『彼氏が彼女に着替えたら』
〜あなたの彼氏を美しい女性に変身させてみませんか?〜   ※某番組ネタ
                                                        

 

 


普通に過ごしてた筈だ。

ヤッて、寝て、起きて、風呂いって、飯食って。 ・・・普通だ。
そんで天国がテレビつけて、一緒にい●とも見てて・・・・・・・・
そっからだ。
隣りで大人しくソファに座ってた天国が急に立ち上がって
ガサガサと隣りの部屋の箪笥を漁り始め、おかしな行動をとり出したのは。

そりゃまぁ、オレも最初は着替えンのかと思ってたよ?
風呂いった後も、今の今までマッパでうろうろしてたし?


でもまぁそんな考えは、可愛いオレの恋人がドッサリと手に持って来た、大量の女物の服で吹っ飛んだ。


なんでそんなもん、とか思うかも知れねーが、オレの恋人は・・・
なんだ?そーゆー趣味を持ってらっしゃるワケで? 
まぁ、そこまではさして驚かなかった。
ほら、オレって寛容的だし?
けどさ、その大量の女物の服をもさっとオレの横に置いてさ
一着一着丁寧に似合うかどうか宛がわれて、眉間に皺寄せて真剣に吟味されてみ?

オレじゃなくても嫌な汗が吹き出るっつの。


「あ、あ、あ、あ、あま、天国サン・・?これは一体・・・・??」
「え?お前にはどんなのが似合うかなーって。邪魔ンなんねーようにすっから、気にすんなよ」


無理デス。

なんて拒否る言葉を力一杯叫びたいんですが、そーもいかないんですよだって、
何でそんな無ッ茶苦茶愉しそうなの?!天国さん・・・!!
栗色の瞳キラキラ輝かせてあれこれ服を引っ張り出すなんて、か、可愛いじゃねーか畜生・・!!
・・・なんてメルヘンってる内に次々と何着もの服がピックアップされてオレの膝の上に。
見たくないけどスカ−トもあんの・・!!!!!


「こ、こ、ここ、これを、一体どーするおつもりで・・??」
「んー。最終的には化粧もし終わって、総合的に似合うの着てもらう」


あ、そうですか。決まるのは最後の最後・・・ってオイ!!
化粧?!オマエまさかオレに化粧までさせる気なんか?!?!


「ま、待て待て待て待て・・ちょっと待て!! なに? 天国はオレに何させてーの?!」


服を選び終えたらしい天国が、続けて持ち出した愛用化粧道具一式を
滝汗流しながら見詰めるオレ。
嗚呼、ちょっと本気で涙が出そうなのはどうして?


「そりゃ勿論、完璧な女装」


女物の服、準備された化粧道具、そしてさっきまで見ていた、某番組のあのコーナー。

予想された返答を、一言一句間違わず言ってくれて有り難う。
そっか。天国はオレに女装させたいワケだ。

冗談じゃねェ!!

オレは一刻も早く天国から離れて己の身の安全と男の尊厳を守る為
焦ってずり逃げようと腰を引かせたが、生憎ソファに凭れ掛かっているのを失念していた。
身動きが取れない。それより目の前の天国が恐ろしくて仕方無い。
これはもしかしなくても絶体絶命のピンチってやつに限りなく直面してんのか?

なんて悲痛な心の内虚しく、嬉々として化粧道具を広げる天国は
某化粧品会社の化粧水を数滴手に取り、ニコリと綺麗に微笑んだ。


「パイナップル踊り食いとエッチ一週間禁止と大人しく化粧されんのと、どれがいい?」
「・・・へ?」
「パイナップル二億個とエッチ三十年間禁止と大人しく女装されんのと、どれがいい?」
「・・・・・・へッ?!」


にべも無く提案された選択肢。
その中からオレに選べとおっしゃる?天国さん。
いっそ清々しいまでの笑顔が無性に恐ろしい。
けどさ、それ、全部、イヤ。 うん。 力一杯首を振りますよ。ええ。
つーか最初の二つは死んでも選びたくないッス。いや、マジで。


「さぁ、どれがいい? バ・カ・ラ?」


頭の中で天国の声が木霊する。
どれを選んでもオレにとっては致命傷になりかねない、、、が。
パイナップルとセックス断ちと女装、どれか一つを選べと言うのなら、

オレは喜んで女になる。

あぁ、そうとも。
変態と言われようがアホだと言われようが名前通りのバカと言われようが、
パイナップルを口に入れるぐらいなら、天国とセックス出来ないぐらいなら、
オレはガタイの良い身長180を超える有り得ない女になってやんよ!!!!!


「・・・・・御柳芭唐、16歳、女にならせていただきます・・・・。」


大人しく抵抗を止めたオレに、天国はとびっきりの笑顔を向けた。

 

 

間。

 

 

「お〜!似合ってる似合ってる。我ながら完璧だぜ」


カツラは使わず地の髪を僅かに内巻きにされたのを指で弄りながら
ス−ス−する足元のスカ−トの端を摘み上げ、チラリと見えた脛毛に眉を顰めて唸る。
しつこくミニスカを推奨されたが、これだけは譲らなかった。


「・・・で?天国はオレに女装させて何がしたかったワケ・・?」


完璧に化粧された顔はもとより、
元々身体が細身とあって見事に女に出来上がっている己を一齣り鏡で眺めながら、
何故こんな事をやりだしたかのそもそもの理由を、天国に問いかける。

まさか番組のコーナーに触発されただけで、こんな事をやろうと思った訳じゃないだろう。


「いや〜、実はさぁ、い●ともに一回でもいいから出てみたくてさ〜〜!
 そしたらちょうど、自分の彼氏を彼女に変身させちゃお〜っつぅコーナーやってたろ?
 おもしろそーだし、御柳に女装させれる、い●ともに出れる、の一石二鳥だと思って!」


言って鏡に映ったオレを満足げに見つめながら、何度も頷く天国。
嗚呼、軽く眩暈がしたよ、お母さん。


「あ。でもさ。そーいや俺、彼女っつーか女じゃねーから、出れねーじゃん」

 

 


・・・・・マジで、生まれて初めて心の底から泣きたいと思った。

 

 

【終】


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あとがき

久々にギャグでございます。
もっと面白く書きたかったのですが、うまく書けず…。力不足であります。orz...
ところで、猿芭ではありませんよ!笑

2005/08/16

。いた。