※性描写あり。ご注意を


 


『鬼ごっこ#9』

 

「…あ、…アッ、うぅっ、あ…!」

奥歯を噛み締める余力さえ既に失った半開きの唇から、延々と唾液と嬌声が溢れ出る。
同じように精液も垂れ流せたなら、どんなに楽だったか知れないのに
白い紐で根元をぎっちりと縛められている所為で出すものも出せず
歯痒い生き地獄のような苦痛染みた快楽に、焼けたアスファルトの上で蠢くミミズの如くのた打っていた。
今すぐにでも邪魔な紐を引き千切り、恥を掻き捨てての自慰をも辞さない
という所まで追い込まれているものの、後ろ手にしっかりと施された両腕の拘束は外れそうもなく
目尻に涙さえ滲ませながら、この状況を作り上げた薄情な男を伺い見たが
一体何度目になるのか、眉一つ動かさずに無視された挙句
膨らむというよりは腫れ上がった性器を手荒く扱きたてられる。

「、ひっイ…ッ!や、め…、てくれ……!」
「ハ、もっと苦しめよ。生身のテメェを甚振るには、痛みよりこっちの方がいいだろ?」
「ッあ、…う!」

悪辣な事を言うグリムジョーの手は止まる事もなく
締まりの悪い蛇口のように僅かずつ零れだす透明な先走りを絡め
ぐちゃぐちゃと下品な音をさせながら亀頭や鈴口を無遠慮に攻め立てる。
「特にテメェは、苦痛より恥辱が嫌いみてェだしな?」と全くの図星を言い刺して
厭味ったらしく咽喉で嗤ったグリムジョーは更に、俺の片膝を胸につくまで押し上げると
一度性器から手を離し、下っ腹を濡れた掌で強く押さえつけてきた。

「ッ、…あ、…っふぐ、、!」

圧迫された事と、腹筋に力が入った事で、ぶちゅ…、と酷い音を立てて
幾度も中に吐き出されていた男の体液が溢れ出し、のろのろと尻たぶを伝い落ちていく。
そのあまりの屈辱感に、まるで頭をぶん殴られたように打ちのめされて全身の血潮が沸騰し
ぐらぐらと目の前が揺れて吐気すら覚えた。
ゲスな真似をするなと罵りたいのに、強烈な憎悪と羞恥に占領された頭は
言葉を発するという単純な動作さえ果たせず
開閉を繰り返す俺の口からはただ、ハァハァと乱れた呼気が往復するのみ。
そんな有様を見下ろすグリムジョーはと言えば、眇めた双眸に再び獰猛な情火をチラつかせ
勝手知ったるといった具合に俺の尻穴に硬い牡を宛がうと
遠慮なくズブズブと奥まで一気に押し進め、熱を孕み腫れぼったく解れきった内壁を
これでもかと突き上げて来る。

「う、あっ…!、あッ、あ!…も、勘弁…っ…てくれ…!苦、し…ッ」
「なに甘ェ事言ってンだよ。何べん言っても聞き分けねェから、躯に教えてやってんだろー…が!」
「いっ!、はひ…ッあ!!」

語尾を荒げると同時に弱い所を抉られ、堪らず仰け反って喘ぐ。
直接的に響いた射精感に恐怖すら抱いて戦慄けば、察しよく勘付いたグリムジョーが
何とも不穏な笑みを浮かべ、片手を思わせ振りに太腿の付け根に這わせ
張った睾丸を揉みしだき、これ以上ないほど反り返る竿を握り込んで、上下に激しく擦りながら
同じ所を何度も何度もしつこく穿つ。

「っうあ!あ゛ぁ!、あァ…ッ!」

俄かに前後不覚に陥って、もうダメだと思うものの、苦しげに脈打つ一物はいまだ解放を許されない。
とてもじゃないが耐えられそうになかった、苦しい、許して欲しい…!
そればかりがグルグルと巡って、正常な思考どころか矜持まで奪い去り、気付けば俺は

「…と、取って!取ってくれ…!グリムジョー、たっ頼むから…ッあ!」

涙と鼻水と涎を垂れ流しながら、浅ましく懇願していた。
なのに、この男はニィと口角を吊り上げて、こう言い捨てる。

「オレがテメェの我侭をきいてやったためしが、一度だってあるか?ねぇだろ?」
「ッ!…ふ、、あ…っぅぐ、ッ」
「まァ、諦めて反省しやがれ。ンでたっぷり後悔しろ。
そろそろ現世に帰してやろうかと思ってたが、気が変わった」
「…?!」
「このオレが骨の髄まで躾てやる」

持ち前の危険極まりない嗜虐性を隠しもせず、俺を震え上がらせるに十分な内容を囁いたグリムジョーは
お気に入りの玩具の新しい遊び方(それもとびきり残忍なやつ)を思いついた子供のように
とても残酷な笑みを浮かべ、左右に首を振って嫌がり怯える俺の両膝裏を掬い上げ
深く覆い被さっては奥を小突き上げる。
「ん、あ、あ、」と断続的に押し出される自分の熟れた呻き声を、どこか他人事のように聞きながら
それでも、この鬼畜の手から何とか逃れたい一心で
上半身を斜めによじって腰を引かせたはいいが、逆にその動きを利用され
あっという間に視界が横に転じたかと思えば右肩を下に横臥した状態になり
グイと上体を起こしたグリムジョーの肩に左脚を担ぎ上げられ、そのままの体勢でガツガツと激しく腰を打ちつけられる。

「はっ、…ひ!あぁっ、あッ、やめ…!、くっ、、……んッ!!」
「ハハッ、よく飛んだな」

予告なく急に解かれた性器への縛め。
不意打ちもいいところで、予兆もへったくれもなく勢いよく噴き出した体液は
グリムジョーが言う通り、ベッドの端に尾を引いて、遥か向こう、白い床に同化しきることなく、あらぬ所まで飛んでいる。
そこまで俺の裏をかきたいのか、とことん自分の思い通りにしたいのか、とにかく、意地が悪い男だ
あまつさえ、数度腰を揺すられると、トクリ、トクリと後から後から未練たらしく溢れる残滓が止まらない。
まるで粗相しているかのような光景に目も当てられず、歯を食いしばってキツく目蓋を閉じれば
濡れてヒクつく先端に、どこからともなく無遠慮に男の指が絡みつき、にちにちと音をさせて鈴口を撫で廻す。
堪らない。
ありったけ尻穴に力を入れながら背を丸め、ビクビクと大仰に痙攣していると
肩から俺の片足をおろしたグリムジョーが、徐に姿勢をずらして自分も横たわり
背面に張り付くようにぴったり密着して俺の肩口に顔を寄せ、左の耳朶を軽く食みながら
吐息にも似た厭らしい微かさで、けれど拒否を認めない低い声音で、俺に問う。

「…なァ、鬼ごっこのルール、判ってンのか…?」
「……う…、ぁ、、」
「始めるのはオレで、終わらせるのもオレだ。オマエは死に物狂いで逃げてりゃいい。他の参加者は許さねェ」
「…ン!、、ん、っ」

脅すように、あるいは思わせ振りに、グリムジョーが小さく腰を揺すると
中に収まった侭だった牡が、ジンジンと鈍く疼いて熱い肉壁を、僅かに擦り上げる。
…あ、あ…ッチクショウ…!

「たったそれだけだぜ?どうして判らねェ…?」
「…っ、…ッ…! 、、わか…っ、よく、わかった…!…だから…!!」

もう、やめてくれ…!
もっと、激しくしてくれ…!
一体どっちの懇願の方が本音だったろうか…
何にせよ、満足気に口角を上げた男は俺の項をねっとりと旨そうに舐めあげつつ
ゆるゆるとした間怠っこい動きで、最後の最後まで俺の希望を一つだって叶えてはくれなかった。

 

それからというもの、部屋を出て出口を探すのをやめた。
グリムジョーが鬼ごっこをいつ再開させるつもりなのか判らないが、とにかく大人しくしていた。
それだけあの仕置きは骨身に応えた。
おまけに、「骨の髄まで躾る」と言ったのは誇張なんかではなく
あれ以来、連日のように拷問めいた情事が続き、ほとほと参り果てた俺は
グリムジョーが固執するルールを狂ったように復唱し、必ず守るからと、涙ながらに誓ってみせた。
これじゃあ何もかもがグリムジョーの思う壺だと判ってはいても、何か行動を起こそうという気にはとてもなれない。

「…っくそ、こんな事でいいのかよ、俺…ッ」

自分自身を叱咤してみた所で、どうにかなる訳でもなく、ただ泥のようにネバついた葛藤がドロドロと脳裏に蟠る。
逃げ出したい、出来ない、早く帰りたい、出来ない、あいつを殺したい、出来ない、、
そんな埒の明かない考え事をずっと一人でしていると、ふと漂白されたこの空間を目にした時
たまらなくなって、大声で叫び出したい気持ちになる。
発狂とまでは行かないが、やけくそに近い。
ただ、一度それをしてしまえば、一気に精神が崩壊しそうな気がしてならなかったから、寸での所で踏みとどまっている。

「…!」

とその時、部屋の前に立ち止まった気配を感じ、ハッと顔を上げる。
霊圧からして、グリムジョーではない。
なら一体誰なのか、、という疑問は、次いで、更に強まる。
扉を開き中に入って来た破面の男は、知らない顔だった。

「…あ、あんた誰だよ」

全身で警戒と威嚇をしつつ問いかけるも、返事はなく、見知らぬ男も答える気がないのか
こっちを無感情に一瞥すると、何も言わずにズカズカと近付いて来る。
ギョッとしたのは俺だ。
グリムジョーは他の参加者は許さないと言った、つまり、誰も関わらせるなという解釈で間違いなく
慌ててベッドから跳ね下りて男と距離を取った。
バクバクと心臓が動悸を打ち、冷や汗が噴き出る。
何の魂胆があって俺に近寄ろうとしているのか知った事じゃないが
迂闊に接触すれば後々とんでもない事になるのは明白だ。

「来るな、俺に近寄るな…!」
「大人しくしろ」

警戒心むき出しの小動物のように吼えて部屋のすみに逃げる俺に対し
ひどく面倒くさそうに一言命令した男は、さすが破面というべきか
瞬時に俺の目の前に立って、あっさりと腕を捻り上げて来た。

「…いッ、」
「来い」

短く促し、俺の意思など関係なく歩き出した男に引き摺って行かれそうになって
思わず両脚で踏ん張って抵抗すると、男の細い目が苛立だしげに更に細くなり
それがあいつの、ノイトラの狡猾な眸に似ている、と連想した瞬間
俺は咄嗟に、というより必死に、相手の手首に噛み付いていた。

「っこのガキ!」
「ぅグッ…!」

脳天に肘打ちが落ちて来て、頭蓋に響く衝撃と共にチカチカと視界が明滅し
一時的に平衡感覚を失った躯は背後の壁にドサと凭れかかりながらズルズルとずり下がって行く。
しかし手加減はあったのか、何とか昏倒は免れ
膝を笑わせながら懸命に体勢を立て直そうと試みたその矢先、男の後ろ向こうの扉に見知った姿を見つけ

「…あ、…あ…!」

俺はガチガチと歯の根も合わないほど心底怯えて竦み上がった。
怪訝そうに目前の男は眉をひそめ、そして漸くその存在に気付いたのか、恐る恐る振り返ろうとして
刹那、一瞬で距離を詰めたグリムジョーが男の頭を片手で鷲掴み、勢い壁に叩き付ける。
ゴシャ! と、重いスイカをかち割るような音を立て
そいつの頭部は派手に押し潰れ、中身が盛大に飛び散り、四方の白壁が斑に紅く染まった。
目が痛くなるぐらい、とてつもなく鮮烈に、生々しく。

「合格だ」

悲惨な有様に不釣合いな、至極満足そうに投げられた単語の意味が理解できず呆然としていると
壊れた人形を打ち捨てるかのようにドサリとぞんざいに死骸を投げ捨てたグリムジョーは
それを見るでもなく俺の方へと歩み寄りながら、淡々と口を開く。

「ありゃノイトラの手下だな。本人が出張らなけりゃ気付かれねぇとでも思ったか…クク、微温ィ奴だ」

そう思わねェか?と訳知り顔で言われても、俺には何が何だか判らない。

「どうにかしてオレを出し抜きてぇらしい。相変わらず陰険な野郎だぜ。
 それとも、よっぽどつまみ食いしたテメェの味が忘れられず、我慢できなかったか…」

途中から意図的に、揶揄の色味を帯びたグリムジョーの声が鼓膜を撫で
鋭い刃物のような視線がゆっくりと俺の眸から頬、顎から首筋、その下を這い
形の良い爪をした指先が、躯の中心線をゆっくりと上から舐める。
鎖骨の間、へそを通りすぎ、そして視線が止まっている位置、つまり股座にさしかかり
ぐりぐりと人差し指で強くなじられると、ゾクッともズクッとも知れない危険な感覚が背に走って
俺はそれに少なからず驚き、それからすぐに自分自身に嫌悪を覚え、奥歯を咬んで顔を背ける。

「…ルールを守れたな。イイコだ…」

よほどさっきの俺の言動がお気に召したらしく、頭上に片腕をついて覗き込むように覆い被さり
含みを持たせた言い方をしながら卑猥な舌つきで耳朶にしゃぶりついてくる。
まるで躾を覚えた犬猫を褒める飼い主のような態度に、怒りこそ湧くものの
震える太腿を膝で押し開かれ、尻たぶやその奥を手荒く五指でまさぐられると、簡単に腰が砕けた。

「…や、め、、いや、だ…!」

そんな形にもならない弱々しい抵抗がグリムジョーに通用する筈もなく
結局、気を失うまで好き勝手に犯され…

次に目が醒めた時、俺は現世に居た。


 


【10へ続く】


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あとがき

お久しぶりの更新ですね!申し訳ないorz
グリムジョーの執着が、ノイトラとかの所為で、こう、別方向(独占欲?)
的なものも前面にプッシュし始めたらオイシイな★って事で、書いてみました^^(進展はどうした)

2014/09/21  いた。