「おかえりなさいませ、ご主人様v」


三つ指揃えて、ではなく
最近流行りのフリフリメイド服で出迎えた、猿野天国だった。

 

 

『メイドさん』

 

 


週末。日も暮れた夜だ。
漸う切り上がった部活から帰った御柳が、自宅のドアを開けるなり、目に飛び込む、メイド。
可愛らしいフリルが端々に揺れ、スタンダードな黒と白の生地に
ふわりと広がる短いスカート丈、ピッタリとしたニーハイソックスにより絶妙な絶対領域が確保され
頭には勿論ヘッドドレス付き。

ガタイの良さと垣間見える脛毛さえ無ければ、完璧だ。


「今日はそういう系?」
「おう。萌えるだろ」


クルリと一回りした猿野が楽しそうに笑む。
腰の後ろには大きな白リボンが綺麗に蝶々結びされていた。


「さぁご主人様、どうなさいますか?お夕食?それとも、お風呂?」
「そりゃァもちろん、天国っしょ」


玄関を上がった先、小首を傾げて問いかける猿野の腕を掴んで引き寄せ
いつもの注文を柔らかく耳元で囁く。
猿野がこうしてコスプレをした時は、決まって誘っているのだと解っているし
御柳としても毎回変わる衣装を楽しみにしている。
それから、ソレを脱がせる事も。


「ハイvそれではご主人様、寝室にご案内致しますぅv」
「へーへー、ヨロシク頼んマース」


女装している時、コスプレしている時など、そのキャラになりきる猿野が
語尾を伸ばした甘えるような口調で、促すように先に立って歩き始める。
まるで某所のメイド的なカフェをそのまま体験しているような気分だ。
御柳は薄く笑みを浮かべながら、メイド猿野の後に続いた。


「ご主人様、つきましたv中へどうぞ〜」


寝室につくと、御丁寧にドアを開けた猿野が、手招くように御柳を誘う。
中へ入ると、菓子のような甘ったるい匂いが鼻腔をくすぐり
軽く部屋全体を見回すと、壁やカーテンレールに簡単ではあるがレースの飾り付けがされ
ベッドにはパラパラとポプリが散らしてあった。
因みにシーツは見慣れた白ではなく、淡いピンク色のものに変えられている。
猿野がしたのだろう。
毎度、各コスプレに合わせ、こういう凝ったシチュエーションを準備するのだ。
そういった念の入れようも、御柳の気に入っている所である。


「今回もキバったじゃねーか、天国。雰囲気出てンぜ?」
「だろ?今日お前帰って来ンの遅ェから、いつもより気合入れた」


褒められて嬉しいのか、猿野が普段の口調に戻って口端を上げ
御柳の手を引いてベッドへと向かい、端に座るように言うので
大人しく座ってやると、跪いた猿野が両脚の間に躯を滑り込ませてくる。


「お、フェラやってくれんの?」
「ん」


いつもはやろうとしない奉仕も
今日はメイドというコスチュームなだけあって、してくれるようだ。
とことん尽すという心積もりなのだろう。
猿野が短く、「失礼致しまーす」なんて言いつつ、御柳のズボンのジッパーを下ろし
中から芯の無い雄を丁寧に引き出す。
それから汚さないようにという配慮か、フリフリレースのハンカチを敷くと
片手で御柳のモノ全体を揉むように解して、中心を輪にした指で扱き始めた。
己の股座でメイド姿の恋人が、恥ずかしげもなくペニスを扱き立てているのは、何とも卑猥な絵面だ。


「なんか、今日の天国超やらしー」
「そーか?あ、そーだ。ちょっと待ってろよ」


猿野の栗色の髪を悪戯に掬うように弄っていた御柳の手から離れ
一旦立ち上がった猿野は、側のアクリルボックスからローションボトルを掴んで戻って来ると
中身を惜し気も無く御柳のものに垂らし、すぐにぐちゅぐちゅと手の動きを再開させた。


「あー、イイ感じっしょ」


体温と摩擦でいい具合にネバつくローションによって、御柳の興奮も増し
中心の質量と硬度がそれなりのものになってくる。
満足げにゆるりと目を細める御柳を窺い見た猿野は
もっと感じてもらう為に、根元まで下ろした皮ごと幹を細かく擦りながら
張り出した先端に口を寄せ、パクリと三分の一程を咥えた。


「・・・ん、ン・・」


亀頭を集中的に舐めてから、鈴口を舌先で弄りつつ
括れた部分を搾るように唇を使って扱き上げる。
途端に脈打つように肥大した御柳の雄が、先走りを滲ませ
ローションとは一味違う苦味に、猿野は少しだけ眉を寄せた。


「クク・・・その顔、ソソるぜ・・? 
 つーか、どこで覚えて来たか知らねーが、上出来っしょ」
「・・・んっ、く、、 ふ・・ッ」


御柳に再び褒めるように髪を撫でられ、純粋に喜んだ猿野は含んでいた先端から口を離すと
唾液とローションと先走りで滑る竿を掌で上下に激しく愛撫しながら
下生えに埋まっている、張った袋の片側にねっとりと舌を這わせ
飴玉でもしゃぶるように口内に含み、緩く吸い上げる。


「・・ッ、上等」


その何とも言えない独特の刺激に、御柳は一気に中心を昂ぶらせ、低く呟いた。
猿野は上目で様子を確かめつつ、口淫を続ける。
くちゅくちゅと継続的に繰り返される粘着音と
ちゅっ、じゅる、と時折猿野が唾液や空気を吸い込む音が室内に篭もった。


「・・っは、ふ・・・、そろそろ、イク・・・?っ、ん・・・ン、」
「あー、今日スッゲー顔射キメてー気分だから、前で口開いて待ってろ」


というご主人様もとい御柳からの要望で、猿野は名残惜し気にしゃぶっていた袋から口を離すと
固く直立している御柳の雄を片手で扱きながら、言われた通りに薄く唇を開いて待つ。


「っく、」
「・・・あっっ」


すぐに白く濁った精液が噴出し、頬と言わず顎と言わず
扱いていた反動で激しく飛び散って、猿野の栗色の髪にまで付着した。
当然のことながら半開きだった口の中にもたっぷりと注がれる。
息を吸うと特有の匂いが広がり、噎せそうになったが、その前に咽喉を鳴らして飲み込んだ。

それから、


「とっても美味しかったです、ご主人様、、」


絶対に言おうと思っていた科白を、口端の残りを舐め取りつつ、囁いた。
それで火が付いた御柳は、猿野の顎を掴んで咬みつくように口付けると
容易くベッドの上に引き摺り上げ、ドサリと組み敷いた。


「クク・・・煽りやがって・・・」


情火に燃えた御柳の双眸が妖しく滾り、口角を上げた薄い唇が
猿野の首筋を捕らえ、歯を立て吸い上げる。
熟れたキスマークが一つ。
猿野は小さく息を呑み、続けて御柳がメイド服を乱暴に剥いで来るのを
待ち焦がれていたように、無抵抗で身を任せる。
完全に上半身を裸にされると、既に乳首が立っていた。


「エロい躯・・・」
「・・っん、・・・るせ、、早く・・・」


しみじみと云った風に観察する黒目を急かすべく
猿野は自ら足を開き、誘うように腰を御柳の腹に擦り寄せる。
珍しく強請る仕草を見せる猿野をほくそ笑みながら
御柳はワザと脱がせなかった、生地の多いスカートの中に手を入れ
下着の上から猿野の性器の形をなぞるように指を這わせた。


「ッ・・あ!・・・ン・・、」


それだけで、鼻に掛かった声が洩れる。
グニュグニュと押し潰すように揉み込むと、すぐに勃起し
数回扱きあげれば、下着を濡らす程の先走りが溢れた。


「・・相変わらず感度抜群っしょ」
「あっ、ぅ・・・、く・ァ・・・ッ」


揶揄する御柳の手が、不意に下着の中に潜り込み
直に猿野の熱を擦り上げる。
堪らず猿野の躯が歓喜に震えた。
片足を持ち上げ邪魔な下着を取り払うと、スカートを押し上げて形が判る程
猿野のペニスは勃ち上がりきっていた。


「最高、超興奮すンだけど」


女性が着る筈のスカートの下に、欲望も露な男のペニスが隠れている
その倒錯的なギャップに、御柳は舌舐めずりをして熱っぽく囁くと
猿野の中心を強く扱いてやりながら、さっき使っていたローションを手に取り
奥の方までぐちゅぐちゅと塗りたくっていく。


「・・・っは、ァ・・!あぅ・・・っ・・」


裏筋や雁首を巧みに手淫する御柳に翻弄されかける猿野だが
いきなり尻の穴に指を突っ込まれ、ビクリと仰け反った。
しかしさすがローションの助けで、簡単に侵入を許す。
その指が屹立を扱くリズムに合わせ、何度か抜き差しされ
然して時間を掛けず、穴が緩く解れてくるのに吐息を溢し。


「ん・・っ、ん、・・・・ッあ!」


すぐに二本目がズブッと差し込まれ、円を描くように入り口を広げる動作を繰り返すと
むず痒い刺激が腰から上に這い上がった。
ブルブルと猿野の太腿が戦慄き、呼応するように雄が脈打つ。
御柳は三本目を入れる必要はないと判断し、すぐに指を引き抜いて
汗で湿る猿野の両足を大きく割り開き、腰を引く。


「・・っあ、待てよ・・・・今日は、俺が自分で・・・挿れるから・・・っ・・」
「マジ?」


寸前で、制止を掛けた猿野が、荒く息を吐きながら
御柳の下から這い出し、入れ替わりで仰向けになった御柳の躯に跨る。
所謂、騎乗位だ。
まさかここまでしてくれるとは、期待以上のサプライズに
ニヤニヤと事の成り行きを眺める御柳の、まるで舐めるような視線の中
猿野は挿入しやすいように御柳のペニスを片手で支え
それから自分の尻に手を宛がい、穴を広げるように肉を開くと、ゆっくりと腰を落としていった。


「・・・・・・ん・・!く・・・ッ、、」


ズズ・・と先端が埋まり、エラの張った部分を一気に通すと
呆気ない程簡単に全てが収まり切る。


「天国、動けンの?」
「、、ん、ちょ・・・・待・・・、っ・・・・・今・・・・・動く・・ッ」


眉を顰め、止まってしまった猿野の様子を窺うように眺めながら
御柳が問いかけると、苦しげに応えた猿野が、力無く腰を上げ、すぐに下ろす。
最初はそんな程度だ。
けれどすぐに慣れて来たのか、前後にバランスを取りながら
次第に大きな動きに変えていく。


「ローション足んね?」
「・・・ん、ちょっと追加して、、っ」


摩擦される粘膜が少しばかり吸収してしまったのか、
滑りの悪くなってきた結合部に、行為を円滑にしてくれる素晴らしいアイテムの力を借り
ドロドロとたっぷり垂らし終え、馴染ませるように猿野は上下に腰を振ってから
いよいよ躯全体を使って激しく動き始めた。


「、、っう、あ・・・っ、く・・・、」


ギシッギシッ、とベッドが一定のリズムで心地よく軋み
すっかり皺になったスカートの下からは、肌がぶつかる音と淫靡な水音が篭もって聞こえて来る。
いい感じだと、御柳は自分も下から緩く猿野を突き上げだすが
その度に腹に当たるスカートのフリルが擽ったく、また、猿野の痴態を殆ど隠してしまっている事に不満を覚え
僅かに眉を寄せた。


「・・・、っあ、あ・・っ、ンッ、・・・・ん!」


目聡く気付いたのか、それとも同じ事を思ったのか
猿野が高く喘ぎながら、ふわふわと揺れていたスカートの端を捲り上げ
両手で邪魔にならないよう纏め上げた。
よって、繋がっている部分も律動で跳ねる猿野の性器も、何もかも丸見えになる。
けれど未だに白いヘッドドレスと薄いニーハイソックスは健在で
それが逆に卑猥で厭らしく、凄まじい興奮を煽った。


「ッ!・・あっ、あァ・・・ッ、くぅッ・・・んん・・っ」
「ヤッベ、萌え系キターッてカンジ?」
「あっ、ふ・・っ、、・・・ッひィ・・・あ!」


殊更激しく腰を振り立てる猿野を、御柳もまた激しく突き上げ
すると丁度泣きドコロに当たったのか、猿野から悲鳴に近い嬌声が甘く迸った。


「っあっあッあ、っンぁ!ひっんっ、・・・イイッ・・!」
「っく、・・・天国、片手空いてンしょ。前、扱けよ」
「、わかっ・・アッ・・!あぁっっ、あぁッ!ヤバッ・・・って・・!気持ち・ヨすぎ・・っ!!」
「ハハ!すんげー締め付け・・ッ」


言われる儘、自身のはち切れんばかりの性器を利き手で無茶苦茶に扱き上げ
あまりの性感に半分陶酔しながら猿野が喚くと
それを体現するように熱く蕩ける内壁が、御柳の牡を極上に締め上げる。
そんな一気に頂点に達するような快楽を、もっと貪りたいという欲望の儘
御柳は猿野の撓る腰を掴み、己の杭に打ち付けるように引き下ろす。
この肉を穿つ感覚・穿たれる感覚と言ったらない。
互いにむしゃぶりつくように夢中になる。

後はもう、満足するまで精を吐き出しあうだけだ。

 

 

 

「・・・あー、気持ち良かった、、」


部屋の熱気がそろそろ常温に戻ろうかと云う頃、猿野がぼんやりと呟いた。
二人して未だにベッドの上で、裸の儘だらしなく寝転がっている。


「メイドさん、オレ腹減ったンだけど?」
「おー、そーいや食ってないな。んなら今すぐ準備・・・って、あー!
俺のメイド服、めっちゃ皺々だしシミだらけじゃねーか・・!!」
「しょーがねーっしょ。裸エプロンでもしろや。
つーか、いっつも思うけど、どっから仕入れて来ンのよ、ソレ」


毎度の事ながら、バリエーション豊富なコスプレを披露してくれる猿野の
散らばったメイド服を摘み上げつつ、興味本位で問い掛けると


「ド●キ」
「・・あー」


納得の答えだった。
確かにあそこなら置いてある。


「ンじゃ、次はネコ耳でヨロシク」
「おう。まかしとけ」


そうして、また猿野のコレクションが増えるのだ。

 


【終】


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あとがき

書きたかったけど書けてなかったコスプレシリーズ第一弾。
先ずはオーソドックスにメイドです。
ネコ耳とどっちにしようか迷ったけれど、とりあえず流行りに乗ってみました。(乗れてるのか?)
次回はネコ耳です。言わせたい科白「ご奉仕するニャンv」by東京●ュウミュ● 笑

。いた。

2008/10/18