※流血・暴力的表現、性描写あり。強姦要素が大変強いです。ご注意を

 


『REVENGEFUL』 

 

平々凡々な生活をしていた。
学校行って、勉強して、虚退治に行く石田とか井上の後姿を見送って
時々絡んで来る不良とかをぶっ飛ばして、帰って寝る。
死神の力、もとい霊力そのものが無い今の俺は、至って普通の学生。
ただ、湧きあがるのはそれに対する違和感で
前に刀振るってた時の方が、全然俺の普通で、日常だった。
著しいギャップ。
胸の奥で、どんどん泥土みたいなものが重く溜まっていくのが自分でも判る。最近特に酷い。
霊が見える触れる喋れる三重苦が
こんなにも懐かしくて、切望するものになるなんて思わなかった。

「…ハァ…」

眉間のシワじゃなく、溜息が増えたとか、そんな事を言ってたのは石田だったか…
心配されてるのは判ったけど、どうしようもないからしょうがない。
俺だって好きでテンション低いわけじゃねェ…

「…やめた!とりあえず、風呂でも行って気分変えるか!」

いつまでもダラダラ考えてたって始まらない。
こんな時は宿題即行で済ませて、とっとと寝ちまうのが一番だ。
と、ベッドから立ち上がった瞬間、バリン!と何かが割れる音がして
慌てて振り返れば、割れたなんてもんじゃなく、部屋の窓ガラスが粉々に吹き飛んでた。
近所の悪ガキが蹴ったボールでも当たったか、それともまた不良のバカが何かしら投げ込んだのか
どっちにしろ迷惑極まりないし掃除が面倒だ…
なんて思いながら部屋を見回してみたけど、ボールどころか、石粒一つ見当たらない。

「…? どーなってンだ?」

疑問符を飛ばしつつ、ガラス片へ手を伸ばそうとしたその時

「ッ?!、ぅ、ぐ…っっ」

急に首根に圧迫感を感じ、直後に物凄い力で引き上げられて、躯がフローリングの床から浮く。
まさしく宙ぶらりんだ。
ジタバタと暴れてみても、全然意味がない。
この時点で、明らかに尋常じゃない事態が起きてるのは理解できた。
虚か?と頭の隅で考えつつ、どうにかして見えない力から逃れようと足掻いたが
どうする事もできず、タラリと冷汗を流す。
俺の霊力の有無とかそんなレベルの問題じゃなく、もっと根本的に
首を鷲掴む怪力に到底敵う気がしなかったからだ。

「…んっ、、 ぐは…!」

これは不味い、と凄まじい焦燥が背筋を奔るけど、やっぱりどうにもならなくて
気道が締まって空気が取り込めない息苦しさに、生理的な涙が滲んできた途端
いきなり無防備な鳩尾に強烈な打撃を食らい
噎せて胃液を吐くと同時に首の圧迫が消失して、バタと床に倒れ込む。
すぐに体勢を立て直さなければと思うのに、重く胃に残るダメージが相当で
視界が急速に狭まり始めた挙句、景色が闇色に染まっていく。
そんな中、縄ほどの細い見えざる何かが、首やら腕やら腰に巻きついて上半身を締め上げ
意識障害を起こす一歩手前の状態だった俺は、あっという間に身動きできなくなった。

「、、な…ん…ッ」

訳が判らず混乱の渦に呑まれていると
ジャラ、という鎖が触れ合うような硬質な音がして、グイと躯を引き摺られる。

(…あ…、ダメだ、、抗わねェと…っ)

このままでは、ヤバイ。 そんな危機感が急沸騰する。
幾多の場数を踏んで来た経験が、いや寧ろ本能が、けたたましい警鐘を打って止まない。
なのに、黒く塗り潰されて行く視界と思考は止めようがなく、到頭俺はプッツリと意識を手放した。

 

―――――――――――――――

 

「…ゲホッ、ゴホ…!」
「お。目ェ覚めたか」

胸が詰まって咳き込んだ拍子に意識が戻った所へ、不意に声が掛かる。
驚いて視線を上げれば、「久しぶりだなァ、一護」と爽やかに言いながら、こっちを見下ろす男が居て
その顔を見た瞬間、俺は見事に硬直した。
だって、信じられない、

「…黒刀…!何で、おまえが此処に…!」
「ハッ!バ〜カ。周りをよく見ろよ…訊くべきはそうじゃねェ、『何で、俺が此処に?』、だ」

いかにも意地悪そうな笑みを浮かべる男に言われる侭、注意深く周囲を窺い、唖然とする。
今まで、確かに自分の部屋に居た筈なのに
周りの光景はガラリと変わり、薄暗い荒地が何処までも続き、空は赤黒い。
恰好も、さっきまで着てた私服じゃなく、白い包帯みたいな妙な着物だった。
これは、つまり…

「そう。此処は地獄だ。そンで、テメェはもう死んでるぜ?」
「…!!」

気ィ失ってる間に、地獄の瘴気でポックリな。 と、クツクツと咽喉で笑いながら
導き出したくない答えをいとも簡単に言ってのけた黒刀が、右手で何かを引っ張るような仕草をした。
途端、地を這っていた俺の躯はズルズルと勢い良く引き寄せられ
「死」という信じ難い事実に動揺する暇もなく、どういう事だと自分自身に視線を移すと
幾重にも絡まる紅い鎖がくっきりと見て取れた。
(部屋での拘束物の正体は、十中八九コレに違いない)

「っ…何で、いきなりこんな…!俺に対する復讐か…!」
「あん?当たりめェだろ。誰の所為で計画失敗した挙句、地の底に封じられたと思ってる」

言いながら、おもむろに右顔を隠していた黒頭巾をスルリと解く黒刀。
ミイラ化した箇所が、以前より広がって見えたのは果たして気のせいか。

「でもまァ、クシャナーダ共、まさかこんなに早くオレが復活するとは思ってなかったろうな」
「…ツ!」
「おかげで躯の侵食が進んじまった」

それもこれも、ぜ〜んぶテメェのせいだ。
恐ろしい猫撫で声で囁きながら、黒刀は足元へ引き摺り寄せた俺の横面を
真上から硬い靴底で思い切り踏み躙り、グリグリと地面へ押し付ける。

「、ぅ…、ぐ…!」
「でな?どーやってテメェを此処まで堕として甚振ってやろうかと散々悩んでたンだが
 都合良く霊力共々死神の力を失くしやがったから、これを逃す手は無ェと思ってな」
「…っ!な、んで、、それを…っ」
「知ってるかって?オレァあの時から、ずーっとテメェを見てたのさ」

来る日も来る日も、毎日毎日、四六時中なァ…
そんだけテメェが憎たらしかったのは勿論だが、地獄は怨み辛みで何ぼだぜ?
オレの復讐心を甘くみるなよ? と、不敵にニィと口角を吊り上げる男を見て、ゾッとする。
こんなにも悪辣で歪んだ執着心を持った奴を、今まで見た事がなかった。

「っく…そ…!放せ…ッ」
「放すかよ。 あーもー、オレの今のテンション判るか?
 これからテメェを好きに出来るかと思うと、嬉しくて堪ンねェ…!」
「?!、ガッ…あぐ、、ッ!」

声高に言うなり、頬を踏んでいた黒いブーツが退けられ
次いで、したたかに脇腹を蹴り上げられて地面の上を数転。
えげつない痛みに、堪らず蹲って呻くと、いきなり髪の毛を鷲掴まれ
無理矢理に引き起こされた直後、左頬を強烈な力で殴打される。
急な事で、噛み締めれなかった歯列に当たった内頬の肉が裂けて口腔に鮮血が溢れ出し
俄か、軽い脳震盪まで起こったか、ぐにゃりと激しく視界が歪んで、吐き気を催しながら無様に地面に昏倒すると
またしても横っ腹を爪先で鋭利に蹴り抜かれ、ゴブと血反吐を吐きながら横転。
その反動で躯に絡まっていた鎖が解け
俺は朦朧と霞む意識と、たった数撃で瀕死になりつつある躯を何とか奮い起こし
凶悪な男から必死に距離を取ろうとして這いずったが
新たな鎖が足首に引っ掛けられ、容赦なくズルズルと元の場所に引きずり戻された上

「逃げンなよ」

心底愉しそうに囁いた黒刀に、肩口をグイと靴底で押され
ひっくり返って仰向けになった所で、両手を捉えられ一つに纏め上げられる。
直感的に悪寒を感じ、慌てて逃げを打とうとする俺の目の前で
スラリと刀を引き抜いた黒刀は、暗い眸に禍々しく獰猛な光を湛え、一寸後
何の躊躇いもなく、重ねた手の平へと一気に突き刺した。

「ッうぐあぁああ゛っっ…!!!!」

ズブリと生々しい音を立てて両手の肉を穿った凶器は、まるで俺を釘打つように地面へと留め
焼けるような激痛がジクジクと両手を苛み、ブワと脂汗が噴き出て止まらず
身も蓋もなく情けない悲鳴を上げると、ひどく満足そうに嗤った黒刀が薄く唇を開き

「オイオイ、ダイジョブかァ?一護」

厭味たらしく言ってのけた。
苦痛を与えている張本人のクセに、よくもそんな事が口にできるものだ。
誰の所為でこんなになってると思ってる…!

「っはぁ、はぁ! ツっ…、う…、、」
「…ヤッベ…そんな目ェして睨むなよ、もっとイジメたくなンだろ?」
「?!、なに、する気だ…!、、やめっ…!!」

極限まで体力を消耗し、息も絶え絶えながら、それでも目の前に居る男を睨み上げると
何がそんなに気に入ったのか、嬉々として不穏なセリフを言い放つなり
俺の着物の帯紐を解き抜いて共衿を掴んだ黒刀は、殆ど引き千切るように左右に割り開いた。
一体どういうつもりだと声を荒げたが、聞く耳を持たない黒刀は
容易く俺の両脚の間に割り込んで覆い被さると
「抵抗するなら本気でしなァ…オレはソレを力で捻じ伏せンのが大好きだ…」
とか危険極まりない事を囁いて、グローブを外した手で裸に剥いた肌を意味深に撫で上げる。
ここまで来れば、さすがに意図が読め、ゾッと血の気を引かせて後退ろうとしたけど
ピリ!と両手に奔った痛みと共に、進退ままならない状態であった事を思い出す。

「いっ…!つぅッ、、」
「クク…その悔しそうな顔、ソソるぜ?」
「…あ、ぐ…!!、、うぅっ…!」

この危機を脱する策も浮かばず、自分の無力を痛感して歯噛みする俺の額の冷汗を舐め取った黒刀は
続けて咽喉元にゆっくりと舌を這わせ、片手を脇腹へと滑らせると
さっき散々に蹴りつけた打撲箇所を、グリと的確に指でなじった。
明らかにワザとだ。
傷口に塩をぬりつけるのと同じ鬼畜行為に、のたうちながら唸り声を上げるも
非難の文句を言う間もなく、今度はガリと鎖骨に鋭く歯を立てられ
同時に、黒刀が片手で器用に取り出した己の雄をピタリと尻の穴に宛がって来て
その垣間見えたモノの醜悪さに、クラリと卒倒しかける。
こんな状況にも関わらず、下劣にも勃起をしっかりと果たす男の異常性は到底理解できないし
あんな野太い代物を尻なんかに突っ込まれたら、たぶん俺はもう一回死ぬ。

「…あ…!頼む…、黒刀…!お願いだから、やめてくれ…!!」
「ンな情けねェ声を出す前に、ちったぁ真面目に抵抗してみせろ、よ…!」
「ッッ!!、あ!ぅぐァ、アッ…!」

恥も外聞もなく、必死に縋る俺を一笑した黒刀は、無慈悲にも腰を進め、メリ…と亀頭を侵入させる。
抵抗も何も、そもそも力の差が歴然としているのに、一体どうしろと言うのだろう
それに、拒絶しようといくら力を込めても、まるで無為な事だと言わんばかりに
ジワジワと強引に腰を押し進めるのだから、全く無茶な話だ。

「っ、…は、、うぅ…っく、、」
「きっちィ…しかも熱っちィ…テメェほんとに死んでンだろうな?」

言いながら、緩慢に腰を引き、確かめるようにゆっくりと押し戻して中を抉る黒刀の言葉を
俺は半分以上聞いてなかった。
だって、苦しいし、吐きそうだし、気持ち悪いし、痛いし
おまけにブルブルと戦慄いていた全身から、次第に穴の開いた風船の空気のように力が抜けていって
途中から飲めなくなった唾液を顎やら咽喉やらに垂れ流しつつ、なすがままに身を投げ出す。
それに相反して酷く乱れる呼気をゼェゼェと繰り返しながら、弱々しく掠れた声で「抜いて、くれ…っ」と切望すると
途端に苛虐を帯びた黒刀の眼光に荒々しい情火が灯り、いやらしい舌舐めずりをしたかと思うと
急に膝裏に手を入れられ、胸まで倒し込まれて浮いた尻に
中途半端で収まりきっていなかった雄を、ズブと乱暴に奥まで捻じ込まれた。

「な…ッ、あ!、ァう…ッう…!!」

縁が切れたような辛痛を感じたが、それどころじゃない。
僅かに荒い息を溢す黒刀に、したたかに、しかも早いペースで何度も突き上げられ
視界が明滅し、一瞬意識が遠のきかける。
でも、ガクガクと激しく揺さ振られる度に、両手を貫く刀身が傷口を裂いて拡げる痛みが
その飛びそうになる意識を辛うじて繋ぎとめていた。

「っく、…あ…っ、、ぅ…ッうう…!」
「あー…野郎のケツの穴とはいえ、地獄に堕ちてから久々だぜ…。
 それに、…ハッ…、テメェのはえらく具合がイイ…!」
「ッッ、んっ…ン!、、ちく…ッしょお…!」

ゲスな物言いで腰を振りたてる黒刀の悦に浸った顔に向かって悪態をつき、グッと力一杯目を閉じる。
何で、どうして、こんな状況に陥っているのか…
現状に振り回されて、呑み込まれて、何が何だか判らない。 嫌で嫌で、堪らない。
けれど、なす術はなく。
かつて死神だった頃に闘った時だって、クシャナーダの力を借りてやっと倒せた相手なのに
霊力すら持たない脆弱な俺が、万が一にもこの悪況を打開できる道理は無い。

「…はっ、ヒッ…!…あァ、あ…っっ」
「堪ンねェな、その声!もっとヒィヒィ無様に啼いてみせなァ!」
「っっ!、あッ、ンぐ…!、ッ…ゴボ…っ!」

興奮気味に哄笑した黒刀が、再び脇腹の痛い所を掴むように強く圧迫しながら腰を振ると
燃えるような激痛と共にゴブゴブと咽喉の奥から鮮血が溢れ出し(たぶん折れた肋骨がどこかに刺さったに違いない)
俺は思わず閉じていた目を見開く。
すると、加減の無い律動に合わせ、自分の大きく開いた下肢がユラユラと力無く揺れて居るのが見えた。
とてつもなく情けない。
「復讐」と言うだけあって、未だかつて無い残酷な責苦に
身体的苦痛だけでなく、精神的苦痛をも味わわされ、まさしく俺の心身はズタボロだった。
ボロリと大粒の涙が勝手に目尻を伝い落ちて行くのを止められない。

「一護ォ、やっぱテメェ最ッッ高だぜ…!」

それを見るなり、心底愉しそうに言い放って
俺の両手を貫いていた刀へと徐に手を伸ばし引き抜いた黒刀は
刀身に滴る血を見せ付けるようにして舌で舐め取った後
突如ソレを振り翳し、俺の首筋目掛けて振り下ろす。

その恐ろしい光景を見たのを最後に
まるでブツとテレビの電源を切ったかのように、目の前は真っ暗になった。

―――たぶん、俺はまた、死んだ。
というより、殺された、の方が正しいかも知れない。


「……あ…」

なのに、何故か目が覚めて。しかも居るのは同じ場所であり

「おっかえりィ〜、一護」

ニィと不愉快な笑みに出迎えられ、絶望を覚える。
最悪だ。
地獄では、死と再生が繰り返されるのを失念していた。
ということは…

「オレの気はまだまだこんなもんじゃ晴れねェぜ?」

もっと愉しませてくれよ
と囁いた男に、またしても組み敷かれ、無傷で繋がっている首を、ゆるりと撫でられ確信


復讐という名の地獄の責苦は、まだ始まったばかりだと。

 

 

【終】


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あとがき

初コク一です。いかがでしたでしょう…ちょっとグロすぎましたかね?(焦)
でもそんな鬼畜コクトーが大好きですv←

2011/03/26  いた。