酷く。
逃げてやればいいじゃん。
いい気味だ。
それから、

俺だけのモノになってくれよ・・・。


「グリムジョー・・・」


生みの親が殺せるか?
無理だよな。
お前は優しいから・・・。

俺なら、


「・・・・もう、寝ろ・・」


解かった。
解かったよ・・・。
ごめん。

でも、決めた。

 

 

「俺がそっち側に行く」

 

 

今、愛を込めてお前の唇にキスを。
俺は俺の単なるエゴのために、
俺が全てを裏切る。
親を、兄妹を、友を、過去を、世界を。

 

 

 

「愛してる」

 

 

 

我ガ人生最大ノ愛ノ決断。



【終】


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あとがき

あ、あ、甘い?
糖分120%(当社比)

2006/10/15  いた。